表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
77/91

フラグ76 自覚

新たな生活、新たな出会いが始まる4月。そんなドキドキワクワクとは裏腹に届くお祈りメール。俺は就活に悪戦苦闘していた。

またかぁ、15送って13落ちるってこんなもんなんか?書類通ったのは2社だけだしやっぱしんど。でもだめだだめだ、切り替え切り替え。面接は来週と再来週か、とりあえず聞かれそうなことを先読みしてある程度考えとくか、並行して他の大手じゃないとこも書類送っとくか。

ん?歌乃からだ

おれからちょくちょく連絡を取るようになり、なんだかんだで途切れることなく続いていた。


今日は部活のビラ配りに来てます!去年のポスター使わせてもらってます!

(たしか去年さゆりが描いたやつか、とっといてよかったな)

懐かしいね!マネージャー入ってくれるといいね!

はい!さゆりさんみたく頑張ります!

(さゆりは一応後輩思いだからなちょくちょく愛が強すぎるけど、でもまあ歌乃も頑張ってるんだ俺もがんばんなくゃ)

おれも就活頑張るよ

応援してます!!

(とりあえず一旦おいとくか、にしても応援されるとやる気でるわ)



就活の準備を進め、夕方からバイトへ向かった。

「ういっすー」

「おはようございます!」

ちなみに今日は歩の代行日だ。

「今日予約どんくらい?」

「5件ですね」

「そんなもんか」

「おはようございます!」

そう言って楽屋から萌香がひょこっと出てきた。

「おー、はよー。珍しく早いじゃん」

「今日は仕込みなんで!」

「あ、そうだったの?初?」

「そうです!」

「不安だなあ」

「そんな〜」

「あ、でもたかとさんホールですよ」

「そっかー代行殿が言うならしゃーないな」

「結構代行もやってるんでそろそろ冒険してもいいかなって」

「俺をホールにすることを冒険って言うな」

「違いますよー。いや、それもありますけどもえかとゆうとでキッチンやってもらおうかと」

「いいんじゃね、俺もあと1年もすればお役御免だし」

「えぇー悲しいです。ここで社員になってくださいよ〜」

「やだわ!」

「でも俺の代もなんだかんだで竜生だけか、あいつは卒業できるか不安だけど」

「そしたらたかとさんだけの送別会になりますね」

「それはそれで嫌だわ」

「いいじゃないですかー」

「そんなニヤニヤした顔で言われても信用出来んわ」

「なんでですか!僕とたかとさんとの仲じゃないですか!」

「はいはいわかったから」

「もえか、あれ照れくさいだけだからメモしときな」

「わかりました!」

「まじうぜえ、この後輩たち」

着替えながらそんな話をして少し経つと今日のメンバーが出揃い始めた。

今日は、大学4年の俺、3年の歩、新汰、2年の萌香、ゆうと、とし。

しれっと営業開始し、17時代は仕込みの2人は休憩に入り、残りはくっちゃべっていた。

「そのキッズ3人はセットなん?」

「なんで僕たちキッズなんですか!?」

「全然認めてないから笑」

「もうすぐ1年経つんですけど!」

「いやだってゆうとは未だにオーダー貯まっちゃうじゃん」

「たまになんで許してください」

「としはクローズ遅いし」

「それだけじゃないですかー」

「もえかはポンコツだし」

「それは、僕らもそう思います」

「いやカバーしないんかい」

「いや事実ですもん笑」

「じゃあ今日2人のどちらかがオーダー捌けなくなたったら引退ね笑」

「重すぎません!?」

「ちなみに連帯責任でとしも」

「僕もっすか!」

「もちろん!」

「まじでゆうと頑張れよ」

「プレッシャー与えんなって!わかってるから!」

(ほんとおもろいなこいつら)


「新汰は今日サークルだった?」

「そうっすね」

「サッカーだっけ?」

「そうっす、なんか僕だけ野球じゃないんで気まずいっす」

「何言ってんねん笑」

「いやだって現役でサッカーやってる人いないじゃないですかー」

「それはたしかに、だけどゆうともとしも現役じゃねえぞ笑」

「それでも羨ましいですよ〜」

「まあ気持ちは分かる。1年の時は俺も野球やってる人もやってた人すらいなかったし」

「そうなんすか?」

「逆にサッカー経験者が多かったなー。健人、朔斗、竜生もそうだし、その時の3つ上も2人ぐらい現役の人いたし」

「えぇ!そうだったんすね。じゃあ歩が初だったんすね」

「そうそう、最初は猫かぶっていい子ぶってたけどね笑」

「あーありましたねえ、僕も入った当時騙されました」

「そんな違うんですか?」

「あのさ、新人入ってくるといい人ぶるじゃんあいつ、それだよ」

「わかりました。あの感じですね」

「ちょっとちょっと!本人いるんですけど!なにいない気で話してんの!?」

ずっといたんかい

「いたわ!新汰は今日サークルだった?からいますよ!賄い作ってますよ!」

「これが本来のすがたね」

「ポケットに入ったモンスターみたいな言い方すな」

「モンスターには変わりないけど」

「上手いっすね〜じゃないわ!やば!いじめやん!」

「楽屋でもえかに慰めてもらえ」

「そうします」

「きも」

バイトに女の子が少ないせいか完全な男子高校生のノリみたいになっていた。いや、元からか。


と、今日のハイライトはこんなもん。来店はそんななく、一般的な平日の感じで時間は流れていき、時刻は23時。俺は使ったテーブル席を全て拭き終え、ホールのクローズ作業もほとんど終わっていた。

食器を運ぶついでにキッチンのクローズはどうやってるか見に行った。

「進んでますかー?」

「大丈夫です!もう終わります!」

「遅いと引退だよぉ」

「やばいやばい!もえか!早く終わらせるぞ!俺らの引退がかかってる!」

「クローズもなの?でもわたしもう洗浄器やるだけだよ」

「まじないす!俺ももう終わるから!」

「じゃあ引退せずに済むか笑」

「大丈夫っすよー任せてくだ、、」

そう言いながらまな板と包丁を落としていた。

「これはゆうとだけ引退かぁ笑」

「ちょっとまってください!大丈夫です!もえか!たのむ!これ洗って!」

「えぇーもう水抜いちゃったけど」

「それはまずい!俺だけ引退になっちゃう!」

「ゆうとだけならいいんじゃない?」

「急に裏切んなよー」

「だって落としたゆうとが悪いでしょ?」

「そうだけど!たかとさんこれは事故なんで許してください!」

「まあ明日洗えばいいよ。俺仕込みだし」

「たかとさぁんありがとうございますぅ」

「きもいからクビ!笑」

「なんですかその理由!」

「わかったから最終確認してあがってこい」

「わかりました!」

(ほんとおもろいな)


ホールに戻るととしがごみを捨てに行くところだった。

「ゆうとともえかどうでした?なんか落とした音聞こえましたけど」

「ゆうとがまな板と包丁落としてた」

「これはゆうと引退ですね」

「まあ寂しいけど引退してもらおっか笑。ホールはもう終わった?」

「はい!あとこのゴミ捨てに行くだけです!」

「じゃあおれ上がっとくからよろしくー」

「りょーかいです!」

「あらたー、俺ら上がるぞー」

「うす」


楽屋に行くと歩が売上を打ち込んでいた。

「おつー」

「お疲れ様です」

「今日いくら?」

「14万ですね」

「そんなもんよな」

「キッズたちなにしてんすか」

「なんやかんやでもうすぐ上がるよ」

「ならよかったっす」

俺は荷物をとってテーブル席に座った。

(あーつかれたー、歌乃に返信しないと。だけどここで誰かに見られるのはやだな。帰ってからにするか)


その後は適当に話してみんなで店を出て、同じ方向のゆうとと話しながら一緒に帰り、ゆうととも別れた。


帰って返信して、それからシャワー浴びて、アニメ見て、、歌乃どうだったかな今日。マネージャー志望の子は来たんかな。

自転車を漕いでる途中も歌乃のことが気になっていた。

何気ない日常の中でも何かが違う。夜桜を背に自転車を漕ぎながらなにか違和感があった。


ふぅ〜着いたー。とりあえず返信返信っと。


マネージャー志望の子は来た?

来てくれました!2人も!

(返信はや、起きてたんか)

そっか!よかったじゃん!仲良くできそう?

わからないですけど仲良くしてみせます!

(なんか燃えてるな)

いいねー!応援してるよー!先輩

やめてくださいよ〜、今日のバイトはどうでした?混んでました?

さすがに今日はそんなだったね、でもこれから新歓シーズンやらなんやらで団体とか来だすよ

ですよね、、

まあでも年末年始とか卒業シーズンも耐えれてるなら全然大丈夫だよ!

そうですよね!もう入って1年になりますししっかりしないとですね!

大丈夫大丈夫!歌乃ならやれるよ!

ありがとうございます!なんだかたかとさんに励まされてばかりです

こんなんで励ましになってるならよかったよ

はい!



さてと、アニメ見て寝ますか。


その日はなんだかアニメに集中できなかった。就活への不安なのかそのことを考えてしまっていた。

でもそれだけじゃなかった。歌乃のことを考えてしまっていた。

ああ、これはもう好きになってるんだな。と、ようやく自覚した。違和感はこれだった。何気ない日常なのに楽しい。就活に対する不安しかないのになにかいけそうな気がする。なんでもできそうになるこの感覚。

それにアニメを見てるときでも歌乃の笑った顔が言葉が頑張っている姿が頭から離れなかった。

最初は少し臆病な部分もあったけど、彼女のその姿にいつの間にか励まされていた。悩みがあっても前に進んでいる、進もうとしている。その姿が美しく見えた。


いつからかわからないけど俺の中で中川歌乃の存在が後輩から好きな女の子へと変わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ