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フラグ61 結城さゆりという存在

わかってたわかってたけど、イブの夜ってカップル多すぎねえ!きついきついアウェイすぎる。なんか暑すぎてコートいらん。

そんなことを思いながら平然を装い、午後7時、駅の改札を出たあたりで待っていた。

7時を過ぎたあたりで改札内から小走りで走ってきているさゆりが見えた。

大学でもオシャレしてきているが、今日は初めて見るデニムに白ニットの服装。


「ごめん山手線遅延しててちょっと遅れちゃった」

「いや、だいじょうぶ」

(まって、やばいやばい可愛すぎる。なんか輝いてね?キラキラしてね?てかなんかなんか言わんと)

「なんか外?出会うの初めてだからそわそわしちゃうね」

(先手撃たれたー!なにこれなんのギャルゲー?やったことないけど、いやそこじゃねえ!)

「さゆりもいつもと違ってていいね」

(いいねってなに?何言ってんの?ばかなの?あほなの?)

「え?ありがとう。じゃあいこ!寒いし」

場所は2人で相談してお台場に決めた。俺はとりあえず夜景が見えるようなお店で大学生にとって背伸びせずいい感じのお店の予約した。

俺が少し緊張しているのを分かってかさゆりは気使ってくれて、いつも通り会話をしてくれる。

「そんでね、その友達がねぎばらまいちゃって、、って聞いてる?」

「え?あー聞いてる聞いてる。友達の家でタコパしたんでしょ?」

「ちゃんと聞いてるんかーい!今日の私が可愛いからってうわの空すぎない?」

「うん」

「うんって正直に言わないでよ〜照れるって」

(ん?やべ!つい思ったこと言っちまった!)

「いやだってそう思ったし」

「そ、そりゃどーも。あ!ほらあれでしょ!お店!」

「あれだあれ!」

「方向音痴なたかとにしては迷わず着けたねえ」

「いや駅から10分は迷わねーって」

俺とさゆりはお店に入りテーブルへ案内された。予約したのは一応コース料理でよくわかんなかったが良さげなコースを予約した。

「なかなか良い雰囲気のとこでいい仕事したね」

「ほっとけ、あ、」

「ん?」

「いやなんでもない」

「なんだよー」

「東京って田舎と違った夜景で綺麗だなって思っただけ」

俺は元彼とこういうとこ来たことあるか言いかけたがさすがにやめた。

「まあ、私は東京生まれ東京育ちだから田舎の夜景ってのがあまり分からないけど、そうだね、それぞれの土地のそれぞれの良さがあるからね」


最初の飲み物が来て乾杯した。

こんなに綺麗な乾杯をしたのは初めてだ。いつもはビール片手にういーとか言いながらほぼイッキするのに。

小綺麗な皿に小綺麗な料理が運ばれてきて、もはや色んな意味で味なんて分からなかった。

「そういえばさ私たち付き合い長いのになんの食べ物が好きだとか苦手だとかそんなこと知らないんだよね」

「たしかに、そんな話しないもんな」

「あはは、なんか笑えてきちゃうね」

「じゃあなにが好きなの?」

「やっぱお肉は好きかなー」

「がっついてんな」

「うるさいなー、苦手なものは、そうだなー、基本的ないかも。たかとは?」

「んー俺もこれが好きってのはないけど、ハンバーグが好きかなー」

「たかとの方ががっついてんじゃん!しかも子供っぽいー」

「言っとけ。好きなもんは好きなんだからしょうがないだろ!」

「で、苦手なものは?」

「固茹でのゆで卵とか」

「え?なにそのピンポイントな嫌いな食べ物笑」

「いや卵焼きとかは食べれるんだけどなんかあのパサパサ感がだめで笑」

「ふーん、知り合って3年目でこんなことに気がつくなんてね」

「まあ、ほぼ部活でしか話してなかったもんな」

「わたしは友達多いからねー笑」

「ソウデスネー」

「なにその棒読みは!」

「真剣な話、さゆりは気も使えるし陽キャだし誰に対しても同じように接するしそりゃあ友達多いわな」

「え!なに!?褒めても奢んないけど?」

「そういう意味で言ってねーよ!ただすげえなって思ってるだけ」

「たかとにしては素直じゃん」

「気持ちは言葉にしないと伝わんないじゃん?相手の気持ちは想像出来ても想像することしかできないんだから」

「そう、だね。うん!たしかに!」


最後にデザートが出てきてひと息ついた。

「そういえば、さゆりはどの職種に就くか決めた?」

「えっとね、イベントとかの企画・製作するようなとこ!」

「なにそれ!すげえな!もう受ける企業って決めてんの?」

「あーそれが、インターン行っててもう内定決まりました!」

「は?やば!まじか!おめでとう!」

「えへへ、ありがとう」

「そんで単位も取り終わるんだら?」

「そーだよぅ、後期の成績次第だけどたぶん大丈夫!」

さゆりはほんとにどんどん先へ行ってしまう。そういうところも好きなところのひとつでもあるが。

「ほんとにすごいよさゆりは」

「もっと褒め讃えよ」

「調子乗んな」

「そんでたかとは?どーすんの?」

「俺はアニメ制作の会社受けてみる」

「へー!いいじゃん!私あまり分からないけど絵描く人になるってこと?」

「いや、んーなんて説明すればいいんかな、アニメを作る過程での各担当への橋渡し的な?」

「ふーん、いずれは佐々木監督!みたくなるの?」

「まあ、その役割?から監督になった人はほぼいないけど、でもそれでなれた時おもろくね?だから挑戦してみる」

「かっこいいね!それがたかとのやりたいこと?」

「もちろん!俺みたいにアニメで救われた人を俺の力でもっと増やしてやんよ!」

「いいねーいいねー!やっぱりたかとは私の思った通りの人だったよ」

「なんのこと?」

「ううん、こっちの話」

「じゃあまあそろそろ出ますか」

「はーい!」


会計を済ませてお店を出て少し歩いたところでさゆりからお金を渡された。

「はい!割り勘!さすがにこの金額1人に払わせる訳にはいかないよー」

「正直助かります。受け取っておきます。ありがとうございます」

「はーい!どういたしまして!」

会計時に渡さなかったのは世間の目から奢っているように見せてくれたのか、こういうところがさゆりの優しさであってモテるところなのだろうと思った。


「あのへんイルミネーションあるっぽい!行ってみようよ!」

「あーなんか光ってんな行こいこ!」


15分ぐらい歩いただろうかそこに着いて2人でイルミネーションを見た。それはクリスマスツリーのような木にライトが付いているイルミネーションだった。

いや、ラブコメのここで告白をすると、手を繋ぐとなんとやらみたいなやつになっとるやん。

「わー!すごい綺麗!」

「だなー」

「なに?カップルだらけだからって意識してんの?」

「してな、いや、してるわ!しない方がおかしいだろ!」

「あはは、それもそうか、さすがに面と向かって言われると照れるなー。はあー暑い暑い」

「自分で煽っといてなに自爆してんの?笑」

「うるさいなー、あとで飲み物奢りだからね!」

「はいはい」

さすがに俺もさゆりも耐えきれなくなってそこから離脱した。

「ねえ、海通って行こーよ!」

「いいね!」

イルミネーションから海へは10分程度だったが、さっきの事があったからか話すことを探していたのかさゆりからはなにも話しかけてこず、そういう俺も話題を探すので精一杯だった。


「あ、自販あった!飲み物買ってー」

「はいはい」

「んー、ココアにしーよう!」

ガタンッ

「たかとは?コーヒーとか飲んじゃうの?笑」

「うざいから違うのにするー」

ガタンッ

「水?ここにきて水?」

「うるせー全国の水愛用者に謝れ」

「水愛用者さん、ごめんなさい」

「さゆりちょっと酔ってんだろ?」

「そこそこだよーそこそこ」

俺とさゆりは波打ち際まで行った。

「あははー!くらーい!」

「おい危ねーぞ、服汚れんぞ」

「だいじょーぶ!だいじょーぶ!」

そんなことを言いながら躓き転びそうになったので、俺は咄嗟に手を取った。

「だから言ったろ?」

「ありがと。なんか前にもこんなことがあったね」

「デジャブだな」

「あっはは!なつかしー!」

俺とさゆりはその後、手を離さず砂浜を歩き、1分もしなかっただろうか、さゆりが咄嗟に手を解いて俺の方を向いた。

「たかとはさ、いま楽しい?なにかを全力でやってる?」

そう聞いたさゆりの目は真剣な目をしていた。

大学2年の頃は楽しむという気持ちがよく分からなくてなんとなく生きてるだけで全力で何かをやることもあまりなかった。

あの2年の夏合宿のときから楽しく生きてみようと思って今日まで過ごしてきた。そういう気持ちを取り戻せたのはさゆりのおかげだ。だからこそはっきり言える。

「おう!毎日楽しく全力で一日一日を過ごしてるよ!それもさゆりのおかげ!」

「ほんと?嬉しい!ありがとう!たかとはさ、なんか変わった、、いや元々そういう性格だったよね?」

「なんでわかんの!?」

「だってふとした時に熱い気持ちが漏れ出てたよ」

「そんなにおれ分かりやすいかな」

「たぶんわかってたのは私と義希ぐらいだよ」

「ほんとそういう観察眼はどっからきてるんだか」

「ふふーん、おしえなーい」


会話が終わって何秒か経っただろうか。

「あのさ、おれ」

「わたしね!たかとと仲良くなれて良かったと思ってる。部活が終わって話すことも少なくなるけどこの先もこの関係で友達でいたい。たまに近況報告したり、ふざけ合ったり、この関係が好きだから、、今日はこのことを伝えたかったんだ」

そう言ったさゆりは気のせいかもしれないが目に涙を浮かべているように見えた。


俺はさゆりのことが好き。好きなはずだった。でもさゆりからこのことを言われた時、なぜか俺もそう思った。友達の方がいいと。


「そう、、、だな。俺もそう、、おもう。」

俺はそれだけしか言えなかった。

「うん!じゃあ帰ろっか!」

そう言ったさゆりはいつも通り笑ってみせた。

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