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フラグ54 人生最終打席

秋リーグが開幕し最終戦の今日、勝てば優勝という大一番。

秋リーグでも代打で打ちまくり、絶好調の俺は出番を待ちながらベンチから応援をしていた。

立ち上がりから1点を失い、打線もなかなか繋がらず、中盤に差し掛かり、一度円陣を組んだ。

「まだ5回、こっから流れ作って逆転すっぞ!」

「しゃー!」

5回6回とチャンスを作るがあと一本が出ず、得点に繋がらない。それは相手も同じで、1回の得点以降、なんとかチャンスを作るが、ピッチャーの廉と守備陣のおかげで得点を許していない。

終盤に差し掛かる7回、俺は河野にいつでもいける準備をしとけと言われ、体をあっためながら素振りをしいつでもどんな場面でもいける準備をしだした。

攻撃はというと、1番からの好打順たがここも三者凡退に倒れ、こちらも三者凡退に抑え、8回の攻撃。

4番の伊勢がフォアボールで塁に出ると5番の義希がヒットで繋ぎ、ノーアウト1.2塁、絶好のチャンスとなる。6番の岡田にバントのサインを出すが、それを失敗し1アウト1.2塁となる。

7番の浅田が内野ゴロでダブルプレーかと思われたが、バッターランナーはセーフとなり、2アウト1.3塁となった。

「ササ!頼む!流れ変えてきてくれ!」

「しゃー!」

河野から代打がコールされ、俺は打席に向かった。

「いけー!」「かましたれ!」

(おれはやるべき事をやるだけおれはやるべきことをやるだけ)

おそらく人生最終打席になるであろう打席に入った。

(右の本格派なら初球、外まっすぐとかでくるはず)

初球を投じ、

(きた)

読み通り外のまっすぐがきたが、打ち損じてファウルとなる。

(読み合ってたのに、切り替え切り替え)

2球目を見送りボール、3球目も際どいコースを見送りボール。

(まっすぐこいまっすぐ)

4球目はまっすぐがきたが、ボールと思い見送ったがストライクとなり、カウント2-2。

(追い込まれたか、でもなんとか粘って、、、いや、、)

これでヒットでも打てば同点で流れも来る。でも、人生最終打席でそれで満足がいくのだろうか、、違う全力でやる。一人一人が全力でやる。そうやってチームがひとつになり、チームワークが生まれる。それが団体競技、それが野球というものだ。それがチームにとってもいちばんだ。結果は結果、全力でやった結果が失敗に終わるならしょうがない。

(よし!来たボールにフルスイングするだけ!)

ピッチャーはセットポジションから投じた。

(きた!まっすぐ!)

俺はフルスイングをした。

バットは空を切り、ボールはキャッチャーミットに吸い込まれた。

空振り三振しチェンジとなった。

(スライダーか、くそ!)

全国の時と同様に俺は守備につかず、後に託し応援を続けた。

8回も気合いのピッチングをみせ、8回を1失点にまとめ、最後の9回の攻撃となった。

「ここで逆転して9回抑えて勝つぞ!」

「しゃー!」

9回の攻撃は9番からだが、代打を送ったが三振に倒れ、1アウト。そして、1番の梅澤にまわり、初球を捉えたがショートライナーに倒れ2アウト。

あと1アウトで試合終了となるが、2番の神田がヒットを放ち出塁した。

「まだいけんぞー!」「陽打ってくれ!」

陽は初球を見逃し1ストライクをとられると2球目を見送りボールとなり、3球目を弾き返した。

打球は伸び、ライトの頭を越えそうになったが、フェンスに当たりながら打球を捕りアウトとなった。

3アウト試合終了。

俺たちは1-0で負け、優勝を逃したと同時に俺の野球人生が終わった。


整列した後、相手チームが胴上げをするのかと思ったが、さすがにアウェイで東彩大のグラウンドであったためやらなかった。

意外と泣いている選手はいなく、みんな後悔はないようだった。

一通り片付けをした後で最後のミーティングが行われた。

「これで3年生は引退します。3年生は一人ずつ一言お願いします。

梅澤がそう言うと、梅澤が適当に一人ずつ名前を呼んで一言言っていく。

「じゃあササ」

俺は中盤くらいに名前を呼ばれ全員の前に立った。

「えー、3年間ありがとうございました。僕はスタメンではなかったですが、みんなと楽しくおもしろく野球ができてよかったです。とても楽しい野球生活でした!以上です。」

この部で真面目な話するの恥ずかしいんだよな。

高校の時はもう少し話したが、大学は少し恥ずかしい気持ちと高校時代ほどの思いもないためこのくらいにした。あとでいじられそうだし。

あとは梅澤と河野だけとなり、その前に梅澤がある人を指名した。

「じゃあさゆりからも」

「わたしも!?」

「そりゃそうだろ」

「えー、じゃあはい。3年間ありがとうございました。同学年のみんななら知ってると思うけど入った当初は色々あって、正直辞めるか迷ったけどみんなが野球をやっている姿を見てると楽しくてここまで続けてこれました。私はこの代でいまの1.2.3年生でこの部をやってこれてよかったです!ありがとうございました!あ、以上でーす」

「はい、ありがとう。トリは嫌なので先に話しまーす」

「おい!」

「3年間ありがとうございましたー。まあ色々あったけど楽しかったです。えっと、卒業できるようにがんばりまーす。以上でーす」

(てきとーだな)

「最後は河野から」

「えー、3年間ありがとうございました。秋リーグは負けちゃいましたけど春は全国も行けたし結果的にもなんだかんだ良かったんじゃないかなって思います。1.2年生はこれから春リーグに向けて頑張ってください。3年生はとりあえず就活と卒業できるように頑張りましょう。以上です」

「えー、じゃあ解散?はい!解散!ありがとうございました!お疲れ様でした!」

梅澤がそう言い、最後のミーティングが終わった。絶妙に締まんないのも俺ららしくてそれもいい。


ミーティング後は写真撮影会となり、学年ごとに撮ったりポジションごとに撮ったり仲良い同士で撮ったりした。もちろん、陽と伊勢とも撮った。

「たかとー!つぎー!」

さゆりが同学年全員と一人ずつ2ショットを撮っており、その順番が回ってきたのでさゆりの元に向かった。

「じゃあ二葉ちゃんおねがーい」

「じゃあいきますよー、あ、ササさんもうちょい寄ってください」

(汗臭かったら嫌なんだけど)

そう思ったが、少し寄って写真を撮った。

「はい!ありがとー!」

「はーい、二葉ちゃんもありがとねー」

「はいはーい」


ほとんどの人と写真を撮り終え、もういいかと思い着替えた。

その後は行ける人たちでファミレスに寄ってプチ打ち上げをした。



打ち上げ後、俺は自転車だったので全員に別れを告げ一人駐輪場に向かった。鍵を開け、自転車に乗ろうとした時に歌乃に話しかけられた。

「たかとさん、あの、写真いいですか?」

「え?あーいいよいいよ」

「ありがとうございます!」

「えと、じゃあ誰か呼んで撮ってもらおうか」

「いや、えーあの私のスマホの内カメで撮るんで」

「あ、あーそう?じゃあ」

「いきまーす。はい」

カシャ

「ありがとうございました!」

「こちらこそ!じゃあまたバイトでね」

「はい!お疲れ様です!」

「はーい」

そう言って一人、駐車場の方にかけて行った。

(あれ、これ普通にツーショとってね?いやまさかな。とりあえず最後のこのチャリ通を楽しみますか)

俺はグラウンドから家までの最後の道のりを色んな思い出を振り返りながら自転車を漕いだ。


家に着いた後、野球を始めてからの15年間を振り返っていた。

どの時代も色んなことがあった。野球を辞めたかったこと、悔しいことや嬉しかったことなど本当にたくさんあった。色んな人と色んな経験ができたのは野球のおかげで野球をやっていなかったら今の自分はない。そして、なにより家族が支えてくれたこと。休みの日以外も練習に付き合ったり、弁当や道具、本当にたくさんのお金もかかっただろう。そんないろんな思い出を振り返ると涙が止まらなくなった。

俺はその想いと一緒にRINEを送った。



今日秋のリーグ戦で長かった野球生活が終わりました。

思えば野球やってるにいちゃんがかっこよくて始めた野球も低学年の練習はおとうとほぼマンツーマンでやっててキャッチボールも手が痛くて嫌だったのを覚えています。小2年の時にには野球を辞めたいって言い出して結局止めたのはにいちゃんでした。にいちゃんは覚えてないと思うけど、、

そこからファーストミット買ってもらってすぐにファーストクビになったりセカンドでも活躍できなかったりライトで泣いてたりしてなんだかんだで高学年になってやっと打てるようになってキャプテンにもなって活躍できるようになったのは共働きにも関わらず、学校終わってからはおかあとティー、土日の休みにも関わらず野球の練習・試合に来て試行錯誤して色んなことを教えてもらったおとうのおかげです。せっかくの休みなのに付き合ってくれて本当にありがたいと思っています。

小学校でバリバリのキャリアを積んで臨んだ中学野球は最初、他の同学年の子が出てたけど結局1こ上の代でレギュラーになれたのは自分の力でもあるしローちゃん、りゅうちゃんの力でもあります。中学野球を引退してからボーイズチームでズッタズタにやられた時で本当に野球をやめそうになったときでも色んな言葉をかけてくれたおかあ、おとう本当にありがとう。

そして、高校は一商に行くって決めたのはにいちゃんのおかげでもあって中学では自分が野球上手いことに自惚れて成長できなかったのは後悔としてあって、今でもあの時ちゃんとやってたらって思います。塾に通っていたのにも関わらず一商に行ってそれを認めてくれたおかあには本当にありがとうって思ってます。

そんなかんやで臨んだ高校は一商レベルですらかなりキツくて米2キロ持ってこいだの雨だから送ってってだのおかあには結構負担かけたと思います。でもそうやって助けてもらってレギュラーにもなれて夏大でも出れて、、でも夏大で活躍できなくて、、

結局、親にとっても自分にとっても一番嬉しい選択ってなんだろうって思った時、野球を楽しむことが一番なのかなって考えて、大学選びも野球中心でした。

大学はほんっとうに楽しく野球ができて結果的にはレギュラーにはなれなかったけど大学で野球をやる目標は達成できたと思います。ちゃんと長く続けた野球が後悔しなくて終わって本当に良かったです。

やっぱこうして考えてみると野球中心で決めて結局、小1から通ってた塾も関係なくなって、いろんなもの買ってもらっても無駄になったりしたことは本当に申し訳なく思ってます。

だけどAllceanのリーダー、同じ誕生日の子が言ってたのは自分の一度しかない人生を充実させることは一番の親孝行になるって言ってて、大学で野球をやったり一人暮らししたりバイトしたりライブに行ったり、色んな人と出会って色んな経験をして本当に充実してます。

それと無駄な経験なんて絶対にないってあるアニメで言っていたので、おかあ、おとう、にいちゃん、ローちゃん、りゅうちゃんから貰った経験を活かす場面は絶対にあると思うのでこれからも野球をやってきたからこその経験を活かして人生を充実させたいと思います。

まだ就活で振り回すかもしんないけどよろしくお願いします。あとまだ帰省しても色々お金を出してもらう時があると思いますがよろしくお願いします。まだ学生なんで笑

野球を始めて15年間本当にありがとうございました。



家族にこう送り、俺の野球人生は本当の意味で幕を閉じた。

ありがとう。

いやでも、、めっちゃ恥ずかしいなおい!

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