フラグ39 前夜祭
暑くなってきたゴールデンウィーク後半、俺は地元静岡に戻ってきていた。なぜなら、そうAllceanのライブがあるからだ。ライブ前日の昼に実家に寄り渡瀬の家に向かう。渡瀬は誰に影響されたのか自分で決めたのか分からないが先月から一人暮らしを始めた。今回のライブのスケジュールはこうだ。
ライブ前日の夜に渡瀬家にて前夜祭→渡瀬の車で会場まで移動(爆音でAllceanの曲を流す)→会場到着→ライブ→渡瀬の車で渡瀬家へ帰宅(爆音でセトリを流す)→渡瀬家にて後夜祭→俺実家に帰宅
ライブは前日とその日の晩酌までセットである。ちなみに今回は事前物販でグッズは購入済みだ。
そして現在、実家の最寄り駅まで到着した。
(もうおかあ来てるはずだけど、車は、、あった)
俺は親の車を見つけドアを開けた。
「おかえり〜」
「ただいま」
「運転してくんでしょ」
「あー」
最寄り駅まで来てもらって実家まで俺が運転する。これが俺の規制ルーティンだ。車にスマホを繋げ音楽(Allcean)の準備が出来たら出発だ。年始に実家に帰って運転して以来だから5ヶ月ぶりの運転は少し怖いが慣れれば大したことない。ちなみに免許は大学1年の冬の部活がオフの期間に静岡で1ヶ月ほど実家から通いとった。
「今日はそのまま渡瀬くんち行くの?」
「そー、そのまま明後日の昼ぐらいに帰ってくる」
「帰る時連絡して」
「覚えてたら」
「最近変わったことない?」
「あー部活もバイトも1年生が入ってきた」
「何人くらい?」
「えーと、部活がたぶん12でバイトはまだ1人」
「マネージャーは入ってきたの?」
「ひとりだけー」
「よかったじゃん」
「あー」
「バイトは?女の子?」
「あー」
(同一人物だけど)
「よかったじゃん」
「彼女は?」
「いない」
「んーなんで?」
「なんでってしらねえよ」
「もう!」
「あれ昼飯ある?」
「あるよたくさん作ってある」
「たくさんはいらないけど」
「たくさん食べて大きくなりなさい」
「もう大きくなんねえよ」
母親と息子の会話なんてだいたいこんなもんだ。なんなら兄の方がひどいと思う。
「この曲いい曲だね」
「これは決勝で歌った曲だからね」
(SKY Allceanか性格というかこういうとこ似てるんだろうな)
母親とは月1ぐらいで(しょうがなく)電話をしていてAllceanにハマったこともどういう話かも簡単に説明してある。まあ地元のそのへんにポスターとか貼ってあるので存在自体知ってはいる。
「曲聞いてる時ってどっちを思い浮かべるの?」
「どっちって、キャラかキャストかってこと?」
「そう」
(めっちゃ鋭い事聞いてくんな)
「あー多分キャラ、いやキャスト、たぶん曲によって違うかもどっちものときもあるし」
「そうなんだ、今回はどこでライブやるの?」
「静岡市」
「あっちまで行くんだ〜大変だねえ」
なんやかんや話してるうちに実家に着いた。車から荷物を取りだし家に入りリビングに行くと父親が寝転びながらテレビを見ていた。
「おかえり〜また変な髪型してる」
「変じゃないしちゃんと切ってきてるし」
荷物を置いて手を洗ってすぐやることは、愛猫を愛でること。
「ローちゃーん!ローちゃーん!」
家の中を探し回り2階の元?俺の部屋のなんか箱に入っていた。
「ローちゃんただいまぁうーかわいいねえ」
「ニャー」
顔を埋めていたら足で蹴られた。うちのロー(ろー)ちゃんは俺が小5のときに母親の仕事先の人から捨て猫を拾ったという経緯とちょうど俺が猫を飼いたかったという経緯でうちにむかいいれた。その時から餌やりだったり遊んだり一緒に寝たりずっと一緒だった。でも大学入学と同時に上京して悪い事をしたなと思う。俺が上京して1ヶ月ぐらいはかなり鳴いていたらしい。ちなみにローちゃんはオスでロシアンブルーとなにかの雑種らしく灰色の毛並みと目がかっこいい、佐々木家でいちばんの美形だ。名前の由来は猫は怒る時「ウー」と威嚇するということから小5の貴翔少年がつけた。
と、その次は
「りゅう!りゅう!お、いたいた。りゅうちゃんただいまぁんーー」
抱っこして顔を埋めると今度は猫パンチを食らった。
そう、俺はもう1匹猫を飼っているのだ。りゅうちゃんは俺が中1のときにこれもまた母親の仕事先の人から子どもを沢山産みすぎたという経緯で貰い受けお迎えした。りゅうちゃんとはうちにやってきた当時ローちゃんもいたので俺がローちゃんをみて母親がりゅうちゃんをみていたというのがあり、あまり一緒に寝たことはなかったが餌をやったり遊んだりをして中高は部活とかであまり家にいなかったがローちゃんと同じくらい愛情を注いだ。ちなみにりゅうちゃんもオスでもふもふの白と濃い灰色の毛と少し短い足がかわいい、種類は分からないがなんかの雑種らしい。
愛猫への挨拶を済ませたところで1階に戻ると母親が昼ごはんを用意してくれていた。
「ばーばっちにも行っといで」
「あー」
うちは祖父母と2世帯とかではないが家は別々で家同士が繋がっているという状態である。
「ばーばぁ」
祖父母の家のリビング?の引き戸を開けた。祖父母はテレビを見ていた。
「うわ!びっくりしたぁおかえり」
「ただいま」
「ちょっと大きくなっただら?」
祖父は毎回同じようなことを言い、祖父母の会話もだいたいこんなもんだ。
「あーまあそんな変わんないよ」
「さっき帰ってきた?」
「そー」
「いつ帰るだね?」
「明明後日」
「早いねえゆっくりしてきな」
「うん」
祖父母も猫を飼っているので少し触って戻り昼飯を食べた。ちなみに祖父母の猫はシャム猫っぽい感じでこれまた雑種なのかなんなのか分からない。
「デザートにいちご食べる?」
「食べるーいっこハムちゃんにあげてくる」
そう言って俺は外に出て畑の桃の木にお供えした。
俺の一番最初のペットだったハムスター、名前はチャッピーだったが結局ハムちゃん呼びになった。俺が小3のときにペットショップで買ってもらいそれから小5まで家族になってくれた。種類はジャンガリアンハムスターで夜中にカラカラカラカラ回し車で走ったりゲージをよじ登ってうんていしてたのが懐かしい。帰省した時にいつもではないがハムちゃんが好きだった食べ物があるとお供えしたりお盆の時期に帰ったらお供えしたりしている。亡くなったときはおかしくなるくらい泣いて初めてちゃんと生き物の亡くなったときの体の冷たさを知った。小動物ということと俺と家族みんなの意向で畑の桃の木の近くに埋葬した。
(今日も元気だよこんな大きくなっちまったよちゃんと見ててね。よし!準備して行くか!)
家の中に入り、一度2階に上がって荷物を整理すると横の部屋から笑い声が聞こえる。兄だ。兄とは5歳差で昔は喧嘩もして余裕で負けてもはや6歳の時にはすでに心が折られていた。年の差もあって歳が経つにつれて顔を合わせることが少なくなったが今でもたまにゲームをしたりする仲ではある。何年経っても兄はかっこいいし俺が赤ん坊のときはよく世話をしていたらしい。何故か分からないが、何をされても嫌でもないし大好きな兄で本当に誇りに思う。
なんか家族構成の話になったがこんな感じだ。はい、では渡瀬の家に行こう。
着替えよし!グッズよし!気持ちもよし!
「いってきまーす」
「行ってらっしゃい」
車のエンジンをかけ、音楽も準備しいざ渡瀬家へ!の前に聖地行ってもっと気持ちを高めよう。歌いながら車を走らせ15分ほどして聖地に着き近くのコンビニに車を停めた。車から降りてドリカラの聖地に向かった。
(年末年始に帰ってきて以来か〜この海と風と夕焼けの空格別だなあ)
明日がライブだからか結構オタクたちがいた。
(よし、行くか)
10分ほど聖地に留まりコンビニでも一応飲み物を買っていく。
再び車のエンジンをかけて音楽をかけて渡瀬家へと向かった。もちろん爆音で音楽を流しながら歌いながら向かった。
40分ほど車を走らせて渡瀬が住むアパートに着いた。
渡瀬の車の隣停めていいんだよね?
そー、誰もいないからいいよ
(さすが田舎だな、東京なんて駐車場すらないし金は取られるし)
車から荷物を取りだし渡瀬が住む207号室へと向かいインターホンを押した。ガチャ
「ういっすー」
「おつー」
「おじゃましまーす」
「1ヶ月住んだぐらいじゃまだきれいだな」
「そりゃそう」
「でもまだダンボール何個かあるんかい」
「片付けるのめんどくさくなったんだよ」
「まあそんなもんよな」
渡瀬が住むアパートは俺が住むアパートより広く1Kでキッチンは3帖で部屋は10帖もあった。だか、
「パソコンが幅取りすぎてスペースは俺ん家と変わんなくね」
「あんま人泊める予定もないからね」
「これ(ゲーミングPC)いくらしたん?」
「ゲーミングチェアとか諸々含めて50万とかかな」
「うわー金持ちめ」
「3年間実家暮らしなら全然いけるよ」
「くぅ〜羨ましいこちとら限界大学生なのに、、とりあえずシャワー浴びてきます」
「ういー」
俺は何回も渡瀬を自分の家に泊めているので泊まりに来た人間が何をして欲しいかだいたいわかる。先にシャワーを浴びさせてその後に自分が入れば最後に自分が確認するのだからなにかこだわりがあれば最終的に自分が直せばいいということである。それと洗濯機を回したい場合も自分が洗濯機を操作するのだから先に洗濯かごとかに入れておけば待つ時間もなく洗濯もできるという算段だ。
「でたぜぇ」
「じゃあ俺も行ってくるわ」
「洗濯もんかごに入れといたけどいい?」
「いいよー」
「ドライヤー使っていい?」
「いいよー」
俺は髪を乾かしスマホをいじりながら待っていると渡瀬が出てきて洗濯機をまわし髪を乾かしたあとで夕飯にした。
「そういや飯なに?」
「フッフッフッ…午前中に仕込んどいた味玉と漬物そして煮物です」
「すんげー和食だな」
「明日万全の状態で行けるようにね」
「俺もコンビニでつまみっぽいの買ってきたからそれも食べようぜ」
「俺は今日酒1杯だけにしとくわ明日運転だし」
「すんません明日お願いします。ということでおれはいつも通り飲みまーす」
「明日大丈夫なん?」
「缶3本くらいじゃなんてことないよ」
「さすが」
つまみとおかず立ちを並べ乾杯する。
「じゃあ前夜祭ということでお疲れ様でーす」
「ういすー」
俺は渡瀬が作った味玉をいただいた。
「うまー!めっちゃ浸かってるわ」
「よかったー」
「高校時代包丁も使ったこと無かったやつの料理とは思えん」
「だいぶ昔のことひっぱりだすなあ」
「立体の駐車場も全然停められなかったのに」
「それはいま関係ないって」
渡瀬が作った料理はどれも美味しく、きっと分量も細かく量って作ったのだろう。実際料理はレシピ通り作りば誰でも作れるからな。俺はレシピなんてほぼ見た事ないけど、すべて長年の勘で料理してるし。
「そういえば今回なんのグッズ買った?」
「俺はペンラもう1本欲しいからペンラとTシャツ、タオルぐらいかな」
「そんなもんか、俺はそれプラスバッグ買ったわ。大学でも使うか迷ってるけど」
「背負ってけばいいんじゃん、友達できるかもよw」
「いやーそのあとバイトとかだと焼肉の匂いとかつくのやだし」
「それは嫌だわ」
「今回さー、野外じゃん?席みてもいまのとこ分かんねーんだよな」
「全アリーナだからねw」
「後ろだったらなんも見えねーぞ俺らそんなに背高くないし」
「フラグをたてていくぅ」
「やば」
「2回目にして野外はハードル高いけどね」
「だなー勝手が分からんしな、まぁ行けるだけいいか。まじであの嘘は一生言うわ」
「いいじゃん良い嘘だったんだから」
「まじでバイト萎えてたからね」
「いやあの日は唯一嘘ついていい日だから」
「うぜぇw」
そんなこんなで話しながら晩酌をして、時間が経つとめんどくさくなるため一旦片付け洗濯物も干し終わったタイミングでいつものイントロ大会になった。今回はAllceanバージョン。
「俺もうほぼ答えられるようになったから」
「お、頼もしい」
「もうあんな思いはしたくないからね」
「じゃあユニットも分かるんだ」
「もちろん!こちとら暇さえあれば聴いてたからな!なんならユニット名の由来も知ってんぞ」
「なんだっけ?俺あんま覚えてないわ」
「SAKUYAはそもそもかっこいい系統としてユニットが決まってたから、桃瀬南桜の桜と歌恋のKと空詩のSを合わせて、かっこいい感じを出したらしい。
SSea7!(しーな)は鳴海と潮音の海と潮のイメージと咲と潮音のイニシャルでSSで七瀬で7で元気なイメージで!マークが入ってる。
で、three's wayは3人ともマイペースの性格で英語でone's own wayからとってっていうのと3人の道という意味もあってこのユニット名になったんよ」
「そんなんだったんだ」
「過去の生放送とwikiで調べた。ちなみに全部ファンから募集して投票もしてる」
「なんかもうおれ超えてね?」
「大学生は時間しかないからね、めっちゃ調べたw」
ここで少しAllceanメンバーについておさらい。
まずは渡瀬の推しの「月島歌恋cv.西本菜月」メンバーカラーは白でユニットはSAKUYA
そして俺の推しの「百瀬南桜cv.斎藤華那」メンバーカラーはピンクでユニットはSAKUYA
「望月詩音cv.鈴瀬詩音」はメンバーカラー水色でユニットはSSea7!
「花宮栞菜cv.涼風葵」はメンバーカラー緑でユニットはthree's way
Allceanリーダーの「鳴海咲cv.井川純菜」はメンバーカラー赤でユニットはSSea7!
「相原みこcv.小原結菜」はメンバーカラー紫でユニットはthree's way
「七瀬陽菜cv.柿島紗耶」はメンバーカラー黄色でユニットはSSea7!
「瀧本彩夏cv.夏元千晴」はメンバーカラーオレンジでユニットはthree's way
「空詩美羽cv.高橋春菜」はメンバーカラー青でユニットはSAKUYA
コーレスとか諸々は「フラグ22 初Allceanライブ中編」を参照。
そして、1時間ほどやったイントロ対決はほぼ互角で幕を閉じた。
「これで明日の予習もバッチリだな!」
「じゃあそろそろ布団敷いて寝るか〜」
「おねしゃす」
渡瀬はクローゼットから布団を取りだし敷いてくれて俺も布団の中に入ったが話が止まらない。
「にしても明日どんなセトリでくるんだろうなー。デビュー曲はやるだろ、で5周年記念ソングもやるだろ、あとopedもやるとして。あ、でもまだ曲のコールはあんまわかんねえや」
「ノってれば大丈夫だら」
「楽曲全部知ってる状態で行くのはじめてだからな〜。しかも車で行くってのもいいなー、いつか自分で運転して会場行ってみてえな」
「、、、」
(あ、寝たな。ちょっとスマホいじって俺も寝るかー、いつもイベントごとの前に体調崩すし)
俺は最後にSNSの情報やオタクたちの前日の行動を見たりコーレスを一通り見るなどして寝た。
あの日の醜態から楽曲を全て覚えイントロで全楽曲答えられるようにもなって待ちに待ったライブ。全力で楽しむしかない!




