フラグ35 新歓です
「そういやさ、前期の履修決めた?」
「目星はつけてるけど抽選がネックかな」
今日は春休み最後の部活の練習で今はバッティング練習に移り伊勢とともに守備兼球拾いをしている。
「しかもササはゼミ入ってないし通年で単位取れるもんがないもんな」
「別に入ってたって論文とかめんどくさいし入んなくて良かったよ」
「面倒くささはあるね、俺のとこは単位と釣り合ってない感はあるよ」
「ゼミ長がそれいう?」
「言っちゃう笑」
「にしてもフリー(バッティング練習)なのに全然飛んでこねーや。陽だけじゃん飛ばしてんの」
「超絶貧打チームだからね」
「去年の代は長打打てるのが4人はいたけど今年は陽と伊勢だけだもんな」
「それに俺は打率が低いし笑」
「さっきから自分でそれいうのおもろいな笑」
「いや事実だし笑。お、次のグループか」
一度、落ちているボールを集め次のグループが準備をしつつサイド守備につく。すると陽が外野に来て3人でだべりながら球拾いをする。
「今日も飛ばしてたねー」
「いや試合で打てなきゃ意味ないよ」
「それ俺にもダメージが笑。でもそうだよな」
「だってリーグ戦、最終戦を残して4試合やって得点7だぞ」
「しかもそのうちササの打点は3だしな」
「そんで残りの4打点は俺と伊勢の2ずつ」
「あれササ打点王じゃね笑」
「そういえばそうだったわ笑なんかわかんないけどチャンスで打てるようになったんだよな」
「もうさ、まじでスタメンで使った方がいいよ。今年はほんとにうてないやつばっかだしサードならいまレギュラー確定してないからやりなよ。てかやってくれ」
「その気持ちはあるけどサードの2年って河野のおきにじゃん。しかもたぶん去年エラーしたのがまだ頭に残ってんだら」
「別にさササそんな守備めっちゃ下手な訳でもないし、打球なんて1試合に数回飛んでくるだけだしさ、よくね?点取れなかったらそれはそれで負けるしさ」
「その気持ちだけでありがたいよ」
「まあ代打が固定されてるから勝負を決める時に決められるってのもあるけど、、あーもう今日は飲もう!イライラする」
「今日の夜、新歓(新入生歓迎会)だもんな。俺らが金払うのか、、」
「まあ逆にのみほで金額も決まってんなら飲んだ方が得じゃん」
「そうだけど、陽がこれほど飲むモチベ高いの久々だな」
「だってまじで河野の采配イラつくんだもん」
(これガチでキレてんな)
「あ、そういやこの前の子も来るんだよね?」
「この前のって?」
「俺が連れてきたマネージャー志望の子」
「あー歌乃ね」
「え?」
陽と伊勢が同時にこっちを向いた。
(ん?あー!そうだバイト先一緒なの言ってねえんだ。勧誘の時は歌乃ちゃん呼びだったもんな)
先に食いついてきたのは伊勢だった
「だれ?マネージャー入んの?」
ことの成り行きを陽が説明したあと陽のターンとなった。
「で、なんでそんな馴れ馴れしいんだよ。この前は歌乃ちゃん呼びだっただろーが」
「それがさ同じバイト先で」
「なにその偶然、アニメかよ」
「それ俺も思ったわ。で、うちはほぼ名前呼びだし、バイトのみんなも歌乃って言ってるから」
「なるほどなー」
「一旦この話は内緒でおねがいします。変な噂たたせたくないし」
「おっけー」「うい」
「でもササが気をつけろよ。今みたいにポロッとでるとあぶねーぞ」
「はいすんません」
その後は練習が終わり片付けをしたあと一旦解散となった。練習終了時点で時刻は13時、新歓の開始時間は19時。俺は一度帰ってもじゅうぶん時間がある。のんびり帰り家に着いてシャワーを浴びたあとスマホを見ると着信が入っていた。さゆりからだった。
なんだろうと思い折り返しかけると電話に出た。
「もしもーし」
「もしもし、なに?」
「たかとって家から大学近いんだっけ?」
「チャリで20分かかんないくらいかな。なんで?」
「新歓の手伝いしてもらおうかと思って、みんな今日練習で一旦家帰ってるから渋るんだよー」
「そりゃそうだ。新歓やる場所どこだっけ?」
「部活のグループチャットみてないのー?9にんぐみってとこ」
(あーなんか聞いたことあんなバイト先の反対側の改札口ら辺だった気が)
「そうでした、家が遠いと渋るから大学の近くのひと集めてるってことね」
「そー、おねがーい!少し早く来て名札代わりのガムテープに来る人の名前書くだけでいいから」
「別に断ろうとは思ってないよ笑全然いいよ」
「ほんとに?ありがとう!」
「でもさゆりも実家から来るのめんどくさくない?」
「大丈夫大丈夫!二葉ちゃんの家に避難させてもらってるから!なんなら今日泊まるし!」
「左様ですか」
「じゃあ18時に店の前来といてねー」
「はいはーい」
「そんじゃ」
17時に家を出て自転車で向かい、自転車はバイトで使っている駐輪場に停めた。新歓のお店に着いたのは17時45分。するとすぐにさゆりと二葉ちゃんが来た。
「おつかれー!」「おつかれさまです」
「ういー」
「ほら二葉ちゃん言ったでしょ、集合の10分前には来てるって」
「さゆりさんの言った通りになって驚きました。男としては及第点ですね」
「あれなんかおれいじられてる?」
「いじってないいじってない笑楽しみすぎて早く来ちゃうって言っただけだよー」
「いじっとるやんけ!」
「今日も調子いいねー、さ、入ろ」
お店に入ると団体客用の座敷に通された。予約時間より早めに行くことを伝えていたらしい。
「今日何人来るか知らないんだけどどんくらいくんの?」
「えっと、2.3年が20人で1年も20人だから40人だね」
「まって、それだけの人数分名前書くの?」
「そーだよーだから呼んだんじゃん。3人で書けばすぐ終わるよー」
「3人?他は誰も手伝いこないの?」
「だってみんなのんびりしてから行きたいって言うんだもん」
「まったく」
「はい!じゃあたかとは字汚いから2.3年生担当ね」
「きたないってそうだけど、わかりました」
俺は新歓に来る3年の全員と2年生の半分を担当した。30分もすると全員書き終え、さゆりと二葉ちゃんも担当した分は終わっていた。さゆりは一応店の前に立っているといい出ていった。少しだけ二葉ちゃんと2人きりになった。2年間同じ部活にいるがあまり話さないので少し気まづくなった。そんな雰囲気の中、話を切り出したのは二葉ちゃんからだった。
「ササさんってさゆりさんと仲良いですよね?」
「え、いやみんなと仲良いと思うけど」
「傍から見るとササさんだけ特に仲良いなって思いますよ?」
「そーかなーおれはそんな感じしないけど」
「そうですか」
(話終わんの早、なんか話題を)
何か話をしようと思った時に俺のスマホが鳴った。陽からだ。
もう店入ってる?
入ってるよ、店の前にさゆりがいるしもう中入れるぞ
少しすると陽がやってきた。
「ういすー」
「ういすー」「お疲れ様です」
「あれなんか不思議な組み合わせじゃん」
「とりあえずこれ(名前を書いたガムテープ)貼って」
「ういー、って字きたな笑これササが書いたろ」
「うるせーそーだよ」
このやりとりに二葉ちゃんは少し笑っていた。その後は続々と2.3年生も1年生もやってきて自由に座っていったが2.3年生は固まらないように座っていった。
タイミングも良かったため俺のテーブルには陽と二葉ちゃんと歌乃と1年生が1人という組み合わせになった。
全員揃ったところで梅澤が乾杯の音頭をとり新入生歓迎会が始まった。
俺と陽はなるべく1年生に話を振るべく高校の話や好きなプロ野球球団の話などした。歌乃と二葉ちゃんはマネージャーのことを話したりしていた。タイミングよく男チームと女チームで話が終わると俺から1年生の2人に話を振った。
「2人とも他に聞きたいこととかある?なんでもいいよ」
「この部って合宿とかあるんですか?」
男の子の方が聞いてきた。
「あるよー、年2回で夏は静岡で春っていうか冬?は茨城でやるね」
「そうなんですね」
「歌乃、ちゃんはなんかある?」
(あっぶね歌乃って言いかけた。でもバイト先同じことぐらい言っていい気もするけど)
「先輩って一人暮らしなんですよね?部活とバイトと勉強とかの両立ってどうしてますか?」
(部活とバイトで呼び方分けることにしたんだ。でもなんか怒ってる?)
「そ、そうだねー去年はバイトも慣れてきたから部活ある日でも前日でもシフト入ったりして勉強はなにも聞かないで笑二葉ちゃんも一人暮らしだからそっちのほうが参考になるよ」
「二葉さんからはさっき聞いたので」
(やっぱなんか怒ってる?)
「そーなんだ、この中だと一人暮らしは俺と二葉ちゃんだけだから他の2年生とかも聞いてみてもいいかもね」
「はい、ありがとうございます」
俺は逃げるように御手洗に向かい、用を済ませて出てくると歌乃がいた。
「たかとさん、絶妙に他人っぽいのなんですか?」
「あ、いやバイト先同じっていうとなんか良からぬ噂たちそうだから迷惑かなーって」
「バイト先がおなじなのは完全な偶然なのとそういう噂なんて気にしないですよ」
「まあ歌乃が気にしないならいいけど」
「気にしないですよ!もう他人っぽいのやめましょう。そっちのほうがなんかいやです」
「わかったわかった」
(2つも歳下の女の子に気を使わせてしまった。なさけねえ)
先に戻ると隣の陽に耳打ちされた。
「さっき歌乃ちゃんがササと同じバイト先なの言ってたぞ」
「なんか気にしないみたいだからもういいや。なんかあれば俺が守れば」
「男だねえ、さゆりもいるのに」
「そういう意味で言ってねえ」
陽と話しているとさゆりから2.3年生は席替えしてくださいと号令がかかった。立ち上がり移動しようとすると歌乃が戻ってきたので説明した。
「歌乃、2.3年が移動するから1年はステイね」
「了解です!」
その後も席替えをしながら1年生と話しつつ、東彩大軟式野球部の新入生歓迎会は終わりを迎え梅澤が最後に一言挨拶をした。
「一旦ここで閉めます。この後は自由で1年生以外の終電気にしないやつは残って少し片付けしてくれるとありがたいです。1年生の皆さん、4/16に練習をやるのでぜひ来てください。入部もお待ちしてます。今日はありがとうございました」
一斉に拍手をし、1年生はそそくさとお店を出ていった。
「ササはどーすんの?」
「おれは終電とか存在しないし片付けてくけど陽は埼玉だからそろそろ終電やばいら?」
「今出れば全然間に合うけど、、」
「大丈夫大丈夫、片付けっていっても食器ひとまとまりにして忘れもんないかチェックするだけだろうから」
「そう?じゃあ今日はこれで!また!」
「ういーまた!」
終電ある組は出ていき、酔っ払いたちと居座っているやつは手伝おうとしていたがさゆりが邪魔だから早く出ろと言い、今日の初期メンの俺、さゆり、二葉ちゃんが残り後片付けをした。
(飲食店バイトの腕が鳴るぜ)
店側が片付けをしやすいように俺は食器とゴミをひとまとまりにし、さゆりと二葉ちゃんは使ったガムテープや忘れ物がないかチェックをしていた。
俺は一通り片付けが終わったので座敷を出ようとしていたらさゆりがぶつかってきた。
「どーん!さっすが飲食店バイト、綺麗にまとめたねー」
「こうしとけば片付けもしやすいしめっちゃありがたいんだよ」
「そんな自慢げに言われてもホールほぼやんないんでしょ」
「おい、それ誰からきいた」
「歌乃ちゃんが教えてくれたよ、同じバイト先なんだってね」
(歌乃、ぜったい歩からきいたろ)
「偶然ね、まじびびったなー」
「さゆりさんこっちも確認終わりました」
二葉ちゃんも確認し終わったらしいので座敷から出た。
「ありがとうございましたー、ごちそうさまでしたー」
そう言って店を出て帰り道に話の続きをされた。
「歌乃ちゃんかわいいからバイト先でも守ってあげてね」
「それはまあ頑張ります」
「でも今日最初はなんか2人ともぎこちなかったですよね?」
「それは、入学したてで3年と仲良いなんて歌乃に変な噂たちそうだろ?それで」
「それで隠そうとしてたんですね歌乃ちゃんに確認もせず」
「はい、そうです」
「歌乃ちゃんは、、」
「歌乃ちゃんはそんなの気にする子じゃないよ!」
さゆりが二葉ちゃんに被せて言った。
「それは本人にもいわれました」
「でしょ?まだまだだね、2つも歳下に気を使わせるなんてしかも女の子に」
「おっしゃるとおりです」
「でも自分より他人のことを気にするあたりたかとらしいけどね」
「おれ褒められてんの?貶されてんの?どっちなん」
「うーん、どっちかっていうと説教だから貶してる?」「そうですね、確認しなかったササさんが悪いので」
「2人で総攻撃はやめてくれ、心が折れる音が」
「だいいち、たかとは女心ってのがわかってないんだよ!」
「はい、すんません。ごもっともです」
「いまだってさ、、」
「なに?」
「と、とにかくちゃんと歌乃ちゃんみてあげてね!それじゃわたしたちこっちだから!じゃあねまたね!」
「え、ああまた」
二葉ちゃんはお疲れ様でしたと会釈をしさゆりのあとを追っていった。
(そんな怒るぐらい歌乃のことかわいいのか。でもお前のことも真帆さんから頼まれてんだけど、マネージャーってそういうもんなのか)
どう考えても的外れな考えをした佐々木貴翔であった。
的外れってなんだよ。
はぁ〜。
おいー。
はーい、3日後はリーグ戦最終戦です。




