フラグ33 出会いの音
朝起きるとさゆりと陽から連絡が来ていた。
今日伊勢の代わりなんだって?たかとってチャリだよね、大学着いたら教えて
りょーかいっと、そんで陽からは
俺も行かない方がいい?笑
いやふつーに来いよ笑っと
準備して行くか。普段、大学行く時でも整髪料は付けないが(大学入学して半年はつけていた)今日は一応付けていき派手でもダサくもない服を着ていくことにした。無難な物がちょうどいいし今日は入学式で主役は新入生だからだ。
準備ができると家を出て自転車に乗り大学へ向かう。通学路の桜もほぼ満開と呼べるくらい咲き誇っている。
(暖かくなってきたしもう春って感じだな)
20分程度走らせ大学に到着し自転車の鍵を閉めていると陽から電話がかかってきた。
(ちょいまちちょいまち)
「ういすー、着いてる?」
「着いてもうさゆりといるよ」
「おっけーどのへんにいる?」
「3号館の前らへん」
「じゃあ向かうわ」
駐輪場から校舎へ向かうと大学の敷地内は新入生と部活やサークルの勧誘でごった返していた。
(うわーこんなんで会えるのかっていうか3号館までたどり着けるのか。でも長年のコミケで培った人混みの中を抜けていく技術があれば楽勝か)
のらりくらりと人混みの中を抜けていきなんとか3号館の前に着いた。
「ササー!こっちこっち!」
「すんません、お待たせしました」
「大丈夫大丈夫10時ぴったりだし場所はもう取れてるはずだから」
「場所ってあれね、体験入部とかの受付する場所ね」
「そーそー椅子と机は用意してあるらしいからもう行くだけ。ちなみに勧誘は2年に任せてあるわ」
「そーゆーことね」
「喋ってないでそろそろ行くよ」
「はい、すみません」
場所が分かっているさゆりと陽が先陣を切り人混みをかき分けていく。受付の場所は3号館から近くすぐに着いた。
「ここっぽいね」
「そう、だねここだ!じゃあ手分けしてこれ机に貼ってって」
「りょーかい」
さゆりが渡してきたのは手作り感満載のポスターと軟式野球部と大きく書かれた紙だった。
「凝ってるなあこのポスターさゆりが作ったんだら?」
「そうだよ!どう?」
「こんなに絵が上手いとは思わなかった」
「まあまあもっと褒め讃えよ」
「さすがですさゆりさまーこのポスターを見たらだれでも入ってきますねー」
「ふふーん」
「夫婦漫才してないで早く準備を進めてくれ」
「はーい、すみません」
「たかとのせいで怒られたんだからね」
「いや調子乗ったさゆりのせいだろ」
「なんだとー!」
陽が今度は目で訴えてきている早く準備しろと。
「すみません、進めます」
5分経過し形になった。
「特製ポスターよし!野球部の張り紙よし!体験入部の受付用紙よし!完成!」
「これで待つだけだな」
「とりあえず一段落したから飲みもん買ってくるけど、、わかった買ってくるよ」
俺とさゆりは陽に買ってきてオーラを出し買ってきてもらうこととなった。
「なにがいい?」
「わたしりんごジュース!」「おれ水で」
「水なんてなんか都会人ぶってますねえ」
「ぶってねえわ!」
「もう勝手にやってろおれ買ってくるから」
「おねがいしまーす!」
「陽はやっぱ優しいね」
「そうだな出会えて仲良くなれて良かったよ」
「類は友を呼ぶってやつですな」
「そう、、ってどゆこと?」
「分かってなきゃいいよーだ」
「なんだそれ、そういや今年もマネージャーも募集すんだら?」
「そーだよー華があっていいからね」
「それ俺らが言うことだろ」
「いやいや私だって可愛い後輩がいればやる気が出るって訳ですよ」
「二葉ちゃんもいるじゃん」
「いやあ二葉ちゃんも可愛いんだけどまだまだ足りないよ」
「マネージャー業的にも人は多くいた方がいいしな」
「そーだねえ、でもそれだけ考えてもおもしろくないじゃん?」
「いやまあ、、そうかもね」
「そうだ、前期の講義何受けんの?」
「え?まだ決めてない履修登録来週だし」
「ちなみに残単は?」
「おれ去年の前期8落としたりしてるから48」
「あはは、4年確定じゃん」
「うるせーさゆりは?」
「わたし?44」
「いやゆうてギリ3年後期までじゃん、変わらんよ」
「いやいやいやいや3年でしっかり終わらせれば就活に集中できるじゃん」
「ぐうの音もでねえ」
「ふふーん」
「そういや陽おせーな自販機そのへんにあんのに」
「以外と水売り切れてんじゃない?」
「うわーありそー申し訳ねぇ」
10分後ようやく陽の姿が見えた。
「おまたせー」
「遅かったね、、ってその子どうしたの?」
「なんかマネージャー志望らしいよ、2年が勧誘してたら軟式野球部の受付どこかって」
「マネージャー志望!?じゃ、じゃあこの紙に学部と名前書いて!」
さゆりが大慌てで受付用紙とペンを出した。
「はい」
その子は可愛い系の顔立ちで身長は低めでおそらくさゆりより小さい。髪はセミロングぐらい。だいぶ緊張しているのだろう。緊張をほぐそうとさゆりが話しかけているがまだ少し表情が固い、少し声も震えているがマネージャーを絶対やりたい気持ちと野球が好きな気持ちが伝わってくる。今思えば彼女に対する第一印象は小さい子で野球が好きなんだなぐらいにしか思っていなかった。しかし本当はその時から彼女の声と緊張がほぐれた後の笑顔に惹き付けられていたんだと思う。
それが中川歌乃との出会いだった。
「じゃーねーかのちゃん!」
「はい!ありがとうございます!さゆりさん!先輩方もありがとうございました!」
「これからよろしくねー」
手を振ると歌乃はペコっと頭を下げて帰って行った。
「かのちゃん偉いね、宮城から上京して一人暮らしなんだって」
「へーそうなんだ。すげえな」
「そんで今日の入学式は親御さんと一緒に来てこれから夕飯食べに行くんだってさ。キラキラしてたよねー」
「そうだなー2年でこんな変わっちまうのか」
俺はさゆりの方を向いた。
「なに?」
「いいやなんでも」
「とにかく!入ってくれそうで良かったよ野球もよく家族で見に行ってたって言ってたし野球大好きなんだと思う」
「そうだね、それは伝わってきたよ」
「にしてもかのちゃん可愛かったなーもうすでに抱きしめたい」
「さゆりなんかこの話数キャラ崩壊してねーか」
「この話数ってなに?わたしは元から可愛い子には甘々だよ」
「甘々、、、言われてみれば思い当たる節が、、ない訳でもないが」
でもこれ作者大丈夫か、3年生編になってさゆり初登場がこんなんになってんぞ。
まあ話を戻し
「歌乃ちゃんはもう部活には来んの?」
「もう歌乃ちゃんって言ってるー」
「うっさいいいだろそれは!二葉ちゃんも二葉ちゃん呼びだし!で、どうなの?」
「そんな気になんの?笑一応そうなってるよ、新歓も行くって言ってたし」
「もう確定演出じゃん」
「君たちが変なことしなければね」
「俺らはなんもしねえよ、なあ陽?」
「2個下だしねー」
「たかとと陽が何もしないのは知ってるよ、ただあの子の同学年とか君ら以外とかだよ」
「それは注意して見ときます」
「頼んだよ」
そう言ったさゆりは真剣な顔をしていた。ただ歌乃に入部してほしいだけで言っていない感じがした。おそらく俺らが1年の時のことがよぎったからだと思った。
さゆりもとい俺らの学年が入部した当初は3年にはマネージャーがおらず2年の真帆さんだけでさらに俺らの学年にはもう一人マネージャーがいた。
まず1年の中で2人がさゆりに告白しそれを断られた2人が部活を辞め(体験入部期間だったが)数ヶ月後に時々部活に来ていた4年生に告られ、それも断ったさゆりに対して調子乗っていると考えたもう一人のマネージャーがさゆりと喧嘩をしたりと色々とあった。さゆりからしたら自分のせいで3人も部活を辞めたと思い込んだのだろう。そんな自分を責めなくてもいいのにと今ならそう思えるが、さゆりはそう思ってしまうのだ。
その時のことを思ってからこそのさっきの言葉に繋がったのだろう。
「そういえばさ、たかとと陽って最初っから仲良かったイメージあるけどいつから仲良いの?」
「いつから仲良いっていうか、話したのはもはや新歓前だよな。なんなら野球部の中で初めて話したのが陽で」
「懐かしいなー、俺とササDMで話したんだよ春から東彩大つけてたらササから送ってきて最初の最初だもんな。なんならここの受付の場所とか聞かれた」
「そうだったの!?めっちゃ偶然じゃん!でも春から東彩大はあったねー」
「まだまだ半分は高校生みたいなもんだからね」
「今年は何人入ってくるのか楽しみだね」
その後は2年生が勧誘で連れてきたり歌乃のように単独で来たりして入部志望の1年生は20人となった。
「そろそろ退却の時間だし片付けますか」
「そうだね、じゃあたかとと陽は椅子と机を指定の部室棟前に運んで私は受付用紙とかまとめて3号館の前にいるから一旦そこで集合しよ」
「おけー、このポスターどうすんの?」
「どうしよっかなー」
「せっかくだから部室の中に保管しとけば、来年もしかしたら使うかもだし」
「じゃあそうしよっかな、部室の鍵渡すから入れといて」
「はいはーい」
「そんじゃ一旦解散!」
俺と陽は部室棟前に机と椅子を置き部室にポスターをなるべく綺麗な棚の中に置いて3号館に向かった。人も少なくなったためすぐにさゆりを見つけることができた。
「今日はお疲れ様でした。伊勢の代打のたかとも陽もありがとね」
「おう!さゆりもお疲れ様」
「ありがとー、じゃあここで解散で」
「うーい」
「じゃあまた部活で気をつけて帰ってねー」
「はいはーい、陽もさゆりも。じゃ」
手を振りながら駐輪場へ向かった。
バイトも新人が入ってくるし、明後日はシフト入ってるけど新人が来るのかなとか考えつつ帰路に着いた。




