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フラグ1 雰囲気サークル実は部活

ガス栓閉めて、洗浄機も切ってと、これでおっけー。

「キッチン終わった?」

「おん」

「じゃあ上がっちゃって」

「おっけー」

今日は代行日だから健人が店長代行として店を回している。やっぱ店長いないと気も楽だ。

今日も終わったなー、そこそこ客きて微妙にだるかったなあ。

と、思っているとホールのクローズも終わったのか続々と楽屋に入ってくる。

今日のメンツはかなりいい、昨日飲んだ朔斗がいるし同じ歳トリオだ。あと4人いるがあまり絡みがないので以下省略。

皆上がったら着替えるなりスマホいじるなりしている。

「やっと発注終わったわー」

疲れ果てている健人がiPad片手にキッチンからやってきた。

「今日売上何万?」

「27万」

「土曜日にしてはそんなだな」

スマホをいじりながら朔斗が聞いた。

健人はパソコンをいじりながら応え、業務をしている。代行業務は営業時間が終了した後でも売上を打ち込んだり人件費を確認したり色々やるらしい。

俺は関係ないしやる気もないしなんせ俺より仕事が出来る健人や朔斗がいるからやる意味もないのだ、そもそもキッチン志望で入ってるし。

20分程すると皆帰っていき俺と健人と朔斗の3人となった。

「最後に1本だけ吸ってくわ」

「じゃあ俺もー」

健人と朔斗はタバコを吸いに行き、非喫煙者の俺は1人残されスマホを弄りながら待っていた。

帰ってくると「貴翔、俺たちこれから遊ぶし明日部活でしょ?先帰ってていいよ」と健人が言い、なんだよ待ってたのにと思いつつ返答し帰り支度をする。

「じゃ、おつかれー」

「おいっすー」

いや、まあ良いんだけどさもっと早く言えよ。と思いつつ帰路に着く。

健人と朔斗とは大1のバイトに入った時からの付き合いで歴で言うと健人は1年、朔斗は3ヶ月程長い。十分尊敬することもあるし仕事も出来るし、イケメンだし。でもこういうとこあるんだよなあ。2人はかなりウマが合うためしょっちゅう遊んだりしている。そのためか少し距離を感じる。仲は悪くないしむしろ良い方だと思う。なんだかなあ。

そんなことを考えていると家に着きシャワーを浴びて床に就く。

もう0時を回っている。明日はリーグ戦だ。




〜♪

スマホの目覚ましが鳴り寝ぼけながら朝ごはんを食べ、歯磨きをし身支度を整えてグラウンドへ向かう。

よし、行くか。

グラウンドは自転車で40分程、高校の時も同じくらい自転車で通ってたから行けるだろうと思い上京した時今の家にしたが高校生と今とじゃ体力も生活も違うため結構きつい。

今日は信号あんま引っかかってないから早めにつきそうだ。

田舎とは違い信号が多い東京は距離が短くても無駄に時間がかかる。そんなことを考えていると大学の校舎に着きグラウンドまで少し自転車を走らせると人工芝の野球場が見えてくる。

そう、俺は野球部なのだ。小学1年生から野球を初め今に至るまで続けている。これでも運動は出来る人間なのだ。高校は硬式だったが大学は生活と一応の勉強があるため活動日数が少ない軟式野球部にした。それでもうちの野球部は前年全国大会出場と結構強い。

今日はその全国大会がかかったリーグ戦の最終戦だ。

「おはようございます」

「ういー、はよー」

リーグ戦の最終戦ともなるとピリピリする、、はずもなく皆いつも通りで各々準備もしつつふざけ合ったりしている。監督も学生で部活とはいえ雰囲気はサークルのようである。

「今日の調子はどうよ?」

彼は伊勢勇人。入部当初から仲が良い友達のひとりでお調子者ではあるが冷静な一面もあるやつだ。

「調子もどうもチャリ漕いできただけだからわかんねーよ、てか俺ら出番あるとしたら代打だかんな」

「それもそうだわ笑気持ちが楽でいいよな、試合の前のノック終わったらほぼ今日の役目終わりだからな笑」

「やかましいわ!笑」

「ういっすー」

ちょっとした小話をしている時に入ってきた彼は下野陽。結構真面目で曲がったことが嫌いだがノリが良いやつで陽も入部当初から仲が良い。部活の時はだいたいこの2人と行動している。

「陽は試合出るから結構緊張してるっしょ」

「そりゃもう一個上の第だし全国出場がかかってるからね」

「俺らはのびのび応援しとくわ」

「んー頼んだ」

アップが終わり試合前のノックも終わると一旦集合しスタメン落ち発表とともにキャプテンから一言。

「リーグ最終戦、いつも通り全力で楽しくやりましょう!さあ行こう!」

「@#&#!」

野球部っぽいよく分からない掛け声で締めると整列し試合が始まる。

さすがに試合中は全員真剣だ。多少だが。

何故かうちの部は敵のヤジはもちろん味方のヤジも言う。なんなら味方のヤジの方が多いほどだ。たまに打席に入ってからもベンチと喋ったりしているくらい。それでも勝てるんだから本当に技術はすごいのだ。

2-3のビハインドで迎えた終盤。

「佐々木行ってこい!」

監督からそう言われると周りから「ここできました!」「いけー!」とか声がかかる。

いじられキャラであるためか打撃だけは認めているためか分からないが結構嬉しい。

一打出れば逆転のチャンスで俺が代打で送られ打席に入る。

この押せ押せムード止める訳にはいかない。

初球を振り抜くと強い打球が相手のグラブに収まりあっさりダブルプレー。

「なにしてんねん!」「ボケー!」色々ヤジがとんでくる。

落ち込んでいる暇もなく次の回にあっさり逆転し試合には勝った。

試合後のミーティングで

「逆にあれがあったからこそ逆転出来たようなもんだ」

「ってことはナイス佐々木」

「そんなわけないだろ!」

と笑い半分でいじられた。まあ、こういうチームなのだ。

そのときは結果オーライと思っていたが帰ってる途中でやっぱり悔しくなった。いつもこうなんだよな昔から大事な時、大事な試合で打てないんだよな。でも切り替え切り替え。そう思い自転車を漕いだ。

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