プロローグ 元主人公のモブ
「はい、おつかれーかんぱーい」
大学2年の春、友人に誘われ居酒屋にいた。
「竜生今日は彼女は?」
「てきとーに言ってあっから大丈夫大丈夫。それより今日は楽単作戦会議だろ。」
そんなことを言っているのは本当に適当星人、同じ大学の新井竜生21歳浪人したから歳はひとつ上だ。
「そんなんでいいのかよ、てか1年で20単位しかとれないのえぐすぎだろ。そんなん前期でとれるわ。」
「まあまあこれが大学生のデフォルトだから。これが普通だから!」
「そんなんだからすぐ浮気バレんだよ」
毎回毎回突き刺さるツッコミを入れるのは、竹内朔斗。イケメンのくせしてこれまでほとんど彼女がいた事のない俺と同じ20歳。
「それは関係ないから!それは置いといて健人は?」
健人。井ノ上健人は同棲中だから何かしらあるのだろう。いつも時間に遅れてくるが。
「あーなんかちょい遅れるって」
「いつものことか」
「お前らもだわ!」
「わりぃわりぃって事でかんぱーい」
1年も一緒にいれば慣れたけど東京の人ってこういうもんなんだな時間にルーズというかなんというか。
「貴翔は明日部活?」
「いや、明日はねえわ」
「週なんなんだっけ?」
「週2。ってか去年言ったやん。」
「あれ、そうだっけ笑朔斗もサークルとか入ればよかったのに。ゼミも入ってないんだっけ?」
「入ってないねえ。タイミングミスってめんどくさくなったんだよね。」
「竜生明日サークル?」
「そうだねサークル行ってバイトかな」
この人はほんと体力魔人だな。そうやってくだらないことを話していると健人が合流してきた。
「すいませーん。注文いいですか。生を4で」健人が来るとすぐに竜生が店員を呼んで人数分生を注文し直した。
「お前それ次来るまでに飲めよ」
「大丈夫大丈夫じゃあ乾杯で、よーいどん。」
俺と朔斗は余裕で勝ったがまた竜生がちょい残しで飲んだフリをしてる。
「全部飲めよ」そう言って健人が無理やりグラスを押し当て飲ませた。
これまためんどい酔い方すんなと思っていると追加の生が来て改めて乾杯する。
「はい、じゃあおつー」
この日はいつも通り朝まで飲んで結局楽単作戦会議なんてもんはしなかった。
ここまで全く目立っていない俺、佐々木貴翔。20歳、童貞彼女もほとんどいた事のない顔は中の下といったとこにしときたい。