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ロードオブフェアリーズ  作者: 耳無猫(without pockets)
第2章:正義の戦士リリィ
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女子力三番勝負

『女子力対決』は、所長の南条俊彦と祥子の上司、袴田陽子の許可を得て、研究所の大会議室を会場にして開会された。


「はははは。面白いことを思いつくもんだね、若い女の子達は」


「で、先生はなんでここにいるんです?本省で大事な会議があったのでは?」


「あ、それなら副所長さんに任せたよ。こっちの方が面白しね」


「呆れた…。ほんと南条先生は適当なんだから!」


「あんま怒っていると小皺が増えるよ、美世さん」


「私はまだ20代です!!!ほんとキレますよ!!」


最近化粧の乗りが悪いと感じていた美世は南条所長の軽口に激怒して声を荒げたが、


「いやあ、ごめんごめん、でもそろそろ始まるみたいだよ」


「くぅぅぅぅ、この人わぁあああ!覚えておいてください、いつか仕返ししてやるんだから」


所長の椅子にトラップでも仕掛けてやろうとなどと考えている美世のことなど知らず、司会役の南りかがマイクを手にアナウンスを始めた。


「あ、あーあー。マイク入ってるよね。えっと、お集まりの皆さん、こんにちは。私は第2小隊長、南りかです。この度はおいでいただきありがとうございました。これより、第一回女子力対決三番勝負を始めたいと思います!」


おおおお、と歓声が上がる。観客は、第一妖精隊群所属の自衛隊員や研究所の職員などであった。勿論、妖精隊員の女の子達もいたが、それよりも制服姿の男性自衛隊員の姿が目立つ。第一妖精隊群は前線部隊である妖精隊の女の子達よりも、装備の整備関係や医療関係、その他の支援組織に所属している人数の方が多い。勿論女性もいるのだが、圧倒的に男性の方が多い。そして、若い男性隊員を中心に、妖精隊員はアイドル的人気を誇っていたのだった。


「さて赤コーナー、16歳にして中隊長、第1妖精隊のエース!しかしてその実態は—」


「お兄ちゃん大好きブラコン娘、荒川祥子1等空尉の入場だああ!!」


会議室のスピーカシステムを利用して、プロレスの入場でありそうな音楽が流れる。廊下で待機していた祥子が入ってきた。


「はーい、みなさーん拍手!!」


「ちょっと、りか!なんて音楽流してんのよ。あたし、女子プロ選手じゃないわよ!!」


「え—-、結構ノリノリじゃん。ま、それはそれとして、青コーナー、しょーこの兄、袴田賢氏の分身を名乗る謎の美少女、魔法少女のつもりなのか、ひらひら可愛い衣装で登場だああ!」


祥子の時とは違い、可愛いポップな音楽が流れ、リリィが入場してくる」


「りかさん、この格好は魔法少女ではありません。我が君たる賢様を守護する正義の戦士の戦闘服ですわ」


「あーー、何でもいいよ、君の好きにしたらいい。皆さーーん、再度拍手!」


アイドルよろしくリリィは可愛くお辞儀をした。観客のほとんどがリリィを見るのは初めてであったが、若い自衛隊員を中心に歓声が沸いた。


「可愛いいぞおおおお」「リリィたーーーん!!」


リリィは手を振ってそれに答えた。


「わたくしの方が声援が多いようですよ、祥子さん」


「あんだとおお!皆んな、声援足りないぞおおお」


祥子が凄む。若干16歳にして1等空尉の祥子より高位の自衛官の観客は少ないためなのか、やけくそ気味の声援が客席から轟いた。


「よう、ショウコ。職権濫用してねえ?」


声に祥子が振り向くと、米軍の海兵隊大尉にして14歳、人類最強のヒナコがニヤニヤしながら祥子を眺めていた。存在自体がトップシークレットの彼女が自衛隊の催し物に紛れ込むのは困難なはずだが、どうやってか参加許可を取り付けたらしい。というか彼女は14歳にしてはかなり際どい格好をしていた。


「あ、あんたなんて格好してんのよ!?」


「だってさあ、あそこに座ってるお兄さんみたいのにジロジロ見られるの楽しくてさあ。ざーこ、ざーこ♡」


そのお兄さんとは、妖精部隊の総指揮官、山下群司令の副官、山田くんだった。副官とは、指揮官の次席の責任者ではなく、民間で言うところの秘書みたいな役割の士官のことである。


「山田さん…、ロリコンだったんだ、キモッ」祥子は心底ゴミを見るような目で見つつ言い捨てた。


「そ、そんなジロジロ見てませんよ〜。ひどいなあ、荒川1尉は」


「ふ〜ん。山田さん副官なのにパパ司令についてかなくてよかったんですか?」


『パパ司令』とは、山下群司令を慕う妖精隊員たちが密かにつけた愛称だ。群司令本人も知ってるのは公然の秘密だが。


「群司令に、私の娘達の勇姿を見てきてくれ、って言われたんですよ」


2人の会話に司会のりかが割り込む。


「あ—、えーと、そこの人達内輪で会話するのやめてもらってもいいですか?それに、山田2尉は群司令の伝言を預かってきたんじゃないの?」


「あ、そうそう、忘れてました!」


「忘れてんじゃねーぞ!!」「さっさと言え、ロリコン山田!」


客席の、山田くんの同僚や上官と思しき自衛官から罵声が飛ぶ。


「そこ!!黙っててください!おほん。これよりこの山田が群司令のお言葉をお伝えします」


山田くんは姿勢を正し、山下群司令からの伝言を皆に伝える。


「『第1妖精隊群の諸君!私も見たかったぞ。あとで詳細に報告するように』だそうです」


「山田ああ!馬鹿にしてんじゃないぞお」「ロリコンなだけじゃなくて頭までイカれたんか!」


あんまりな伝言にまたも客席から罵声が飛ぶ。


「本当です!!本当に群司令の伝言なんだってば!!」


涙目で山田くんは伝言が正しい物であることを主張した。


「はーーい、皆さん静粛に!パパ司令らしい伝言ですね、まったく。山田さんはとっとと席に戻ってください。それでは、一番勝負の種目を発表しまーす!」


チープな録音のドラムロールが鳴る。


「それは!!」


会場の皆がりかに注目する。


「萌え萌えきゅんオムレツケチャップ対決だあああああ」


「「「うおおおおおおおおおおお」」」」


会場の男性自衛官の歓声が響き渡ったが、祥子は、


「なによそれ」


と呆れ返るのだった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「料理対決じゃなかったっけ?」


祥子は司会のりかに詰め寄った。


「最初はそのつもりだったけどさ、死人が出ると困るから変更したんだよ。しょーこの料理は常人には理解不能な味付けだからね。普通の人間は塩の代わりにマヨネーズ入れないんだよ!そもそも一体どうやったらそんな間違するの?特級呪物を作るんじゃあない」


「なんだとおお!!美味しいお料理でお兄ちゃんに喜んでもらえるはずなのに」


「喜ぶどころか入院期間が無期限に伸びるよ。ま、それは置いといて、競技の説明をしまーす。用意されたオムレツにケチャップでハートマークを書いて、両手でハートマークを作って『萌え萌えきゅん♡』でどれだけの男達のハートを射止めたかで勝敗を競います。いい、2人とも?」


「し、仕方ない、わかったわ」

「わたくしも異論はありませんわ」


「よし、2人とも、準備があるんで少し待っててくれ。審査員の皆さーん!審査席についてください。皆さんにオムレツを試食していただきまーす。オムレツは1人2皿、1つは祥子、荒川1尉のもの、もうひとつは自称正義の戦士、リリィのもの。それぞれ、2人がケチャップでもえもえにするので、その2つを10点満点で採点をしてください。いいですか、皆さーーん!?」


「「「おおおおおおーー!!!」」」


萌えに飢えたる男どもが歓声を上げる。


「メイドのみなさーん、よろしくね♡」


りかが実質的オーナーを務めるメイドカフェ所属のメイド達が観客兼審査員の自衛官たちにオムレツの乗った皿を配り始める。


「んじゃ、お二人さん、皆んなのオムレツを萌え萌えにしてくれたまえ」


「ったく。なーにが、してくれたまえ、よ!まあいいわ。私の身も心もすべからくお兄ちゃんの物だけど、リリィなんかに負けられない。みんなを萌え萌えでメロメロにしてあげるわ!」


「女子力5の祥子さんが皆さんをメロメロにできるとでも?正義の戦士は、可愛いの正義でもあるのです」


2人は角を突き合わせていがみ合う。


「さあ始めた、始めた!」


りかに試合開始を促された2人は、観客兼審査員の自衛隊員の机へ。審査員は12人、事前の抽選で選ばれた10人と2名の特別審査員だ。その特別審査員とは。


「へへ。あたしに審査させようっての?あたしはキビシイよ。特に『萌え』にはさ」

「いやあ、やっぱりこの研究所の責任者なんだから審査員やるのは当然だよねっ」


ヒナコと南条所長だった。


「なんでヒナコが審査員やってんのよ?」


「だってよぉ、りかが審査員やれって言うからさぁ」


ヒナコの勤務先の在日米軍基地は第一妖精隊群や会場の妖精科学総合研究所の近隣に存在しており、彼女は近くの街にあるりかが実質経営するメイドカフェの常連客だった。彼女は見かけに反して重度のオタクだった。


「南条先生もこんなところで油売ってていいんですか?」


「それさっき美世さんにも言われたなぁ。いいんだよ、ここの研究所には副所長もいるんだからさ」


「さいですか。2人とも待ってなさい、順番に萌え萌えにしてあげるから!!」


祥子は、ケチャップ容器を手に取り、2人のオムレツに不恰好なハートを描き、手で可愛くない不細工なハートを作って


「喰らいなさい、萌え萌えギュンッ!!!、どうだあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?」


「んーー、可愛くない!1点」

「勇ましいね!だけどそれって『萌え』なのかなあ?2点だね」


「ええええ!ちょっとひどくない!?なんで萌えないのよ!」


「萌えをまるで理解なさってはいませんね、祥子さん。わたくしがお手本をお見せしましょう」


祥子の不格好なケチャップハートとは違い、可愛いハートとデフォルメされた自分の似顔絵を2人のオムレツに描いて、


「おかえりなさいませ、ご主人様。わたくしの愛のハートをお受けくださいまし。萌え、萌え、きゅーーーん♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡!!!!」


「グアアああ、なんだこの異常なハートの数わああ!リリィてめえ、1度ならず2度までもこのあたしを倒すとか許せねえ!!ちきしょう!!!でも萌え萌えだあ、9点!!!」

「いやあいいねえ、正直萌えってなんだわからないんだが、これこそきっと萌えなんだね、10点!!!」


「どうです、祥子さん、これが萌えですわ!!」


「ぐぬぬ。この手は使いたくなかったけど、こうなったら…」


祥子は密かに『力』を起動した。微弱なので、よほど近くに測定器がなければ気づかれまい。彼女は他の男性の一般審査員に近づくと、その目を凝視して、


「萌え萌えぎゅん!!どう!?」


審査員は恍惚な表情を浮かべながら、


「ああああ、うううう、10てん…」


祥子の隠された妖精の力、『魅了』だ。相手の脳に一時的な暗示を仕掛けることができる。他の妖精隊員にはおそらくこの力を使えるものはいないはずだ。しかし残念ながら肝心の兄、袴田賢には全く通じない。


「どうよ、リリィ」


「あなた…。もしや妖精の『力』を使いましたか?反則ですわ!」


「ん〜。なんのことかしら?証拠でもあるの?」


「くうう。わたくしも似たようなことはできなくもありませんが、出力が強すぎてこの会場の観客全員が大混乱ですわ。そんな力に頼らなくても!」


リリィはすたすたと別の一般審査員の元に駆け寄り、オムレツの上に萌え萌えなケチャップアートを拵えた後、審査員に抱きついて、頬にキスをした。


「チュ(^з^)-☆!旦那様ああ、おかえりなさいませぇ!」


「うおおおおお、10点!!」


審査員は恍惚の表情で10点満点を宣言。


「あんた!色仕掛けは反則よ反則!」


「キスしちゃいけないなんてルールありましたっけ?祥子さんの『力』よりかはマシですわ」


「こうなったらあ!! 」


祥子は残りの審査員のオムレツにケチャップで次々と不細工なハートを書いていき、


「お前らあ!!萌え萌えきゅんだああ!!!!」


と叫ぶ。彼女は『妖精の力』の出力を上げて残りの審査員をまとめて『魅了』した。彼らは虚な目つきで、


「「「かわいいいいい、10てーーーん、うう、ああああぁぁ」」」


「今度こそどうよ!!」


しかし、出力を上げたのが仇となった。祥子と同じ妖精隊員の一人でもある、司会のりかに感知されしまったのだ。


「しょーこ!!今『力』を起動したな。さっきのは僕には感知できなくて怪しくても黙認してたけど、今回は感知したぞ!!」


「な、何よ!?『力』を使っちゃいけないルールなんてあったっけ??」


「というか、非常時でもない限り、司令の許可なく妖精の『力』を起動しちゃいけなかったんじゃなかったっけ?今は上官の方々が不在なので、自衛官じゃないけど処分は南条先生の判断を仰ぐよ。お願いします、先生」


「そうだねぇ。祥子ちゃんはやっぱり他人の脳に影響を与える技を使ったのかい?そこのリリィちゃんも『赤蛇』ちゃん達にゴキブリの幻影を見せたって報告書が上がってたし。それって安全なのかなあ?他人の脳にダメージを与える可能性もあると思うけど。でーも、検査に協力してくれるなら、始末書A4で10枚で済ましてあげよう!で今回の勝負は祥子ちゃんの失格で」


「うわあーーーん、始末書だけは、始末書だけはご勘弁を〜。10枚なんて死んじゃうよお。一行だってツラいのにぃ」


文章を書くのが苦手な祥子には始末書を書くのはもはや拷問。泣きながら赦しを乞うたが、


「ダメだよ、しょーこ。これまで何度も僕が有料で君の始末書代筆してあげてたけど、今回はやってあげないよ。たまには君にも苦労してもらうよ、きひひ」


「いひひ。ショウコはやっぱザコだね。草生えるwww」

「女子力5の祥子さんには殿方を萌え萌えにするなんて無理だったのですよwww」


ヒナコにもリリィにも馬鹿にされる始末。哀れな祥子は叫んだ。


「貴様らあ!草を生やすんじゃない!!」


「てなわけで一番勝負はリリィの勝ち!。二番勝負は事前に言っておいた通り、メイドファッション対決です!!一旦休憩にします。両選手はこの間に着替えてきてね」


「くそう、次は最高に可愛い私も見せてあげるわ」

「可愛いの化身、このリリィが負けるわけありません。受けて立ちましょう」


「その意気やよし!存分に可愛いメイドになってくれることを期待する。評判が良かったらうちの店の新衣装に採用するよっ」


「そっちの方が目的なんでしょ?ったくりかはいつだって抜け目ないんだから。ま、見てなさい」


休憩が終わって、二番勝負、『メイドファッション対決』が開始された。


「さあて、2人にはメイド可愛い衣装を事前に考案してもらいました。まずしょーこから」


舞台袖なんてあるわけもない研究所の大会議室なので、登壇者側のドアから祥子が入ってくる。祥子は黒のオーソドックスなメイド服だったが、超がつくミニスカートにニーハイソックスだった。


「これはすごい!!メイドにとって大事な絶対領域がこれでもかと強調されているぞ!胸に自信がない分、足には自信があるのかあ?」


「胸に自信がないは余計だ、コラ!」


そんな祥子の抗議を無視して、りかは司会進行を続ける。


「さて、リリィも入って」


リリィは、ピンクを基調としたメイド服で、スカート丈は長め、背中の大きな蝶々結びのリボンがチャームポイントだ。さらにスカートには、何かのデフォルメキャラクターが可愛らしく散りばめられていた。


「リリィのスカートのその可愛いの、何だい?」りかは、リリィに聞いてみた。


「これは、賢様をデフォルメしたキャラクターですわ!ああ、こんな可愛い賢様に囲まれてわたくし、どうにかなってしまいそう」


「このお、お兄ちゃんを勝手にデフォルメキャラにするんじゃあない!」


「私は賢様の分身ですのよ?本体をデフォルメして何が悪いのですか?」


「わるいわよ、私に断りもなく」


「なんで祥子さんの断りが必要ですの?」


「あんだと!?」


「あーー、そこの賢さんガチ勢の二人!!進行の邪魔になるんで言い争いはやめていただけけませんか?全く。んじゃ、二人ともテキトーに会場内を回ってオタどもの鼻息を浴びてきなさい」


「何そのキモい言い方!まあ見てなさい、このエッチ可愛さはリリィじゃ表現できないでしょ」

「昨今はそんなえっちさよりも清楚さの方が受けてるんですのよ」


などとお互いを牽制しつつ、鼻息を肌で感じるよう会場を回った。2人とも「鼻の下を伸ばす」という言い回しが本当に文字通り鼻の下が伸びることだと思い知らされながら。


「ところでりかさん。我が君はいつおいでになるのですか?せっかくこんな可愛い格好したのに意味ないじゃないですか」

「そうよ、今度こそお兄ちゃんに見えそうで見えないおパンツと絶対領域で興奮してもらうんだから」


「賢さんは今は別の検査中で来れないって言わなかった?もうすぐ終わると思うけど。ってゆうか分身なのに賢さんの状況ってわからないものなの、リリィ?」


「分身というのは本体が意識しないかぎりその状態を把握できないのですわ。しかも時空の王たる我が君に、非常時でもないのに思念を送るのは不敬にも程がありますのでできません」


「ふーん、そういものなのかい。おっとそれは置いといて、今回の勝負は会場の皆さんの多数決で決めます。ただし、さっきみたいに不正行為があったり問題行動があった場合は僕の判定で失格負けになるんで肝に銘じておくように。審査前に何人か感想を伺います」


りかは、観客の中から眼鏡をかけた、オタクそうな若い下士官を選び、感想を述べるよう促した。


「んーー、リリィたんもかわゆいですけど、荒川1尉のお、その絶対領域はほんと素晴らしい。国宝ものです。そのおみ足をクンカクンカしたいですぞ」


「ヘ、ヘンタイ!りか、あの人ヘンタイだわ!」

「3曹、期待に違わない最低でキモッいコメントありがとうございます!キモッ」


祥子とりかの階級は1等空尉と2等空尉、感想を述べた若い下士官は3等空曹、りかの方が6階級、祥子に至っては7階級も上だ。とはいえ、祥子とりかは未成年で、一方3等空曹の方は若いとは言え成人で、年齢差を考えればかなり失礼な物言いだが、当の下士官にはご褒美になっているようだった。


りかは他の観客の意見も聞いてみたが、祥子の方が人気が高そうだった。


「こんなに可愛い格好なのに!殿方はえっちな方がいいというの?こうなったら!」


リリィはあまり見せないはずの奥の手を使うことにした。


「みてなさい、アダルトモード、チェーーンジ!!」


リリィの体が光に包まれ、会場にいた者は眩しさに目を背けた。光の中から出できたのは、長髪のグラマラスな美女、名付けてリリィ・アダルト。豊満な胸と尻が窮屈そうにメイド服におさまっていた。


「どうですか、このボディは!どんな殿方でもメロメロにしますわ!賢様以外には差し上げませんけど」


「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


観客席からは荒ぶる男どもの大歓声。


リリィは、祥子に勝ち誇ったような視線を向ける。


「おんどりゃあ、女は胸じゃないんじゃい!!」


祥子は会場の一番前に走って、


「お前らああ、パンツ見たいかあああ!!」


「「「おおおおおおおおおおおお!!!!!」」」


会場は、熱い熱気に包まれた。が、


「おーーい、祥子、それ以上やったら反則とるよ!賢さん以外には見せないんじゃなかったの?中隊長がパンツ見せるの禁止!!」


「くっ!!。くそうおおおおおおおおおおおおお」


「クスクスクス。殿方はやっぱり大きな胸が大好きですのよ。その胸じゃあ、賢様は射止めませんね」


「お兄ちゃんは胸の大きさなんて気にしてないもん!!!うわーーーーーん!」


「リリィ。あんまり祥子を煽っちゃダメだ。僕も賢さんはおっぱい星人だとおもうけどねっ。きひひ」


「うわーーーーーーん」


リリィを嗜めてるようでいて、実は無意識にりかは祥子を煽ってしまい、ますます祥子は悔し涙を流すのだった。


「あ、ごめんごめん。えっと、そろそろどっちがよかったか、みんなの評決を取りたいと思いマーす」


その時、会場後部のドアが開いた。袴田賢だ。検査が終わったので会場に到着したようだ。


「あ、賢さん。今二番勝負をやってるよ。リリィと祥子のメイド衣装を見てあげてよ。そいで気に入った方に投票をおねが…ん?どうしたんだいリリィ?」


司会のりかのすぐそばにいたリリィの様子がおかしいことに、りかは気がついた。体調が悪いのか?なんだかブルブル震えているみたいだった。


「大丈夫かい?体調が悪くなったの??」


「い、いえ、体調が悪いわけじゃなくて…。そ、その、この姿で賢様のお側にいると、んんん」


「全然大丈夫じゃなさそうだ。研究員さん、リリィが—」


りかは、この研究所の研究員の一人にリリィがおかしいと言おうとしたが、リリィが突然、


「もうわたくし我慢できませんわあああ。賢様あああああああああああああああああ!!!」


リリィは突然叫ぶと猛ダッシュで賢の元に走っていき、


「うわああああああああああああああ!!!!!!!」


賢を押し倒し、賢の上に跨った!


「賢様ああああ、わたくしをおおお、召し上がってくださいましぃイいいいいいいいい♡」


「な、何してんのーーーーー、リリィ、あんた!?離れなさいよおおおおお!!!!」

兄の貞操を奪おうとしたリリィに激怒した祥子も走っていき、賢に跨るリリィを引きはがそとしたが、


「もう、絶対離れませんわあああ、賢様とわたくしは一心同体!!賢様の大事なそれをわたしくしの中に入れてえええええええ」


りかを始め、会場にいたものは呆然としていたが、会場にいた主任研究員にして警部、高野美世が、


「リリィちゃん!賢君から離れなさい!!みんなリリィちゃんを賢君から引き剥がして!!」


呆然としていた美世の部下たちが慌ててリリィの元に駆け寄り、リリィの両腕を掴んで引き離した。


「やめてくださいまし!!わたくしは、賢様と逢瀬を!!」


と喚くリリィ。呆然としていたりかだが、気を取り直し、


「リリィ。問題行動により、失格!!二番勝負は、しょーこの勝ち!!」


と宣言するのだった。

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