表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗Rと怪盗A  作者: 瑠奈
TARGET11 ~怪盗達の正体~
190/203

ひとりぼっち

「――もう、相賀と一緒にはいられないよ」


「……えっ」


 相賀の口から、思わず声が漏れる。


 ――今、なんて言ったんだ?


「せやな。そんな事言われたら、今まで通り友達でなんていられるわけ無いやろ」


 海音に続き、拓真が頷く。


 相賀は真っ暗な空間に立っていた。自分の周りだけが明るく、二人の姿が目の前にある。翔太も、詩乃も雪美も瑠奈も実鈴も、自分を囲むように立っている。それなのに、表情がぼやけて見えない。姿ははっきり見えているのに。


「ずっと騙してたんだね」


「信じてたのに……」


 詩乃と雪美の落胆したような声が胸に突き刺さる。


「違う……騙してたんじゃない。けど……」


 言葉が、うまく出てこない。


「――もういいよ」


 突然、翔太が冷たく言い放った。


「…………!」


「言い訳なんて聞きたくない。君は僕達に嘘をついていた。それは君がどう言おうと変わらない事実だ」


「それは、そうだけど……でも、そうじゃなくて……!」


 ――言わなければよかった。


 そんな後悔だけが相賀の中に渦巻く。


 こうなることを一番恐れていたから、今まで言わなかった。黙っていた。けれど、瑠奈達なら――仲間達なら、大丈夫だと思っていたのに。全部受け止めてくれると思っていたのに。


「行こう、皆」


 翔太が言うと、瑠奈以外が相賀に背を向けた。


「ま……っ!」


 待って、と言いたいのに、口が動いてくれない。足も動かない。


 六人はあっという間に暗闇に消えていった。


「……瑠奈……っ」


 相賀は縋る思いで瑠奈に手を伸ばした。しかし――瑠奈はその手を払い除けた。


「っ!」


「……最低」


 その瞬間、ぼやけていた瑠奈の顔がはっきりと見えた。


 その顔には、明らかに軽蔑の表情が浮かんでいた。しかし、目には涙が光っていた。


「……さよなら」


 それだけ言い、踵を返して走っていく。


「瑠……っ!」


(なんで……なんで動いてくれないんだよ!)


 今すぐ瑠奈を追いかけたい。土下座したっていい、謝りたい。誰に裏切られようと、せめて瑠奈だけには――


  体が動かない。見えない何かが相賀に絡みつき、その場に固定するどころか、瑠奈達が行った方向とは逆方向に引きずっていく。


(やめろ……っ! 離せ!)


 瑠奈達が自分からいなくなってしまったら。自分は、本当にひとりぼっちだ。


(……そんなの、嫌だ……!)


 自分の勝手なエゴだと、そんなことはわかってる。こんなこと言って信じてくれ、なんて馬鹿げている。でも。これ以上ひとりぼっちになるのは――耐えられない。


 気づけば、相賀は大声で叫んでいた。


「瑠奈ぁぁぁっ!!」



「――っ!!」


 地下室のソファで眠ってしまっていた相賀は飛び起きた。荒い息をしながら周りを見回し、いつもの地下室であることを確認すると、大きく息を吐いてソファの背もたれに体を預けた。


「……くそっ、なんだよあの夢……」


 冷や汗で額に張り付いた前髪をかきあげながら一人呟く。


 真冬の地下室は恐ろしく寒く、相賀はソファの背にかけていたスタジャンを羽織り、エアコンをつけた。


 動き出すエアコンを眺めながら、相賀は、嫌な予感を感じずにはいられなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ