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怪盗Rと怪盗A  作者: 瑠奈
TARGET10 〜仲間を救い出せ!〜
184/203

進む計画

『これは……まずい……』


 ベッドに乗せられた翔太の怪我を診た医師の一言が、重くのしかかる。


 一緒に救急車に乗ってきた相賀、宇野に送ってもらった瑠奈達、地下室から駆けつけた海音、雪美は救急処置室の前で翔太の処置が終わるのを待っていた。全員が悲痛な面持ちで部屋の扉を見つめている。


 翔太が運び込まれて五分ほど経ったとき。一人の看護師が慌てた様子で廊下に飛び出してきた。その看護師の言葉を聞いた一同が顔色を失った――



「……なぜ、殺さなかった?」


 氷刃のような声が、ベクルックスに鋭く突き刺さる。


 目の前の豪華なデスクに座るのは、ボスであり、自分の父親である大沢佳月。背後のガラス張りの壁から射し込んでくる朝日で表情は見えない。だが、その声は絶対零度ほどの冷たさを含んでいた。


「申し訳ありません。まさか、警察が突入してくるとは……」


「言い訳はいい」


 佳月はぴしゃりと言った。


「警察共が突入してくる前でも、十分過ぎるほどチャンスはあったはずだ。なぜ、引き金を引かなかった? 私は、そんなふうにお前を教育した覚えはないぞ」


 ――相手の隙をつき、躊躇わず撃て。(なさ)けなど必要ない。


 そう、教えられてきた。けれど。


 引かなかったのではない。引けなかったのだ。あれだけの憎悪を覚えながらも、トドメはさせなかった。


 うつむくベクルックスに、朝日が当たる。


 確かに、警察が介入してくるのは想定外だった。あいつらなら――怪盗達なら、そんな事をするわけがないと高を括っていたのだ。Aの焦りようには内心首を傾げたが、まさかそんなことはないと、思い込んでいた。


「……申し訳、ございません」


 ベクルックスは頭を下げた。フッと息を吐いた佳月は立派な革張りの椅子に体を預けた。


「……一度、高山翔太の抹殺は諦めろ」


「な……っ!?」


 佳月が発した衝撃的な言葉に、ベクルックスは思わず声を上げた。


「どうしてですか……? まさか、オレが……」


 自分がいつまでも翔太を消せないから、任務から降ろされるのか――


 だが、佳月は即座に「違う」と否定した。


「それよりも優先することができたからだ。――アクルックスを組織に引き入れろ」


「…………」


 アクルックスを、組織に引き入れる。それは、ベクルックスにとって翔太を抹殺することと同じくらい、いや、それ以上に難しいことだった。


「……ですが、それもどうすればいいか……」


「そんなことは決まっているだろう」


 佳月が笑みを浮かべる気配がした。それだけでベクルックスの全身に鳥肌が立ち、冷水を掛けられたかのように背筋が冷たくなる。逆光で見えなくてもわかる。佳月は今、勝利を確信したときの、残忍な笑みを浮かべている。


「奴の正体を、仲間の前でバラしてやればいい。流石の奴も、ただでは済まないだろう」


「…………」


 以前のベクルックスなら、容易に考えついたのかもしれない。だが、今のベクルックスには考えられなかった。そして、続く佳月の言葉に驚愕の表情を浮かべる。

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