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怪盗Rと怪盗A  作者: 瑠奈
TARGET10 〜仲間を救い出せ!〜
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お前には

「……お前、パーティーの日来るのか?」


 放課後。バッグに教科書を詰めていた翔太の元に相賀がやってきた。瑠奈達も自分の机から二人を見守っている。


「……さあ、どうかな。僕は友達もいなかったし、クリスマスの良い思い出なんかないんだよね。クリスマスプレゼントも買ったことないし。だからあまり行こうとは思えないけど……君達となら、いいかもね」


 それは、本心だった。星の丘中学校に転校してきて、行事が楽しくなかったことはない。

 

 だが、正直不安もあった。


 自分が、行って良いのだろうか。いても良いのだろうか。


「……翔太」


 不意に、黙っていた相賀が口を開いた。


「お前は楽しむ資格、あるんだからな。……お前には」


「……!」


 相賀はそれだけ言って拓真達の元に戻っていった。


(……《《お前には》》?)


 翔太は相賀の最後の言葉が引っかかった。まるで、自分には資格がないような口ぶり。しかも、翔太がギリギリ聞き取れたくらいの、独り言のような小さな声だった。


 最後に付け足された言葉は、どういう意味なのか。


(……どうすれば良いのかな)


 翔太は首に下げているロケットを制服の上から握りしめ、窓の外を見上げた。この間の嵐が嘘のようにきれいな青空が広がっている。だが、翔太の心は暗いままだった。



「ハァッ!」


 瑠奈は空手道場にいた。今日のメニューは組手の強化だ。帯の色ごとに分かれ、どんどん試合をしていく。


 メンホーをつけた瑠奈は相手と向き合い、礼をした。同い年くらいの、髪をポニーテールにした女子だ。


「始め!」


 師範の合図で構えを取る。最初に仕掛けてきたのは相手だった。


 一気に瑠奈に飛びかかり、左の正拳突きを繰り出す。それを避けられると、さらに右足で蹴りを放った。


「……っ!」


 挟み撃ちにされた瑠奈は蹴りを何とかガードし、中段突きを打ち込む。


「やああああーっ!」


 軽く身を引いた相手は瑠奈の腹に中段蹴りを放ち――当たる寸前で止めた。そしてスッと足を引いて構え直す。


「青勝利!」


 師範が宣言する。


「嘘……石橋さんが……?」


 赤いメンホーを取ってため息をつく瑠奈の耳に、他の生徒達の声が聞こえてくる。


「石橋、悩みごとか?」


 髪を結び直していた瑠奈に、師範が話しかけてきた。


「……ええ、まあ」


「迷いは拳に現れる。今日は調子が悪かったな」


「……はい」


 瑠奈は曖昧な笑みを浮かべて頷いた。


「瑠奈ちゃん」


 と、師範と入れ替わりで先程の相手がやってきた。


「元気になったら、また試合しよ!」


 そう言って笑い、去っていく。


「……あの子、誰だろ」


 相手は瑠奈のことを知っているようだが、瑠奈は見覚えがなかった。声も、聞いたことがあるようなないような……


「…………まあ、いいか」


 悩みがあるのは確かだ。もちろん、翔太のことだ。また、初めて会ったときのように自暴自棄にならなければいいが……


(……心配だな)


 瑠奈はタオルで額を拭いながらため息をついた。

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