表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗Rと怪盗A  作者: 瑠奈
TARGET3 〜ライバル登場!〜
PR
13/230

転校生とライバル登場!

 星が瞬く夜空を、黒い布が翻る。あるビルの屋上に立っていた人影はふと夜空を見上げた。雲の間から満月が顔を出し、人影を照らす。それは黒いマントを羽織った男だった。夜風にマントをはためかせた男はしばらく満月を眺めていた。



「ほら席座れー」


 朝。三浦みうら永佑えいすけの声が騒がしい教室に響く。いつものようにじゃれていた黒野くろの慧悟けいご相楽さがら竜一りゅういちが席に付き、他のクラスメートも続々と座っていく。


「全く……もうチャイムは鳴ってんだぞ? いい加減ベル着出来るようになれよ。そんなんじゃ転校生に示しがつかないだろう」


「転校生?」


 竜一が聞き返す。


「ああ。時期的に珍しいけどな。入っていいぞ」


 永佑は廊下に向かって声をかけた。ドアが開き、入ってきたのは――男だった。黒いリュックを背負った男は教卓に向かってまっすぐ歩き、くるりと生徒の方を向いた。その男の顔を見た生徒は皆驚いた。男は長い前髪で右目を隠していたのだ。左目は綺麗な青だ。


「自己紹介どうぞ」


「はい……高山たかやま翔太しょうたです。よろしく」


 翔太が短い自己紹介を言い終わるや否や、慧悟が立ち上がった。


「その右目、どうしたんだ?」


 翔太は突然尋ねられて困惑の表情を見せた。しかし、すぐに真顔に戻った。


「……言えない事情があるんです」


 それしか言わなかった。


「黒野……タイミングってもんがあるだろう。高山は緊張してんだぞ? えーっと高山の席は……あ、渡部わたなべの後ろが開いてるな」


 永佑が指した席は窓際の一番後ろの席だった。


「視力大丈夫か?」


「大丈夫です」


 短く答えた翔太は渡部わたなべ海音かいとの後ろの席に座った。



 休み時間。海音はくるりと後ろを向いた。


「高山君、だっけ。僕は渡部海音。よろしくね」


 窓の外を眺めていた翔太はゆっくり海音を振り返った。そしてかるく頭を下げると、すぐに窓の方を向いてしまった。



「緊張してるからじゃないのか?」


 帰り道。一緒に帰っていた木戸きど相賀あいがはやし拓真たくまに昼間のことを話すと、相賀が言った。


「最初はそうだと思ったんだけど……今思い返すと、そうじゃなかったと思うんだ。緊張して話せなかったというより、自分から僕を避けてるような……そんな気がしたんだ」


「まあ海音の勘は当たるからなァ……。それに雰囲気もなんか独特やし……」


「だよな……俺もそう思ってる。あの右目なんだろうな」


「怪我でもしてるんとちゃうか?」


「怪我なら眼帯してるのが普通だ。前髪じゃ隠さないな。とすると……傷痕でもあるのか……」


「あ」


 突然、海音が声を上げた。


「オッドアイじゃない? ほら、僕色んなパーティーに招待されるんだけど……パーティーで会った人の中に、オッドアイだからいつも眼帯してる人がいたんだ」


「……あり得るな」


 相賀は腕を組んで考え込んだ。


「まあ、深入りしないほうが良いだろうな。彼が自分から話そうとするまでは口出ししないほうがいい」


「せやな」


 その頃。翔太はパソコンの前に座っていた。画面を険しい目で見つめ、椅子から立ち上がる。


 パソコンの奥には、写真立てが置かれていた。写真には、翔太とその親らしき男女、そして男性に抱っこされる小さな男の子が写っていた。



「A、何かおかしいよ。この美術館、警備員が十五人いるんでしょ? 一人もいないよ」


 ある美術館に忍び込んでいたRは通信機に呼びかけた。


「まだ待機してるんでしょ? 気をつけてよ」


『ああ』



 屋上から美術館に忍び込んだAは地下に向かっていた。この美術館の地下には金庫室があり、今回はそこに眠っているダイヤを狙っているのだ。しかし――。


「なっ……!?」


  金庫室の扉を開けたAは絶句した。その部屋の中には警備員が何人も倒れていたのだ。全員気絶しているようだ。Aはすぐに通信機のボタンを押した。


「R、脱出だ!」


『盗んだの?』


「いや、誰かに先を越された。警備員が全員金庫室で倒れてたんだ」


『……わかった』


  通信を切ったAは金庫室を飛び出した。


(誰が俺たちより先に……実鈴じゃないな。警備員があんなになってるわけないし……一体……)


 Aは内心首を傾げながら廊下を駆け抜けた。



 屋上についたRはあたりを見回した。


「Aはまだか…」


 その時、Rの視界の隅に何かが映った。見ると、屋上の隅にある貯水タンクの陰から黒い布が見え隠れしている。


「誰かいるの!?」


 明らかにAではない。Rが叫ぶと、人影がタンクの陰から出てきた。月が出ていないためはっきりとは見えないが、男だ。黒いマントを身に纏った男はくるりとRに向き直った。


「こんな暗いのに僕の姿を見つけられるとは。夜目が利くのかな?」


 男が口を開いた。軽い口調に明るい声で、完全に場違い感が出ている。


「あ……あなた誰!?」


 Rが尋ねたその時、月が雲の間から顔を出した。月光に照らされ、男の姿がハッキリ見える。


 百六十センチ後半あたりの若い男だった。白いシャツに黒いベスト、黒いマントにズボン、黒ずくめの格好をした男は目元に仮面をつけていた。白無地に金色で縁取りされた仮面だ。


「僕かい? 僕は……『怪盗X』。君達が狙っていたダイヤは僕が貰ったよ」


 男――Xは懐からダイヤを取り出して見せた。ダイヤが月光を浴びてキラキラ光る。そこにAが飛び込んできた。


「なっ……!? それは俺らの……!」


「君達の? これは僕が盗んだんだから僕のものだよ」


「違う! それはあなたのものでも私達のものでもない! そのダイヤは持ち主の大事なものよ!」


 Rが叫ぶと、Xのそれまで浮かべていた笑みが消えた。切なげに「大切なもの、か……」と呟く。


「人は他人が大事にしてるものなんて簡単に壊してしまうのに。君達はそれでも他人の大切なものを守るのかい?」


「え……」


 二人が一瞬戸惑った。Xはその隙に屋上から飛び降りた。


「あ!」


 慌てて縁に駆け寄って覗き込むと、Xは宙に浮いていた。背中には機械を背負っている。


「チッ、エンジン付きのパラグライダーか……」


 Aが悔しそうに呟く。パラグライダーにぶら下がったXはブレークコードを引いて旋回し、飛び去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ