85 「キャンプへGO」
久々の更新です。
このまま完結まで突っ走りたいところですが、亀のように遅筆ですみません。
よろしくお願いします。
サバイバルキャンプは、実戦演習の時と同じように移動用のレンタルドラゴンに乗って移動した。
相変わらず、な・ぜ・か・キラッキラチームに所属することになった私は、眩しい組み合わせのチームの中で、一人だけ陰のオーラが漂いながら居合わせる。
「なんでそんなに暗いのだ? このチームなら何も問題なさそうだが?」
そしてなぜか、というかいとこ設定にしてるんだから私のチームに混じってきたんでしょうけど。完全に幼女で貫き通そうとしている学園長のフレイヤが、不思議そうな顔で私に話しかける。
中身は何百歳のババアみたいだけど、ハイエルフによる若さの秘訣によって完全なる幼女の姿をしている。それに相まって幼女設定を強める為に、瞳をキラッキラさせて話しかけてくる学園長まで眩しく見えてまじつらい。
「学え……、ナーシャはわかってないんですよ」
「敬語はおかしい、しっかりせい」
「いや、ババア言葉もあれかと思いますが……」
ヒソヒソと話をする私達だけど、他のみんなはそれぞれで会話をしてるので誰も気にしてない。すっかり仲良くなったウィルとルーク、終始テンションが高いエドガーを宥める役としてサラが。
そして私はお守りと称して、ナーシャという名前で幼女設定をぶち抜こうとしてる学園長を相手にしている。
こういう時は幼馴染3人組に馴染んでなくて、軽くハブられていた状態のルークが私の方へ寄って来るのが常だったけど、天真爛漫なウィルと仲良くなってくれたことで、肩の荷が降りたというかなんというか。
「設定を守らんとな。ボロが出てはいかん」
「その喋り方がまずなんとかならないんですか」
「これはもう、仕方ないだろう。ちょっとマセた女の子設定でいこうではないか」
「はいはい、それじゃあ私がタメ口で偉そうにツッコんでも、カチンと来たりしないでよね」
「儂は心が広いから任せておくがいい!」
不安しかねぇ。なんだよ、儂って。ババア通り越してジジイじゃん。
とにかく今回のサバイバルキャンプが、これまでと比較にならないレベルで面倒臭いということが確定したというわけで。私は始まる前からげんなりとしているわけだけど。
元気一杯の若者+ロリババアは、旅行気分ではしゃぎまくっている。
こんなに元気に差が出たら、なんだか私だけが若年寄りみたいで嫌になってくるわ……。
サバイバルキャンプをする場所は、毎年決まっている。
前回は邪教信者が襲撃してくることを私が事前にリークしていたので、演習場所を秘匿にしていたんだけど。今回は何がどうあっても襲撃場所を特定することは明白だった。
ゾフィに散々吸われた血のせいで、今では私がどこにいるかなんてお見通しなのよね。
まさか自分が敵にとってGPSの役割をすることになるなんて、思ってなかった。
だからと言って私が不参加にしても、それはそれで意味がない。
敵の今回の狙いは完全にサラになってるから。
実戦演習の時に、サラは特殊な治癒魔法を披露してしまってる。
相手はもうすでに目星をつけて動いているから、確実にサラを襲撃してくるはずだ。
そこ場に私が居ようが居まいが関係なくなってる。
なんてことを考えてたら、ドラゴンが下降を始めた。
目の前に見えるのは深い森。上空にはギャアギャアと叫び声を上げている大きな鳥、いや……魔物か?
それまで和やかな雰囲気で会話をしていた連中が、目の前の光景を見て言葉を失っている。
通称『魔の森』
その名の通り、魔物の巣窟だ。
森の中、そして周辺には普通に人間を襲ってくる魔物で溢れ返っている。
水中、陸上、上空、あらゆる場所で魔物が徘徊している、そんな場所だ。
「嘘でしょ……、確かに魔物が巣食う森って説明はあったけど」
「ここ、下手したら普通に襲われて死んじゃう……なんてことも、十分にあり得るんじゃ?」
戦慄しているサラとウィル、二人は比較的平和主義者なので、こんな物騒な森を見たらそりゃ震え上がるのも無理はないわよね。私なんてドラゴンに乗る前から、すでに帰りたいって思ってるし。
「ここで俺が一番の活躍をして、成績トップを維持してやんぜ!」
「……今回も生存するのが目的だから、活躍も何もないんじゃないか?」
「るっせぇ! 襲ってくる魔物全部のして、一番安全確保したチームの優勝だって決まってんだろうが!」
「……サバイバルキャンプの案内には、『みんなで協力して、20日間生き残りましょう』しか書いてないが?」
もうこの二人、ボケとツッコミのコンビとして成立してんのか? ってくらい、なんかいつの間にか息ピッタリになってて驚くわ。私がいない間にみんな仲良くなってたのねー、よかったねー。
でも、ゲームではある程度簡略化されてたから実感はなかったけど。
確かにこの場所、かなりやばそうよね。
レベルがそれなりに高めの魔物のエンカウント率もさながらだけど、休憩や食事、睡眠とか。そういった要素が突然盛り込まれて、マジで急にサバイバルゲームに様変わりした仕様にはキレそうになった思い出が蘇るわ。
私はそういったやりくりするタイプのゲームがあまり得意じゃなかったから、何度も何度もプレイして、要領を掴むまで相当苦労したのを覚えている。
しかも今回はゲーム内の話じゃなくて、生身の人間でやって行かなくちゃいけないから。
より一層サバイバル感が出て、すっごいやる気出ない。
帰りたい。虫のいない場所で涼しい顔して過ごしたい。
私が苦虫を噛み潰したような顔で森を見つめていると、その顔が彼らにどういう風に映ったのか……。
「E、めちゃくちゃ殺る気満々じゃん……」
なんてことを全員の口からポロリしてくるから、今の私って一体どんな顔をしてたのよ!
今すぐにでも警笛鳴らして、先生に助けに来てもらいたい!
何かに襲われる前に安全な学生寮に帰りたいよおおお!
なんて心の叫びも虚しく、私達は森の側に降り立って先生からの説明を受ける。
ある程度のサバイバルやキャンプに必要な道具をレンタルして、それらを各自分担して持って、成績が低い順番に森の中へと入って行く。
今回はお互いが敵ってわけじゃない。
生き残ればいいだけだから、先に未知なる森の中に足を踏み入れる方が不利ってものだ。
日頃の成績が物を言う。
なんという弱肉強食!
そして今から、ガチの弱肉強食の世界へ!
かわいいナーシャちゃんを、これからもよろしくお願いします。
次回をお楽しみに。




