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11 「放課後」

3分割してる為、今回も少し短いですが。

物語の急加速に、モブ令嬢の心の声に、楽しんでもらえたらと思います。

 ヒロインのサラがもらうはずの警笛を、なぜか私が先生からもらうことになって動揺する。

 A組の誰かが私に状態異常魔法をかけたこと、先生が私に警笛を渡したこと、疑問に感じることはきっと他にもあるはずだけど。

 私はこの二日間、とても地味に過ごしてきたはずなのに?

 クラスメイトの誰かから恨みを買うようなことはしていないはずだし、目立つようなことも何もしていない。

 だって空気のようなモブだもの。誰にも何も影響を与えないような背景のモブよ?

 一番奇妙なのは、サラに手渡すはずの警笛をこんなにも早い段階で私の手に回ってきたこと。

 確かにクラスメイトの誰かが、同じクラスメイトに状態異常魔法をかけたことは異常事態だし、教師としても放っておけない事態なのはわかるけど。

 これ確かそんな大量に出回るような代物じゃなかったはずだけど? 

 だから特別サラに先生が手渡すことになっていたはずだし。もし大量生産されているとしたら、クラス全員に配布していてもおかしくないのでは?

 名門校の生徒っていうだけで外部から悪意を向けられることも多々あるだろうし。

 わからない。この警笛だってサラが先生のルートに入って初めて入手する重要アイテム。

 それを私がもらうのは、何か違和感がある。


 その日の授業はあまり身が入らなかった。

 失敗する度に先生から注意され、エドガーからは「真面目にやれやクソモブ」と暴言を吐かれ、ルークからは「次の料理当番はいつだ?」と聞かれ、ウィルからは「ドンマイ!」と励まされ。

 なんやかんや過ごしていく内に授業は終わっていた。

 考えても仕方ないことかもしれないけど、先生ルートに何かしらの理由で突入したとなると。

 いよいよ本気で攻略に乗り出さないといけないかもしれない。

 先生の笑顔を守る為に、先生が不幸にならないように私が頑張るって決めたんだから。


 警笛をもらったタイミングから、ヒロインには事あるごとにトラブルが舞い込んでくるようになるんだけど。

 でもそれはあくまで「サラが聖女として覚醒するかもしれないと感じ取った邪教集団が、聖女覚醒を阻む為にサラの命を狙ってくる」ものであって……。

 私はヒロインじゃありませんし?

 聖女でもありませんし?

 邪教集団と関わったことありませんし?

 なんなら私、モブですし?

 狙われる理由が見当たらないのよ。でもA組に邪教集団関係者はいなかったはず。

 少なくとも私が知る限りでは、A組にはいない。B組の普通科にゾフィ・ブラッドリーという邪教集団関係者がいるってだけで。あとはまぁ2年と3年に数名……って位?

 あとひとつ考えられる可能性としては、私がE・モブディランとして記憶が蘇る以前の……E本人がどうだったか、なのよね。

 私がなぎこ・モブディランとして覚醒してから、それ以前の記憶はない。なぎことしての記憶しか持っていない。

 ということはE本人が、何か行動を起こしていたとしたら?

 それを私が知らなくて当然、というのも変な話だけど。

 可能性としてはEが何かしら手がかりを握ってるって考える説もなくはない……。


 私がそんなことを考えていると、突然背後から声をかけられた。


「モブディランさん、大丈夫? 上の空だったみたいだけど」


 淡いピンク髪に愛らしい顔立ち、甘い声音に華奢な体型。

 世界で一番私が可愛いを体現したかのような少女、サラ・ブラウンが私に話しかけてきた。

 今さらだけど教室にはいつの間にか誰もいない。

 私とサラ、二人だけになっていた。


「えっと……、いつも通りだし大丈夫だけど」

「そっか。今朝はいきなり喋らなくなっちゃうし、いきなりレイス先生とどっか行っちゃうし、みんなとっても心配してたんだよ? 体調でも悪いんじゃないかって、ウィルもエドガーもルークも。みんなあなたのことを心配してたんだから」


 うっそだぁ。


「そうなんだ、なんかごめんね。心配させちゃって」

「なんかごめんねって言うのは私のセリフだよ、なぎこちゃん」

「え……」


 何こいつ、いきなり名前ちゃん呼びしてきた、だと?

 首を傾げて一番可愛い角度をキープしながら、両手の平を合わせておねだりするように頬の側に持っていく。

 そんな仕草をする女子、現代におらん!


「先生は犯人を特定出来たのかな?」

「何言ってるの? サラ……さん?」

「サラって呼んでいいよ。私となぎこちゃんの仲じゃない」


 知らない知らない、あんたと私がどういう仲なのかなんて私は知らんよ?

 Eなの? もしかしてE時代に二人は知り合ってたとでも言うわけ?

 なんか、怖くなってきた。心臓がドキドキしてくる。

 サラの実力は一般庶民レベルじゃない。才能があったから入学してきた。

 戦ってもモブの私に勝ち目はない。……って、なんで私サラとの戦闘を想定してるの?


「なぎこちゃんのステータスはほとんど最低値なんだよね。だから状態異常魔法も簡単にかかっちゃう」

「まさか、あれ……サラがやったの?」

「他にそんなことする生徒いないでしょ。みんな物理だの魔法だの、目に見える活躍ばかり欲してる。本当に強いのは能力を底上げする魔法、状態異常魔法、精神に作用する魔法だったりするのにね」


 こんなサラ、ゲーム内でも見たことがない。

 当然よね。こんなことをペラペラ喋るヒロイン、乙女ゲームにいるわけない。


「そんな中でもなぎこちゃんは本当に素敵。自分の存在感を相手に認識されないようにするスキルなんて、聞いたことないわ。それってとっても強いスキルって、なぎこちゃんわかってる?」


 キラキラした笑顔にどんどん陰りが帯びてくる。


「私、なぎこちゃんのスキル。とってもいいなぁって思ってるんだから、仲良くしたかったのに。どうして先に取ろうとするかなぁ?」

「は? 何が? 誰が何を取るって?」

「しらばっくれないでくれるかな。なぎこちゃん、今このクラスで一番レイス先生と仲がいいでしょ」

「全然そんなことミリ単位であり得ませんが?」


 即答でちょっと食い気味の早口で否定してやる。

 何を言ってるんだこいつは。私が愛しの先生とお近付きになれるわけがないだろう!

 初日のはただの説教!

 そして今日のは教師として生徒の身の安全確保の為だバカヤロウ! この、……バッキャロウ!

 自分で言ってて泣きそうだ! このやろう!


よろしければいいね、ブクマ登録、⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎などの評価をいただけたら創作の励みになります。

本気でよろしくお願いします。

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