アホの子がアホの子をアホの子と呼ぶ
なぁんか、尾張の方が騒がしい気がする。
あのアホの子が盛大なやらかしをしたような気がする。
『……また何か暗躍したんですか?』
また、ってなんやねん。また、って。それじゃまるで私が頻繁に謀略☆謀略♪しているみたいじゃないの。
『頻繁にというか、四六時中? エブリタイム?』
解せぬ。
プリちゃんからの評価に心の涙を流しつつ、ちょっと考えてみる。
今の尾張で問題を起こしそうなのは伊勢長島の生臭坊主共と、三ちゃんの庶兄・織田信広。そして未来の尾張守護斯波義銀くらいのものだ。
そのうち生臭坊主共はそう簡単に尻尾は出さないだろうし、織田信広にしてもまだ自分の味方集めをしている段階。
となると、たぶん斯波義銀がなにかやらかしたんだろうけど……まぁ、大丈夫でしょう。そもそも那古野城と那古野の街の凄さによって斯波家家臣の心は折ってあるし。たとえ義銀が織田家に対して謀反を起こしても、付いてくる人間なんていないでしょう。
ちなみに尾張守護になるだろう斯波義銀(と書いてアホの子と読む)は三ちゃんの上司というか主君なので本来なら『織田家に謀反』という表現は使わない。でもまぁ、ほら、戦国時代って実力主義だから……周りの人間は『斯波が織田に謀反』したと捉えるのだ。
厳しいね、戦国時代。
『あなたに比べれば甘々じゃないですか?』
戦国時代が甘々になるってどんなよ? どんな女よ私?
『今までの人生を振り返ってみたらどうですか?』
…………。
すごい! わたし何も悪くないのに! トラブルの方から寄ってくるわ! 悲劇の美少女! 薄幸の美少女! 全米どころか全世界が泣くわね!
『……なるほど。そんな感覚だから平気な顔であれだけのやらかしをしてしまうのですか……』
いや納得しないで。ツッコミ入れてくれません? 帰蝶ちゃん、ツッコミ待ちなんですけど?
さすがプリちゃん一筋縄じゃ行かないぜ……と考えていると、通信用の魔導具に反応があった。
おっ? 尾張にいる森可成君からだ。
近距離なら念話を繋いでもいいんだけど、さすがに距離が離れるとねぇ。私から発信するのは問題なくても、あっちからこっちに飛ばすことができないのでこうして通信用の魔導具を渡しているのだ。可成君なら悪用はしないだろうし。
これで犬千代君(前田利家)に渡すとイタズラする。絶対する。ヤツはそういう男だ。
『あなたの中の犬千代さん評価はどうなっているのですか?』
悪ガキ。
『シンプルぅ』
あと、ロリコン。
『たぶん純愛ですから、ロリコン扱いは止めてあげなさい』
何とも心優しきプリちゃんであった。犬千代君は五体投地で感謝するように。
『その前にあなたが五体投地するべきでは?』
げっせーぬ。
まぁ親友同士の小気味いいやり取りは一旦中断するとして。私は通信用の魔導具を使って森可成君からの報告を聞くことにした。
ふんふん?
ほうほう?
あーん?
えぇー……?
平手さんを暗殺未遂? マジで? あのアホの子、そこまでアホだったの?
※いよいよ!
本日!
2巻発売です! いぇあ!
2巻は最初の方からかなりルートが変わるので、その辺もお楽しみいただければと。
ほら、ラノベでよくある、WEB版と書籍版で展開が異なるヤツ。あれです。大好きだから自分でもやってしまえの精神です。
いやー、これ、ほんとに、大坂本願寺はどうなってしまうのだー?(他人事)