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石垣マニア?







「おお! 近くで見るとまっことに巨大な櫓でありますなぁ!」


 那古野城に到着すると、待ちきれないとばかりに今川氏真君が馬車から飛び降りた。そのまま大手門の近くをあっち来たりこっち来たり、様々な角度で那古野城天守を眺めている。


 ふっふっふっ!


 凄いでしょう!


 私と三ちゃんの愛の結晶! 那古野城天守は!


『どこに「愛」の要素があったのですか?』


 私と三ちゃんのラブラブッぷりに嫉妬渦巻くプリちゃんであった。愛の要素しかないじゃない! たとえば――、……あら? そういえば特になかったような? 巨大ロボになったり大怪樹になったりはしたけれど。


『そうやってノリと勢いで喋ってばかりいるから駄目なのです』


 しみじみとお説教されてしまった。解せぬ。


「ほぉ……」


 と、感心したような声を上げたのは今川義元さん。馬車から降りた彼は天守に目もやるでもなく大手門近くの石垣を観察している。


 その様子が奇妙に映ったのか、氏真君が近づいていく。


「父上、その石垣はそんなにも珍しいのですか?」


「うむ。まず何よりはこの大きさよ。これだけの石を集め、この場にまで持ってくるだけでも多大なる労力を必要としよう。そしてさらに言えばこの組み方。ほとんど隙間がなく、何とも美しい。もし我らが石垣を組ませたとしても、隙間だらけになるだろう。だがこれだけ隙間なく詰め込めば足場もなく、石垣を登るのも苦労することだろう。そしてさらにはこの勾配。下の方は緩やかながら上に行くに従って角度が急になっていく。これは中々に恐ろしい。攻め手の人間は簡単に登れそうだと石垣に取り付くだろうが、段々と角度が急になり、登れなくなってしまう。そうして立ち往生ならぬ登り往生しているうちに横から矢を射かけられてしまうと」


 なんか石垣マニアっぽく熱く語る義元さんだった。もしかして同志? 石垣マニア同士として朝まで熱く語っちゃいます?


『あくまで戦国の世の武将として石垣を評価している義元さんと、何の意味もなく「カッコイイから!」と石垣にハァハァしているあなたとでは比べることすら失礼なのでは?』


 何の意味もなくって。ハァハァって。もうちょっとこう言い方はないのですか? まぁ否定できないのが辛いところだけど。


 それはとにかく、頻繁に折れ曲がる城内では馬車を使えないので、ここからは徒歩となる。一番近いルートを使うとはいえ、それでも三の丸、二の丸、本丸と移動するのでかなり時間が掛かってしまう。


 ちなみに転移魔法なら一瞬で天守までいけるんだけどね。ここは那古野城の偉容を今川親子に見せつけて心を折る――ごほんごほん、平和的な同盟締結に繋げなきゃいけないのであえて城内を歩いてもらっているのだ。


『わざわざ那古野城の偉容を見せつけなくても、あなたの異様さを知れば大人しく同盟を結ぶのでは?』


 偉容と異様をかけるプリちゃんであった。どういうことやねーん。










※サイン本プレゼント企画は調整中ですので今しばらくお待ちください




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