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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第15章 清洲城の変

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自粛しろ、地球規模で



 三ちゃんが海外遠征にやる気なら、今から海軍増強計画を始めましょうか。めざせ八八艦隊!


『経済破綻フラグ』


 そこはほら、海外に植民地を獲得すれば何とかなるんじゃない?


『植民地から富を吸い上げ艦隊を整備すると。下衆ですね』


 解せぬ。


 植民地と言うと聞こえが悪いけど、要はアジア大同盟である。パクス・オダーナである。環太平洋☆三ちゃん帝国なのである。


『ネーミングセンスもここまで壊滅的だといっそ感心しますね』


 ネーミングセンスがない者同士お似合いのカップルですねと褒められてしまった。照れるぜ。


 将来的に海外とドンパチするなら、今のうちから船の量産態勢と海兵の育成環境を整えなきゃね。


 船についてはすでにいくつかのドック(船渠)を作り、安宅船の量産を開始している。尾張と堺で同時に。


 堺の方は今井宗久さんが銭のニオイを嗅ぎ付け、本格的に船大工の育成を開始しているのでそのうち大量生産が可能になるはずだ。あとこの前武野紹鴎さんから魔導具で通信があり、本格的にやっていいですかと尋ねられたので許可しておいたし。あとは武器の量産も諸々許可。


 対する那古野はまだまだ小規模。同時に作れるのは二隻だけだし、その二隻にしたって起工したばかりだからそこまで進んでないと思う。


 でもまぁ、一応どこまで出来ているか見ておこうかなーっと考えた私は、那古野城近くのドックに向かったのだった。もちろん三ちゃんを引っ張って。





「……あれ? 意外と進んでいるわね?」


 もうすでに安宅船の船体は完成間近。あとは船体上部構造物を作れば実戦投入できそうな? いやまだ水密試験とか色々やらなきゃいけないだろうけどね。


 でも早すぎない? お金で大工さんを集めたとしても、真っ直ぐな木を組み合わせる家とかと違って、船は曲線を多用するから勝手が違うでしょうに……。


「最近は協力者がやって来てくれたのでな」


「きょーりょくしゃ?」


「うむ。いわゆる渡来人でな。紀伊の方で船を作っていたのだが、うちが船の量産を始めたことや、いずれ南蛮船も作るつもりであることを聞きつけて『雇って欲しい』とやって来たのだ」


『渡来人、というと中国人ですかね? この時代でも中国は外洋航行可能なジャンク船というものを建造していましたし』


 ほうほうジャンク船! いいわよねぇジャンク船! 西洋とはまた違った進化の仕方をしていて! 特に鄭和の大艦隊が有名よね。なにせ大航海時代に先駆けてインド洋からアフリカ大陸にまで到達していたのだから! なんでも1548年(いま)から100年以上前にキリンやライオンまで連れてきたとか。そういえば滝川一益が乗っていた『白船』はジャンク船だったんじゃないかって説があるんだっけ? そうなると信長の鉄甲船もジャンク船だった可能性が出てきたりして? 少なくとも信長の艦隊に乗せられていた大砲は中国人が作っていたと記述が残っているのだから、船体も中国人が関わっていたとしてもおかしくは――


『はいはい』


 鉄甲船オタクの熱い語りがたった四文字でぶった切られてしまった。解せぬ。


           ◇


 ともかく。安宅船の量産体制が整うなら何よりだ。そう私は戦国時代にありながら日本人も中国人も、白人も黒人も平等に扱うからね!


『平等にこき使うの間違いでは?』


 人をワールドワイドなブラック企業社長みたいに言うの、やめてもらえません?


 さて。安宅船の量産一号と二号の船体はほぼ完成。ということで、堺でやってもらっているように上部構造物を少し改造、『揚陸艦』にしてもらうことにする。


 安宅船は船体の上、甲板の周囲を盾板で囲っているのだけど、真正面の板が開くようにしてもらったのだ。そして船首上面には上陸用の長い板(渡し板・ランプ)を設置してもらって――ふふふっ、こうすれば揚陸作戦で使える、揚陸艦安宅船になるって寸法よ!


『以前、まったく同じ説明をしませんでしたか?』


 読者が忘れているかもしれないから再度説明する、とても優しい帰蝶さんなのです。


『は? 読者……?』


 さて! 船体は予想より早く完成しそうだからあとは船員の育成ね。ここは熱田湊に海軍兵学校を作っちゃいましょうか。講師はもちろん九鬼水軍の皆さんで。


 建物はとりあえずお寺でも使ってもらいましょう。最初は水兵というか水兵を育てるための講師を育成しないとダメだし。そして講師が十分に育ったら本格的な水兵の育成開始だ。


 え~っと、たしか米海軍が40万人くらいだっけ? 環太平洋を制圧維持するなら、とりあえず30万人くらいいればいいか。


『どんぶり勘定にもほどがある』


 豪快で素敵! と褒められてしまった。照れるぜ。


 あとは船の量産や艦艇の修理のためにドックを増やさないとね。というか建艦しているときにはそのドックは使えないのだから、修理用のドックは別に準備しないとだ。


 う~ん。ドックをいっぱい作ると貿易港として使いにくくなるなぁ。ここはやはり軍港と貿易港は分けるべきか。


 幸いにして今現在の海岸は更地みたいなものなんだから、貿易港を新しく作ることも可能だ。というか魔法で大桟橋を作ったり埋め立てたりしてしまえばすぐに一大貿易港となるのだし。


『また気軽に地形を変える……』


 地球は生きていて、地形は常に動いているのだ。と格好いいことを言ってみる私。


『別に格好良くはないですね』


 あっれー?


『そもそも地球が生きていたらストレスで胃に穴が開くんじゃないですか?』


 地球の胃ってなんやねん。消化するという意味でマグマとか?


『地球のためにも少しは自重しなさい』


 なんでそんな地球規模の自粛を求められなきゃならんねん。解せぬ。




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