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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第15章 清洲城の変

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年長者ならもっと自重しろ


「よし、では朝比奈殿に那古野城を案内しよう」


 さも当然であるかのように立ち上がる三ちゃんだった。ははーん、やはり三ちゃんってアホだな?


 この時代の城というのは行政の中心であり、土地支配の要。城が落ちることは周囲の土地の支配権を失うことを意味する。


 当然ながら城はそう簡単に落ちないように防御を固めるものだし、どこにどんな防御施設があるのかは最高の軍事機密となっている。昔話でよくある、作った人を処刑して秘密保持をするアレだ。


『そんな物騒な話がよくあってたまるか』


 え~? 古今東西によくなかったけ?


 もちろん森可成君は大慌てだし、朝比奈さんも愕然としている。アレは「城におびき寄せられて暗殺されるのでは?」と恐れている顔かな。


「わ、若様。さすがに城の中を見せるというのは……」


「そ、そうですぞ。いくらなんでも敵対している今川(我ら)に見せるなど……」


 あわあわしている二人とは対照的に、三ちゃんは泰然自若としている。なんという落ち着き! なんという器の大きさ! これが未来の天下人か!


 ……いや、なんで二人が慌てているのか本気で理解できていない可能性もなきにしもあらずだけど。


「よいではないか。少し中を見せたところでこの那古野城は落ちはせん」


 三ちゃんの言葉に可成君は「ま、まぁ、それはそうですが……」と渋々ながら納得し、朝比奈さんは「何という器の大きさ!」と一筋の汗を流していた。順調に騙されておりますな朝比奈殿。


 ちなみに那古野城はまだ未完成だけど、城の規模が大きいし石垣も多用しているので、数万の軍勢から攻められてもびくともしないでしょう。まだ敵には大砲もないし。


「で、では遠慮なく」


 敵方の城の内部を見られるという実利に負けたのか。あるいはここからもよく見える那古野城天守を見たいという好奇心に負けたのか。覚悟を決めた顔で三ちゃんの後に続く朝比奈さんであった。





「……いや、これはなんとも……大きな城で御座いますなぁ……」


 もうすぐ天守というところで一度膝に手をつく朝比奈さんだった。彼も戦国武将として相応に鍛えているはずだけど、さすがに寄る年波には勝てないらしい。


『一番の年長者が言うと説得力がありますね』


 ははは、なんのことやら。


 ちなみに『大きすぎて城の中を進むだけで疲れる』というのは有効な防御方法だったりする。なにせ敵は重い甲冑を着込んで、武器まで持っているのだからね。曲がりくねった道を走らせるだけでかなり消費させることができるのだ。いつ狭間(銃眼)から狙われるか分からないという精神的負荷も加われば尚更でしょう。曲輪を一つずつ落として、休み休み進軍……というのもありだけど、占領したばかりの曲輪は心落ち着けて休めない場所だったりする。なにせどこに敵兵が隠れているか分からないし、抜け道や抜け穴から逆襲されるかもしれない。というか敵に占領された曲輪を城の内側から狙い撃てるようになっている場合も多いし。せっかく占領した曲輪で休まず、わざわざ外に出て野宿したという話も残っているほどで――


『はいはい』


 城オタの熱い語りがたった四文字でぶった切られてしまった。解せぬ。



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