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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第15章 清洲城の変

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閑話 これもすべて帰蝶ってヤツの仕業なんだ・4

 よく分かっていなさそうな木沢相政に対し、細川政元が少し厳しい目を向ける。


「木沢殿は淀城の城主という扱いですが、ことの次第を理解しておられますかな?」


「……と、申されますと?」


 ここで素直に問い返せるのが木沢の利点であった。その前に理解して欲しいのだがというのが政元の本音ではあるが。


「……貴殿の父、木沢長政殿は三好長慶と三好宗三らの軍勢に攻められ、討ち死にされた。貴殿が守る淀城で三好宗三を迎撃すれば父君の仇討ちともなろうが、逆に、仇である三好長慶を助けることにもなりましょう」


 懇切丁寧に説明してあげる政元だった。偉ぶるだけでは政治はできないということだろうか。


 そこまで説明されれば木沢相政も何が言いたいのか理解することができる。


「いや、なに。父上は戦場で長慶殿と宗三殿と戦い、破れたのです。それを悔しがることはあっても恨むことはないでしょう。それに今の拙者は帰蝶様の臣。どうして個人の仇討ちを優先することがありましょうや」


「ほぉ」


 長年の経験から嘘をついていないと判断した政元は感心したような声を上げた。この男、謀略は苦手だが根は真っ直ぐであるらしい。


(そうか。腹黒い人間だけ集めても仕方がない。このような実直な人物も使いこなしてこそ天下布武も実現できるということか。お見それしましたぞ帰蝶様!)


 さらに帰蝶への信仰心を積み上げる政元であった。たぶん帰蝶さんそこまで考えてない。


 続いて堺の武野紹鴎が挙手する。


「宗三殿の軍勢を淀城で防いでくださるならひとまず安心ですが……。堺を拠点に支配領域を増やしていくならば、堺の防衛も強化していただきたいところ」


「では、我ら雑賀衆から人を派遣しましょう。根来の皆様にばかり任せるのも悪いですからな」


「おぉ、それは助かります」


「……その代わりと言っては何ですが」


「なんでしょう?」


「帰蝶様は雑賀にも近い友ヶ島を手に入れました。ここを要害の地に(要塞化)するための銭を融通して欲しいのです」


「はは、お任せあれ。友ヶ島を要害化できれば三好の拠点・淡路島にも睨みをきかせることができますからな。万が一三好長慶殿と対立したときのために、これは急ぐべきでしょう」


「おやおや、堺の皆様は長慶様とも懇意にしていると伺っておりましたが」


「いや、なに。我らにとっては長慶様も帰蝶様も大切な取引相手ですからな。御二方が対立しないならばそれに越したことはありません。――友ヶ島によって淡路や阿波との連絡が途絶える可能性があるならば、長慶様も無茶はせぬでしょう」


「ははは、恐ろしいことで。そのためには水軍の強化もせねばなりませぬな。なにせ三好の水軍は強大でありますから。……そういえば堺では軍船の製造も増やしておられるとか」


「えぇ。すぐには難しいですが、いずれ雑賀衆にも融通することができるでしょう」


「頼もしいことです」


 はっはっはっと笑いあう武野紹鴎と雑賀の郷長だった。元々海路を使っての交易を行っていた者同士なのでこういう話もスムーズに進むらしい。


「――さて。こちらとしては河童殿たちの助力を得たいのですが」


 政元が問いかけると、河童の代表は「そうですな」と目を細めた。


「人間たちの理屈はよく分かりませんが……新しき淀川は帰蝶様が作られたもの。だというのに帰蝶様の許しも得ずに銭を徴収しようとは――許せませぬな」


「おぉ、では、」


「不届き共は我らが全て沈めてやりましょう。なに、船から関銭を徴収するならあちらも船を出さねばなりませんからな。それを沈めるだけの簡単な仕事です」


「いや、頼もしい。そして見事な信心ですな。やはり帰蝶様の目に狂いはありませんか」


 さらに帰蝶への信仰心を以下略。帰蝶さんそこまで以下略。




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