いずれ鉄道を
三ちゃんを連れてダンジョンの中へ。もちろん試作中なので魔物はいないから安全だ。
『あなたが隣にいるのだから、たとえドラゴンが出てきても安心だと思いますが』
我が身を犠牲にしてでも三ちゃんを守る、健気なヒロインだと言いたいらしい。照れるぜ。
『あなたを食べたらドラゴンですらお腹を壊しそうですが』
どういうことやねん。
「ともかく。やはり定番として地下一階部分は耕作地にしようと思うのよね」
『定番とは?』
戦国時代(魔女がいるver.)における定番です。
『そろそろ戦国時代オタクに刺されるのでは?』
刺されたくらいじゃ死なんなぁ。
≪……師匠殿。実際、此奴はどうすれば死ぬのですか?≫
異世界の神様相手であるからか丁寧な口調の玉龍だった。
「う~ん……う~~ん……………う~~~~~ん………………………」
悩みに悩む師匠だった。仮定とはいえ弟子を殺す方法は考えたくないらしい。
【殺す方法が思いつかないだけでは?】
HAHAHA,面白い冗談ね自動翻訳。こんなにもか弱くて軟弱でマンボウのように簡単に死んでしまう私をつかまえて。
『それはない』
≪それはない≫
「それはない」
【それはない】
まさかの四重奏ツッコミであった。解せぬ。
◇
「そのうち那古野を中心に鉄道網を整備したいのよ」
「てつどう?」
さすがに理解できないのか三ちゃんが首をかしげた。うん、自動翻訳でも説明できないだろうしねぇ。
『またとんでもないことを言いだした』
戦国時代ものでは定番なのでは?
『戦国時代に鉄道を作る作品があってたまるか』
ありそうだけどなぁ。戦国時代ものって割と何でもありだし。というか淀城にトロッコっぽいものを作ったし。
『あれを鉄道扱いは無理がある』
無理があるらしい。ちゃんと鉄の道を使っているというのに。解せぬ。
『鉄道を作るとなると、蒸気機関か電動モーターか……技術はゆっくり育てる的なことを言っていませんでした?』
そこはほら、手っ取り早く馬車鉄道で我慢しましょう。レールを敷く土地をあらかじめ確保しておけば、後々レールを敷き直して蒸気機関車や電車にも対応できるし。
『馬車鉄道って、それも作るのはそれなりに難しい……。なるほど、急に馬車の製作を始めたのはこれが狙いでしたか』
「え? あ、うん。そうそう。もちろんよ」
帰蝶ちゃんそこまで考えてないと思います。とは口にしない私であった。




