三分メイキング
三ちゃんとお兄様の会談は無事終了。義兄弟仲がいいようでなにより。
このまま帰るのも何なので、三ちゃんも連れて清洲城の外へ。
異世界ものの定番としては、丸く囲まれた城塞都市で、中心部に川が流れているべきなのでは?
『まぁ、城塞都市の中に川が流れている例はありますが……近くに流れる川と言えば長良川(木曾三川)ですよ? 洪水の時に街が流されますよ?』
う~む、さすがにそれは避けたいところ。
ここは一旦長良川から溜め池に水を貯め、そこから細い川を流す方式にしましょうか。
『そこまでして街の中に川を流す意味は?』
夢と浪漫とお約束です。
あと付け加えるなら川があれば上水道に使えるし。下水をそのまま流してしまえば……いや、それは衛生的に止めるとして。下水処理した水を流すこともできるもの。
あとは溜め池から一定の水量を流すことで水車動力として活用することができる。そしてさらに! 休日には川で魚釣りもできる! やらない手はないわよね!
『いや最後の理由』
庶民のことまで考える私に感心することしきりなプリちゃんであった。
じゃあまずは長良川からの水を流し込む溜め池を作ってーっと。魔法でパパッとな。そして溜め池と長良川を繋げてーっと。魔法でパパッとな。さらに清洲城の城下町に流す形で川を作ってーっと。魔法でパパッとな!
『土木工事している人たちに怒られろ』
超☆天☆才でゴメンね!
≪天才というより天災じゃな≫
「また気軽に地形を変えて……」
【人的被害がない分、本物の天災よりはマシでしょうか……?】
ふっふっふっ、よく分かっているじゃないの自動翻訳! そう! 私は地形を変えても人的被害を出さない系の心優しき美少女なのです!
『人的被害が、ない?』
≪ないのか?≫
「人死にはでなくても、被害は甚大だよねー」
なぜか首をかしげるプリちゃん、玉龍、師匠であった。私の味方は自動翻訳だけか!?
【え?】
マジっすか、味方なんすか? とばかりに首をかしげる自動翻訳であった。神は死んだ!
「勝手に殺さないでくれるかな?」
また定番のボケを! 師匠は殺されたくらいじゃ死なないでしょうが!
「……なんじゃ? また『つっこみ役』が増えたのか?」
自動翻訳(美少女の姿)を初めて目にしたっぽい三ちゃんが半眼で自動翻訳(蒼髪美少女)を見ていた。三ちゃんもだいぶ現代語を使えるようになってきたわね。
『やはりというか何というか。今さら地面が抉られたり川ができたりする程度では驚きませんか……。お可哀想に』
三ちゃんの適応能力の高さを大絶賛するプリちゃんであった。




