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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第三章 剣豪将軍

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01.一泊



 何だかんだでお祭りとなり、何だかんだで犬千代君たちが酔いつぶれたのでこの日はここで一泊することになった。まぁ(超高速船旅のおかげで)時間に余裕はあるから平気でしょうきっと。


『そういうことの積み重ねで、後々苦労することになるんですよ?』


 夏休みの宿題をやらない子供を叱る母親みたいなことを言われてしまった。いいじゃん別にせっかくの遠出でせっかくのお泊まり会――


「――はっ!?」


 お泊まり。

 私は、気づいて、しまった。


 これは三ちゃんとの同衾チャンスでは!?


 同衾。男女が一緒に寝ること。

 もちろん年頃の男と女が一緒に寝て何も起きないはずがなく……エロい意味で使われることが多い単語――


『犯罪です』


 いやここは戦国時代なんだからそんな法律なんて……。


『犯罪です』


 い、犬千代君なんて11歳の少女を孕ませて……。


『犯罪です』


 あいすみません……。


 プリちゃんの圧に完全敗北した私だった。未来の夫婦なのに。解せぬ。


 まぁしかし私はチャンスを逃がさない女。ここはプリちゃんの目を盗んで同衾を――


『……そもそも信長は他の人と雑魚寝していますし。同衾しますと、結果的に他の人たちとも同衾することに――』


 プリちゃんがそこまで言うならしょうがないわね! 今回だけは同衾を諦めましょう!


『ポンコツゥ……』


 愛に生きているだけです。





 翌朝。


 酔っ払い共はまだぐーすかぴーと眠っていた。


 たたき起こしても良かったけど、別に起床時間を指定していたわけじゃない(というかこの時代に時計なんてない)ので、起きるのを待っている間、ちょっと気になったので境界争いの発端になったという土地に行ってみた。


「おー……」


 何というか、荒れ地。耕作放棄地っぽかった。雑草は伸び放題だし土も硬い。水源からも遠いし、これを農地にするのは面倒くさそうだ。正直、取り合うような魅力がある土地には見えないのだけど……。


『どちらかが耕作しようとすれば、相手が邪魔するでしょうからね。仕方なく放置している間にこうなってしまったのでは?』


 放棄したのではなく、するしかなかったということか。

 う~む、こんな荒れ果てた土地を見ると農民の血が騒ぐわね。


『あなたのどこに農民の血が流れているのですか?』


 は、ハーブとか薬草とか育ててたし……。


 まぁとにかく、使わないのはもったいないので火の魔法で雑草を燃やし尽くし(もちろん延焼しないよう風魔法で調整)、ゴーレムを五体くらい錬成して『えっさほいさ』と耕しはじめた私である。


 うん、固い。

 これは農作物を育てられるようになるまでちょっと時間がかかりそう。フルパワーでやれば一瞬だけど、お金をもらったわけじゃなく思いつきで始めたのであまり魔力を使うのは面倒くさい――じゃなくて、甘やかすのは皆のためにならないだろう。


『そもそも許可も取らずに耕作しているのに甘やかすも何も……』


 プリちゃんの正論を聞き流しつつ、ちょっと思いついたので昨日手に入れたブドウの種を蒔いてみる。野菜を育てるのは難しくても木なら大丈夫でしょうきっと。


「――ふんがーっ!」


 魔力を注ぎ込むとブドウの木々は実が付く程度の大きさまで育った。ちょっとしたブドウ畑。支柱とかは十ヶ郷と中郷の人に作ってもらいましょう。


『その『ふんがー』という掛け声(?)は何なんですか? 見た目だけはいいんですから、もうちょっと美少女らしい声を発してくれません?』


 プリちゃんから『お前こそ万夫不当の美少女よ!』と褒められてしまった。照れるぜ。


『……ちなみにですが』


 あ、なんだか嫌な予感。


『あくまで一説ですが、甲州ブドウは名僧行基が薬師如来のお導きで発見したという言い伝えがありまして』


 うん?


『まだ日本に存在しない『ワインに適した甘いブドウ』をもたらした主様って完璧に『薬師如来』ですよね。そろそろ諦めたらどうですか?』


 …………。


 嫌な予感が的中した私が振り返ると、ここまで案内してくれた郷の人が震えながら正座して手を合わせていた。なぜブドウを生やしたくらいで拝まれなきゃならないのか。解せぬ。


『そういうところです』


 こういうところらしい。




お待たせしました。


またしばらく毎日更新します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 嫁まつ妊娠と言うことは、犬千代というか利家追放もそう遠くない?
[良い点] 犬千代君の所業は当時でも非常識だからしゃーない
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