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ポンポンがダークネスな二人


 あまりの緊張のせいか、ふらつきながら部屋を出ていく光秀さん。

 そんな光秀さんを隣で支える早苗さん。

 いい雰囲気。リア充爆発しろ。煕子さんに後ろから刺されてしまえ。


 と、私が微笑ましく二人を見送っていると、他の人たちも続々と退出していき……自然と部屋の中には私とお義父様だけが残される格好となった。


 まだおかしいのか頬が緩んでいるお義父様。


「くくっ、あの早苗が、のぉ? 明智光秀とやら、そこまでの人物か?」


 さっき早苗さんに問い糾したばかりだというのに、私にも尋ねてくるお義父様だった。全然信頼されてないわね明智のみっちゃん。


 ここは親戚のおにーさんを『よいしょよいしょ』しておきましょうか。


「中々に器用な人ですよ」


 なにせ史実においてはあの複雑怪奇な近畿情勢の中で京都を任されていたし。戦もできるし築城もできる。外交や朝廷工作もO.K.と、本当に器用な人なのだ。


「……で、あるか」


 にやりと笑うお義父様。この人も『器用の人』と称されているからね。そんな自分と同じ評価をされている明智光秀という人物にさらなる興味を抱いたってところなのでしょう。

 ……興味を抱かれた光秀さんの心の平穏? まぁがんばれ。


「あの男は嫁殿が一軍を任せるほど。並大抵であるはずもなし、であるか」


「まだまだ未熟ですけどね。成長すればかなり使い勝手のいい人材になりますよ」


「くくっ。せっかく少女のような見た目をしておるのだから、実年齢を悟られるような物言いは慎んだ方がいいぞ?」


 謀略家としてのアドバイスをいただいた。まぁつまりこの美少女な見た目を存分に活用しなさいってことなんでしょう。


 というか、実年齢って。私、お義父様に実年齢を教えたことがありましたっけ?


『察したんじゃないですか? あなた、色々と雑でうかつで雑ですし』


 二回も雑って言われてしまった。解せぬ。


「――さて、せっかく嫁殿がおるのだ。ここは悪巧みと参ろうか」


 心底楽しそうに喉を鳴らすお義父様だった。やだなー、こんな純真無垢な美少女を捕まえて悪巧みだなんてー。怖くて泣いちゃいそうですわーわたしー。


『はんっ』


 鼻を鳴らされてしまった。解せぬ。


「しかし、まさか苗木城まで落とされるとはな。対美濃戦略を見直さねばならなくなったぞ?」


 恨めしげに睨め付けてくるお義父様だった。


「そんなことを言われましてもー、先にケンカを売ってきたのはあっちですしー?」


「ハッ、儂から睨まれてそこまで不敵な態度を取れるのはおぬしくらいのものであろうよ。……東濃での暗躍、この儂が気づかぬと思うたか?」


「あら、気づいていながら苗木さんを見捨てたので? 義理の息子さんなのに。ずいぶんと良い性格をしてますね?」


「…………」


「…………」


「はっはっはっ」


「うふふふふっ」


 朗らかに笑いあう私とお義父様だった。


『いやどこが朗らかなんですか? もし光秀さんがいたら胃に穴が空きそうなギスギス具合ですが?』


 妖精さんにはこの朗らかさが理解できないらしい。残念なことである。





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