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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第15章 清洲城の変

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大坂、ゲットだぜ?


「――大坂の地! 帰蝶さまに献上いたします!」


 超勝寺実照さんを筆頭に、一斉に頭を下げる加賀一向一揆の皆さんだった。どうしてこうなった?


 私が攻撃魔法で存分に大坂本願寺を吹き飛ばしたあと。もはやまともに残った建物など一つもないところを実照さん率いる加賀一向一揆が襲撃。私が堺へと戻り、三ちゃんや長慶さんや久っちとイチャイチャしている間に本願寺周辺の占領統治をしていたみたいなのだけど……。


「え~っと? 私がもらっちゃっていいんですか?」


「むしろ他に誰が相応しいでしょう?」


 史実的には三ちゃんとか豊臣秀吉とか?


「帰蝶様の何と謙虚なことか……!」


 なぁんか実照さんって私に対する評価が馬鹿高くない?


 なぁんてことを考えていると、実照さんは駄目な生徒に教えるようなゆっくりとした口調で説明してきた。


「帰蝶様は本願寺に単身乗り込み、仏罰を下され、かの悪逆共を大坂の地から追い払ったのです。なれば、空っぽになったこの地は帰蝶様が治められ、仏教の正道を敷くのがよろしいかと」


 そーいや薬師如来とか毘沙門天からそんなことを押しつけられたような? 結果だけ見れば日本史における宗教武装勢力を本拠地から駆逐したのだから、これからは政教分離ならぬ武教分離の流れとなるでしょう。


 ふっ、無意識のうちに三英傑が成し遂げるべき偉業を達成してしまうとは、さすが私よね。


『自分の夫の手柄を横取りするな』


 横取りじゃありませーん。むしろ先回りして邪魔者を排除する嫁の鑑なんでーす。


『嫁の鑑? どこが?』


 真顔ならぬ真声であった。


 解せないけれど、まぁ、その辺は一旦置いておくとして。


「実照さんたちはこれからどうします?」


「ははっ、できることならば大坂の地に留まり、帰蝶様のお手伝いができればと」


「たしか加賀から遠征してきたんですよね? 加賀には家族とか知り合いとかいるのでは?」


「薬師如来の化身様にお仕えできるのです。家族も納得してくれるでしょう」


 単身赴任的な? いや心優しい私としては家族をバラバラにしてしまうのは気が引けるわね。


『心優しい?』


≪心優しい?≫


「心優しい?」


「心優しい?」


 プリちゃん、玉龍、師匠、そしてまさかの景虎さんからまでも首をかしげられてしまった。解せぬ。


「……ほぅほぅ、そういうことでしたら拙僧も協力できるでしょう」


 当然のようについてきていた新弟子・細川政元(元ミイラ)が胸を張っていた。


「帰蝶様は何かと多忙な御方。だというのに大坂の地の統治までさせるのは忍びないというもの。こう見えて拙僧にはそれなりの経験がありますからな。税の徴収から他勢力との折衝までこなしてみせましょう」


 長年政権の中心にいた人物の経験が『それなり』って。酷い謙遜もあったものである。


「その代わり、お暇なときには飛翔術などをご教授いただければと」


 そしてしっかりと自分の利益を確保しようとする政元だった。


『やはり師弟は似るものですか……』


 プリちゃんの容赦ないツッコミに、流れ弾を被弾した師匠が「ぐふぅ!?」と項垂(うなだ)れていた。まるで私と似ていることがショックみたいな態度、やめてもらえません?





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