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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第14章 淀城の戦い・3

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ポンコツ襲来


「三ちゃん大変よ! このままでは三好長慶さんに主人公の座を取られてしまうわ!」


 私が那古野城に転移すると、三ちゃんは胡散臭いものを見るような目を私に向けてきた。なんて情熱的な瞳でしょう。


「また突然現れて訳の分からないことを……」


 予想が付かなくて素敵! と褒められてしまった。照れるぜ。


「やっぱり『信長公記』を作るなら主人公は三ちゃんでしょう! でも! このままでは三好長慶さんとか、今川義元さんとか、美濃のハゲマムシに主人公を取られてしまうわ!」


「ハゲマムシって」


「というか三ちゃん最近大人しくしすぎよ! もっとこう主人公らしく騒動を巻き起こさなくっちゃ!」


「……騒動は帰蝶が巻き起こすものだけで十分であるしなぁ」


 我らの物語は我ら夫婦が築き上げるのだ! と宣言されてしまった。照れるぜ。


『認知性バイアス……』


 突然難しい言葉使うの、やめてもらえません?


「で? その三好とやらは誰なのだ?」


「三ちゃんより先に畿内を制した、戦国最初の天下人よ。まぁ今の時点だとまだ有力者の一人でしかないけど」


「わしが畿内を制するって、またとんでもない情報を……」


 未来を知って愕然とする三ちゃんであった。さぁ少年よ、未来を恐れず突き進むのだ!


『未来を恐れるというか、重要な情報をサラッと漏らしてしまうあなたに呆れているだけでは?』


 解せぬ。


「うむ、『主人公』という言葉の意味は分からぬが、不思議と理解できるな。これが帰蝶の言う自動翻訳というものか。……誰かが善政を敷き、戦国の世を終わらせるというのなら、別にわしが天下布武をしなくてもいいのではないか?」


 なんという織田信長らしからぬ発言。織田信長って『おーだっだっ! 日本だけではなく世界を征服してやるオダ!』的なキャラじゃないんかい。


『イメージがひどすぎる……。最近はそういう『覇王』的な信長も少なくなってきているのでは?』


 なんて浪漫のない信長でしょう。信長であれば鉄甲船で山を越えたりスペインの無敵艦隊をぶちのめすくらいの気概を持って欲しいわよね。


『信長の鉄甲船は伊勢から堺に移動するまで一ヶ月ほどかかっていますし。そんな鈍重な船でヨーロッパまで遠征するのは無理なのでは? 秀吉の鉄甲船は日本海の荒波に負けて沈没してますし』


 浪漫のないツッコミであった。







「それで、近頃は何をやらかしておるのだ?」


 やらかし前提で話を進めるの、やめてくれない?


「そうねぇ。最近は本願寺と殴り合いに発展して、一日で作った淀城が一向一揆十万に囲まれているわね」


「…………、……帰蝶であるしなぁ」


 仏教を正す戦いの道を進むのが私のあるべき姿だと言いたいらしい。照れるぜ。


「しかし十万か。その淀城とやらは大丈夫なのか?」


「ふっふーん、私を誰だと思っているのかしら? むしろ一向一揆をゴリゴリ削っているわよね。まぁ戦力に余裕がなくて討って出ることはできていないんだけど」


「で、あるか。……その城は淀川にあるのか?」


「そうね。淀川と新淀川の合流地点に作っておいたわ」


「で、あるか」


 なんだか興味薄そうだけど、私には分かる。今三ちゃんの中では私への心配が渦巻いていることが!


『それはない』


≪心配しても無駄じゃしな≫


「十万程度で帰蝶をどうにかできるはずがない」


 解せぬ。


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