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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第14章 淀城の戦い・3

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そういうところやねん


 なんだかまた誤解されているような気がする。

 この世の悪行はすべて私のせいにされているような気がする。


『割とそうなのでは?』


 私がいつ悪行を成したというのか。むしろ薬師如来から世界を救うお願いをされるほどの好人物だというのに。


『薬師如来も後悔しているのでは?』


≪あの御方ももう少し人を見る目を鍛えるべきであろうな……≫


 解せぬ。むしろこっちは仕事を押しつけられた被害者だというのに。


 解せぬりつつ、城の天守から敵陣を眺める。

 新淀川の対岸、超勝寺実照さんが直接指揮する部隊は無傷。むしろご飯をいっぱい食べて元気満々でしょう。


 対する、旧淀川対岸。

 7,000人くらいいたはずの敵部隊は跡形もなく消え去っていた。きっと我が城の偉容に恐れを成して逃げ出したに違いない。


『そういうところです』


 こういうところらしい。


 ま、とにかく。これで防衛戦もずいぶん楽になるでしょう。10万という数からすれば大した減少には見えないかも知れないけど、1割弱減ったものね。まったく不思議なこともあるものだ。


『そういうところです』


 こういうところらしい。


 そんなやりとりをしていると、超勝寺実照さんからの使者がやって来た。内容としては、秘密の和睦の遵守を約束。そして、もし顕正が失礼をしたならばこちらからも謝罪をする用意があるとのこと。


 ……顕正って誰だっけ?


『話の流れからして、あっちの一向一揆を率いていた人間じゃないですか?』


 あーあの恩知らず……。きっと持ち場を離れて加賀に逃げ帰ったに違いないわね。とんでもない野郎である。


『そういうところです』


 こういうところらしい。


 というか、あの7,000人失踪を私がやったと確信しているのかしら実照さん? 証拠は残してない――じゃなくて、音もさせなかった――でもなくて、何でもかんでも人のせいにするのはよくないと思いまーす私ー。


『そういうところです』


 こういうところらしい。


 ま、とにかく。

 実照さんのところには根来左太仁さんをもう一度派遣して、あらためて和睦の確認といきましょう。実照さんは話が分かるから、これ以上トラブルは起こらないはず。


 あとは城の南側に陣取った本願寺本隊も飢えの限界だろうから、そろそろ『加賀の連中が城から食料を分け与えられている』という噂を本格的に流しましょうか。Let's内紛♪である。


『やはり鬼』


≪やはり悪魔≫


「まずはこっちに天罰を下すべきでは?」


 もしもこと(・・)が起きれば超勝寺実照さんの方に味方するというのに。解せぬ。


 まぁでも、私に任せたのだからこういうことになるのは想定していただいたということで。せっかくだから有効活用(意味深)させていただきましょう。そろそろD.P.(ダンジョン・ポイント)に変換されているはず――


 ――あら? 増えてないわね?


 消化(・・)に時間が掛かるとはいえ、そろそろ変換されているはずなんだけど……。


『帰蝶様。ご報告するべきことが……』


 と、ダンジョンの管理を任せている自立型ゴーレム(もちろん美少女)がやって来た。手にはお札のようなものを持っている。


 お札を受け取り、記された術式を読み解く。


 ……う~ん? まるで意味のない、子供の落書きのような術式ね? いやでもこの子がそんなものをわざわざ持ってくるはずがないし……お? このへったくそな術式をあとから書き足したものとして考えると――


 ――魂を特定の場所に戻す術式? に、なる?


 なんというか、微塵も合理的な術式ではないけれど、最終的にはそういう感じになりそうな?


 しかし、何でそんなものを? 死んだら極楽往生というのがお題目じゃないの?


「これ、誰が持っていたんです?」


『ほぼ全員が』


「全員……?」


 う~ん、ちょっと調べてみましょうか。



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