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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第14章 淀城の戦い・3

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閑話 あちゃー・・・・・・


 淀城を取り囲む勢力は大きく分けて三つに分かれている。


 一つは城の南側。下間頼言が率いる本願寺本隊。


 一つは城の北東、新淀川対岸。超勝寺実照が直接指揮する加賀一向一揆。


 そしてもう一つが、城の北西。旧淀川対岸。こちらもまた加賀一向一揆であるが……京都方面から流れ込む淀川によって分断されているため、実照とは別の人物が指揮の代理を任されている。


 そんな、あくまで実照の代理(・・・・・)

 旧淀川の対岸に陣取る顕正は不満を抑えきれないでいた。


 なぜ自分たちが超勝寺の下に付かなければならないのか。

 本来我らと超勝寺は同格であるはず。

 きっと蓮淳様に媚を売って取り入ったに違いない。


 超勝寺実照は頭の中にまで筋肉が詰まっているような男であるが、動乱の北陸を生き抜いてきた男。その程度のことはしているだろう。


 そんな超勝寺実照であるが、とんでもないことをやりはじめた。


 淀城側との勝手な和睦。

 さらには、城側から米などの物資支援を受けるという。


 おそらく、城側は我らの攻勢に恐れをなし、米を差し出して和睦を図っているのだろう。


 仏敵を相手に何を馬鹿なことを、と顕正は呆れたが、本願寺側への報告は一旦止めた。まずは米を受け取ったという証拠を掴んでからでも遅くはないだろうと。


 米が大した量でないのならそのまま下間頼言殿に報告すればいいし、この場の一揆勢をすべて満足させられるほどの量であるならば、限界まで搾り取ってから密告すればいい。


 そして。

 いつの間にやら淀城と繋がった穴が掘られ――


 その穴から、米俵を担いだ人夫が次々と出てきた。


 続々と積み上げられていく米俵。さらには野菜、味噌までもが運び込まれてくる。


 なんという物資であろうか。

 これだけあれば、信者全員に行き渡ることであろう。

 しかもこれはあくまで一日分。明日にはまた運び込まれてくるという。


「……ご支援、感謝いたす。また明日もということですが、本願寺側に悟られぬよう、夜分での搬入をお願いいたす」


 顕正は人夫の頭領らしき人物にそう申し入れた。







 顕正らは与えられた食料の配分を終えた。

 無論、顕正たちは多めに取り分けてある。荒くれ者の信者たちを苦労して統率しているのだから当然の報酬と言えた。


「うぅむ」


 確保した米俵に背を預けながら、顕正は考えた。


 敵である我々に、あれだけの物資を支給する。


 何という慈悲深さであろうか。

 何という甘さであろうか。


 毎日待っていれば、毎日食料が運び込まれてくるのだろう。

 だが、待てぬ。

 信者全員に行き渡るだけの米だが、腹一杯食えるわけではない。


 ……それに、淀川の対岸、超勝寺実照が率いる連中にも同じように分け与えられていると聞く。


 つまり、それだけ、我らに配給される取り分が減っているのだ。


「こうしてはおれん」


 焦る顕正は急いで側近たちを集めた。


「今夜、人夫たちがやって来たら、そやつらを捕らえろ」


「は? と、申されますと?」


「人夫を人質に取り、あの穴を辿って城に攻め入るのだ。淀城の奴らも人質があれば攻撃を躊躇うであろう」


「し、しかし……」


「あの穴は小さく、一度に大人数を送り込めませんが……」


「それに、食料を援助してくださった吉兆様を裏切るような真似は……」


 側近たちの意見に、顕正は大きなため息をつく。


「愚かな。吉兆はあくまで仏敵。それにまんまと騙されようとは」


「仏敵……」


「それは、そうですが……」


「よく考えよ。いま城を攻め落とせば、それは我らの手柄となるのだ。さらには城の中の物資も思いのまま。たとえ本願寺の連中にも文句は言わせぬ」


「ぬぅ、」


「あれだけの物資が我らのものに……」


「そうと決まれば準備をせよ」


「はは、」


「では、そのように」


 顕正と側近たちは早速行動に移ったのだった。






※今後の展開予想をするのは構いませんが、権利主張などのトラブル防止のため、コメント欄などで発信されたアイディアは作者にご寄付いただいたものと判断させていただきます。よろしくお願いします

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