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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第12章 淀城の戦い

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仏罰なのでは? と、プリちゃんは語った


 本願寺方面からの増援というか本隊も到着し、淀城は完全に包囲されてしまった。数は10万くらいいるだろうか? いるのかなぁ? 数えるのも面倒くさいなぁ。


 まぁでも、地平線の先までいるんじゃないかってくらいの大軍勢なので、きっと10万くらいいることでしょう。……5万だろうが10万だろうが、殲滅することに変わりはないので問題なし。


 さーって。敵は長距離の移動で疲れているだろうし、ここは夜襲をするしかないわよね。

 とはいえ、(いくら避難民を受け入れて兵力に余裕ができたとはいえ)夜襲を仕掛けるほどの兵士はいない。いや長尾景虎さんと小島弥太郎さんがいるから任せればいい感じにやってくれそうだけど……敵将の首取ってきてくれそうだけど……さすがに二人だけで突っ込ませるのはなぁ……。


 ほら、私って常識的で心優しい美少女だから♪


『は?』


 めっちゃドスのきいた『は?』であった。いと怖し。


 まぁ、ついでに言えば城の全方位を堀でがっつりと囲んであるので、外への移動は木橋を使うしかなく、城から大兵力が打って出るのは難しかったりする。


 というわけで。

 夜襲(大砲撃戦)である。


 水堀や川の向こう側では敵が炊飯する煙がもくもくと上がっている。ああいう煙は『今は食事の準備中ですよー、ここにいますよー、油断してますよー』と相手に教える行為なのであまり出すべきではない。……まぁ、数がいっぱいいることを籠城側に示して、プレッシャーを掛けているのかもしれないけど。


 あとは太鼓や(かね)を打ち鳴らして踊り狂っている人間も何人かいた。そういえば一向宗も踊り念仏をやっていたんだっけ?


 ああいうことをすれば士気が高まりそうねーこっちも音楽隊を結成するかしらーなどと考えていると、各部隊の指揮官が集まってきた。


「帰蝶様。大砲部隊、準備整いまして御座います」

「同じく臼砲部隊、準備終わりました」

「木砲部隊、革砲部隊、準備整いました」

「投石器部隊、いつでもいけます」

「噴進弾(ロケット弾)部隊、準備完了です」

「鉄砲隊、弓隊、手砲隊、それぞれ配置につきました」


 各部隊のネーミングについては気にするな。時間がないから分かり易さ重視である。


『いえ、あなたがこだわるとダサくなりますから、このままでいいのでは?』


 解せぬ。『不滅の雷鳴大隊(サンダーバード)(大砲部隊の候補名)』とかめっちゃ格好いいじゃん。


『ほら……』


 いわんこっちゃない、だっさい名前……とでも言いたげな『ほら……』であった。解せぬ。

 ここは真面目にやって、真面目な雰囲気に戻さなければ!


「んー、じゃあ、やってみましょうか。狙いは新淀川の対岸に陣取る加賀の一向一揆で。長旅のせいで疲れて士気も落ちていることでしょうから」


 私がそう指示を飛ばすと、


「皆の者! 帰蝶様からお許しをいただいたぞ! 厳しい訓練を積み上げてきたのは今日のため! 正しき仏道をこの世に顕現させるため! 今こそ浄化の炎で以て、仏敵共を殲滅するのだ!」


 防衛隊の指揮官、木沢相政さんが耳が痛くなるほどの大声を発した。


「おお!」

「今こそ我ら修羅とならん!」

「砲撃開始!」

「砲撃開始!」

「砲撃開始!」


 まずはロケットの導火線(火縄)に次々と点火されていく。

 ちなみに『火縄』というものにもいくつか種類があり、木綿ものものは溶かした硝石を染みこませてあるのでそう簡単に火が消えたりはしない。あとは竹で作るものもあるけど、こっちは竹自体に油分があるから消えにくいのだそうだ。


 ともかく。点火された導火線は瞬く間に燃え尽きて――ロケット本体の火薬に点火。けたたましい音を立てて飛翔していった。


「う~ん、やっぱり真っ直ぐ飛ばないわねぇ」


 量産性を重視して羽根も付けていなかったので、好き勝手な方向に飛んで――おん? 一個こっちに向かってきたぞ?


 なぜだか空中で『くるん』と一回転半したロケットが、狙い澄ましたようにこちらへ向かってきた。


「みぎゃあぁあああぁああ!?」


 私に直撃し大爆発するロケット。私に何か恨みがあるというのか……。


『ロケットからしてみれば火を付けられて自爆させられるんですから、恨み骨髄なのでは?』


 解せぬ。


 ちなみにもちろん当然の如く私は無傷だった。美少女はこの程度で傷つかないのだ。


『あなたの美少女観はおかしい』


 どんなときも負けず、くじけず、ただ前を見て進む。それがメインヒロインたる美少女なのでは?


『はいはい』


 私の熱いヒロイン語りがたった四文字でぶった切られてしまった。解せぬ。


 幸いにして誤爆(?)したロケットは私に当たっただけで、他のロケットに引火したりはしなかった。ロケットや火薬の在庫を置いておく場所はもうちょっと考えないとね。


 土の魔法でそれぞれの発射台近くに小分けの保管庫を作製。これならロケットが突っ込んできてもそう簡単に引火しないし、たとえ一つ誘爆しても他の保管庫は無事である。搬入と持ち出しにちょっと時間が掛かるけどしょうがないわよね。


 そんなことをしているうちに、対岸に布陣した一向一揆のただ中にロケットの第一陣が着弾。轟音と共に炎が上がった。


 ここからでも一向一揆の絶叫が聞こえる。突如として巻き起こった爆発に、さしもの一向一揆たちも混乱しているようだ。


 しかし地獄はこれで終わらない。

 これから本当の地獄が始まるのだ。


 すでにロケットの第二弾は飛翔し、第三弾にも点火された。


 狙い通りに飛ばないのが逆にいいのだろう、ロケットは対岸のあちこちに着弾し、爆発。一向一揆を断混乱に陥れた。


「うわぁああぁああ!?」


 逃げようとした信者の一人が転び、他の信者に踏みつぶされて絶命する。

 ロケットの直撃を受けた信者は肉片となって周囲にばらまかれる。

 意味も分からないまま新淀川に逃れた信者たちの多くは流れに足を取られ、溺れていった。


 そうして散々にロケットを打ち込まれた一向一揆のうち、新淀川の対岸にいた信者たちは我先にと逃げ出してしまった。


 うん、この調子ならすぐに撃退できそうね。


『……またそうやってフラグを立てる……』


 ちょっと、そういうこと言うと本当になるから止めてもらえません?




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