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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第12章 淀城の戦い

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最強同盟(相手は滅びる)


「というわけで。もう二度と稲葉山が焼かれないようにしてあげましょう」


 そんなことを口走る景虎さんだった。いや稲葉山というか岐阜城は今後も結構な頻度で攻められますけどね?


「え~っと、景虎さん? それは一体どういう……」


「お姉ちゃん」


「はい?」


「お姉ちゃん、でしょう?」


「ア、ハイ。オネエチャン、ドウイウコトデショウカ?」


「ふふふ、この妾が! 妹に手を貸そうじゃないの!」


「…………、……キャラ崩壊しすぎじゃない?」


「きゃら?」


「ごほん。私と三ちゃんの天下統一に力を貸してくださると?」


「ま、そうなるわね。三ちゃんって子は知らないけど……。攻め込んでくる敵がいなくなれば、もう街が焼かれることもなくなるでしょう」


 敵をすべて殲滅すると? なんという軍神思考。普通の人間はその『攻め込んでくる敵がいなくなれば』ができないというか、そんな発想すらできないんですよ?


 なんというか、こう、とんでもない爆弾になりそうな気が。具体的に言うと私の話を聞いてくれるのかしら? 謀略家にとって、行動を予想できない味方(ただし途轍もなく有能)ほど厄介な存在はいないのだけど。


 でもなぁ、あの軍神・上杉謙信が仲間になりたそうにこちらを見ているのだ。ここで断る軍オタがいるだろうか、いやいない (反語)


 しかし、さすがの私も上杉謙信を家臣にする勇気はないのである。そんなことは軍オタとして許されないのである。龍とは誰にも縛られずに天高く舞うべきものなのである (面倒くさい軍オタ)


 う~ん、どうしたものか……。


 お、キュピーンと来た。キュピーンと来ましたよ。


「……では、同盟を結びませんか?」


「同盟?」


「お互いに助け合いましょう。お互いの足りないところを補い合いましょう。そうすれば、きっと天下静謐も成し遂げられるはずです」


 具体的に言うと後顧の憂いがなくなり補給が完璧になった上杉謙信である。小田原城は滅びる。


「……面白そうね。個人と個人で結ぶ同盟、か。そういうのもいいかもしれないわね」


 好感触っぽかったので私は景虎さんに手を差し出した。もちろんこの時代に『握手』なんていうものはない。

 けれど、その意味を魂で理解してくれたのか景虎さんは固く手を握り返してくれたのだった。





 と、ここで終わればいい話だったのだろうけど。


「――景虎様! お背中お流しいたします!」


 スパーンと扉を開けて、年若い女性が風呂場に乱入してきた。口ぶりからしてたぶん景虎さんのお付きの人でしょう。


 でも、その手にタオルじゃなくて短刀を握っているのは何故に? 『お背中(に短刀を突き刺して血を)お流しいたします』的な?


 こう、『短刀を持って風呂に入っては後の手入れが大変ですね!』とでも返すべき場面かしらね?


 一応お風呂の外には小島弥太郎君の他にも(私の護衛として)前田慶次郎君もいたはずなのだけど……。うん、あの子なら面白がって素通し(スルー)しそうよね。


 どうしたものかと私が戸惑っている間、乱入してきた女性を凝視していた景虎さんは可愛らしく小首をかしげた。


「ふえ。いつの間にかいなくなってたけど、今までどこに行ってたの?」


「――――」


 あ、これはあかん。空気が凍った。ピキッと。事情を知らない私でも失言と分かるレベルの失言だ。


「……ふ、ふふふ、突撃を前に置いて行かれたのは仕方ないとしても、すぐに戻るだろうと待っていても来ないし、城下町が丸焼けで情報収集もできないし、やっと手がかりを掴んだと思ったら稲葉山城の御殿にいるというし。苦労して潜入したらあの筋肉達磨に遭遇するし……そもそも越後から出奔するときに置いて行かれたし……」


 ふふふ、ふっふっふっと笑う女性だった。なにこれ怖っ。いきなり戦国ホラー物が始まったんですけど?


「――ここで逢ったが百年目!」


 しゃらぁん、と鞘から短刀を引き抜く女性だった。で、殿中でござる! 稲葉山城の御殿中でござる!





 その後。ちょっとしたドタバタがあったけれど、越後ではよくあることらしい。凄いな越後。悪い意味で。




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