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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第10章 大坂本願寺

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そして師匠は敗訴した


 天狗さんと合流してから、数日。


 天狗さんが深刻な顔をしながら私に声を掛けてきた。


「実は、薬師如来様が夢枕に立ちまして……」


 相変わらずフットワーク軽いな薬師如来、とか。天狗って寝るんかい、とか。色々ツッコミたい気持ちをグッと抑え込んで先を促した私である。


「なんでも、あの御方は薬師如来ではないので認識を改めて欲しいとか……」


 師匠の方をチラチラと見ながら、とても居心地悪そうにする天狗さんだった。薬師如来本人から抗議が来るとか、やはり師匠は生き様を見直すべきでは?


 自らの見込み違いに『しゅーん』とする天狗さん。これはもう紛らわしい師匠が悪い (本物の神格)ので、弟子としてフォローしておく私である。


「あー、まぁあの人は薬師如来ではありませんが、私の師匠であり、別の世界では神に列せられる存在ですので。薬師如来と勘違いしても仕方ないかもしれませんね」


「お、おぉ、そうでありましたか。薬師如来様であるというのは拙僧の早とちりだったようですが、間違いなく貴き存在ではあられたと。それを聞き安心いたしました」


「……ちなみに薬師如来は私について何か言っていましたか?」


「はい。『彼女は本物の化身なので、誠心誠意お仕えするように』と」


 なんでやねん。


 思わず突っ込んでしまう私であった。解せぬ。






 なんやかんやで淀川との合流地点に近づき。


 なんやかんやで民衆たちは最後までついてくるつもりみたいだった。ちなみに食費はすべて私持ち。解せぬ。



『なるほど、最初に恩を売っておいて後から搾り取ると……』


≪先行投資というヤツか。なんとも腹黒い……≫



 なぜ善意の行動が腹黒認定されなきゃならないのか。これもきっと『斎藤道三の娘』という悪評が原因でしょう。おのれ美濃のマムシ、許さんぞ。


『そういうところです』


 こういうところらしい。


 そろそろプリちゃんとは決着を付けるべきだろうかと私が考えていると、



「――おぉ! あなた様こそが!」



 運河の堤防の上からそんな絶叫にも似た声が響いてきた。ちなみに私たちは運河の底を歩いているので、堤防の上からの標高差は10メートルを超えている。


 そんな堤防の上から声を掛けてきた男性が駆け下りてきて……足をもつれさせ、転んだ。

 まぁ人間なんだから転ぶときもあるだろうけど……最悪だったのは堤防の斜面 (急角度)で転んだことだ。


「ぬあぁあああぁああ!?」


 ゴロゴロと。

 そりゃあもう見事なまでにゴロゴロと転がり落ちてくる男性だった。何という派手な登場シーン。


『なるほど、類は友を呼ぶ……』


 いくら私でもあそこまでアレな登場はせんわ。


『え?』


≪え?≫


「え?」


 自覚ないの? という目をするプリちゃん・玉龍・師匠だった。解せぬ。というか登場の仕方では稲葉山の山頂を吹き飛ばした師匠に言われたくはないわい。


「ほぉ、自らの危険も顧みず駆け寄ってくるとは……見上げた忠誠心ですな」


 なにやら感銘する天狗さんだった。この世界にまともなツッコミはいないのか?


『まともなツッコミをされたかったら、まともなボケをですね……』


 まともなボケって何やねん。布団が吹っ飛んだ、とか?


『ハッ』


 鼻で笑われてしまった。解せぬ。


 そんなやり取りをしているうちに転がり落ちてきた男性が運河の底に到着というか落ちてきた。


 登場の仕方はギャグにしか見えないけど、それはそれ。あれだけの高さから転がり落ちると相応に肉体ダメージを負っているものなので……。このまま放っておいたら死ぬなと判断した私は回復魔法を掛けてあげた。


「おぉ! これが! 噂に聞く薬師如来の化身の奇蹟!」


 怪我が治ったばかりだというのに正座をして、頭を下げてくる男性。


「――某! 木沢長政が一子、木沢孫四郎相政! 薬師如来のお導きによりまして、今ここに参上つかまつりまして御座います!」


 お導きって、何? なんのこと?


『また何かやらかしたんですか……』


 何でもかんでも私のせいにするの、やめてもらえません?




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