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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第9章 小豆坂の戦い・2

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そろそろ逮捕されるべきでは?


 さて、親友二人からの辛辣なツッコミをスルーしつつ。私は件の小舟に近づいた。


「な、何という美しい髪……、い、いやいや! そこな女性! 近づいてはなりませぬ!」


 小舟に麻疹の子供を乗せてきたという男性が止めようとするけれど、向こうから近づいてくる気配はない。今までの経験や伝承から『近づいたら移る』と知っているのでしょう。


「あ~はいはい大丈夫ですよ。私には感染しませんので」


「移らない……ま、まさか貴女様が噂の薬師如来の化身――!?」


 どこまで噂が広まってんねん。というツッコミも今さらかしら?


 小舟に乗り込み、乗せられていた男児を診察する。ほうほう、服を脱がすまでもなく顔に発疹が。


「これは見事なまでの麻疹ね」


 ウィルス性の感染症となると、回復魔法よりもポーションの方が良さそうね。医療用ナノマシンでウィルスを『チェストー!』してもらう感じだ。



『もうちょっと、こう、マシな説明はできないのですか?』



 考えるな、感じるんだ。


 とりあえずポーションを取り出して――ただ取り出すのも芸がないので、スキル:ポーション作製を発動。


 端から見たら空中にいきなり液体が現れ、渦巻き、これまた突如として現れた瓶の中に納められフタがされたように見えるでしょう。もちろん誰の手にも触れない全自動で。


 いや本気でやれば一瞬で瓶詰めされたものが出てくるんだけどね。これはそういうものじゃないのだ。演出は大事なのだ。


 もちろん風の魔法で私の髪をゆったりとたなびかせたし、魔法で光に粒子をキラキラと舞わせたので、男性からすれば私がなんか奇跡的なことをしたように見えるはずだ。


『なんでそう無駄な演出が好きなのか……』


≪やってることがまんま奇蹟(・・)なのが厄介じゃな≫


 なぜ呆れられなきゃいけないのか。演出は大事だというのに。解せぬ。


『そういうところです』


 こういうところらしい。解せ以下略。


 まぁとにかく。男児の服を脱がせ、発疹の上にポーションを手ずから塗っていく私である。そう、男の子を裸にしてね。あくまで医療行為として。あくまで医療行為として。大事なことなので二回言いました。


『ショタコン……』


 なぜ医療行為をしているのに罵られなきゃならないのか。解せぬ。


≪普段の行いじゃな≫


 解せぬ。


「おぉ! 化身様自ら、発疹に阿伽陀(アッキャダ)をお塗りいただけるなど――!」


 自分の感染を恐れぬ行為に感動して滂沱の涙を流す男性だった。うんうんこれが普通の反応よね。


≪わりと『おーばーりあくしょん』ではないか?≫


『この人、もう信仰されるのに慣れている……』


 なぜだか呆れの目を向けられてしまった。解せぬ。


 使用者が精神的ダメージを受けようとポーションは所定の性能を発揮してくれて。無事というか何というか、男児の肌から発疹は消えたのだった。あとは肺炎も併発しているし、体力回復も兼ねて回復魔法を掛けて~っと。


「はい、あとは食事に気を遣って体力回復に努めれば大丈夫でしょう」


 麻疹の子供にはビタミンAを投与した方がいいんだけど……。もちろんこの時代にサプリメントなんてものはない。


 う~む、食事で摂取するとなると豚や鶏のレバーか。この時代だと豚はたぶん沖縄にいるくらいだし、神聖だという鶏を食べさせるのも難しそう。というか内臓食うんかいなこの時代の人?


 レバーがダメだと、あと用意できそうなのは野菜と――アマノリか。つまりは海苔。戦国時代でも海苔くらいはあるでしょうきっと。


『あるにはありますが、貴族向けの高級食品ですね』


 海苔が高級品かぁ。いや『現代』でもお高い海苔はあったけど、それでもなんだかジュネレーションギャップ(数百年)である。


 ま、とにかく。

 雑賀の海岸で海苔は取れないかしらと尋ねると、何人かが海に入って探してくれることになった。まだ養殖はやってないらしい。



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