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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第7章 越後の龍に、ならなかった女

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師匠


 さて。稲葉山城大改造計画・始動である。


 すでに山頂に目印であるマーカーは設置済み。あとはそのマーカーに沿って『すぱーん』と切ってしまえば山頂が真っ平らになり、お城の用地として使える面積が増えるって寸法だ。


≪……何度聞いても、訳の分からないことをしようとしておるのぉ……≫


『大丈夫、理解できないのが正常です』


 解せぬ。


 まぁどれだけ呆れられようがすでに計画が動き始めているのだ。具体的に言うと山頂の城から麓の居館にもう『行政府』としての機能を移してあるし、ゆえにこそ城に詰めている人もいない。思う存分『すぱーん』とできるというものである。


 ……城が使えない間は防御力に不安がある? こんなとき(軍オタ永遠の夢である城作り中)に攻め込んでくるような不届き者はゴーレムで踏みつぶしてしまえばいいのだ。


 さらに念のため、落石などもあるかもしれないので山の周囲は立ち入り禁止にしてある。ちょっとした失敗をしても安全という寸法だ。


 よし! さっそくぶった切りましょうか!


 私が気合いを入れるために肩をぐるんぐるん回していると――



 ――おん?



 大気が乱れた。

 いや、大気どころか、空間そのものが歪んでいる。



≪な、なんじゃ? 西海竜王(ちちうえ)でも顕現したか?≫



 玉龍が不安そうに空を見上げた。あなたの父上ってガチの神霊やん……。

 思わず私も玉龍の視線の先を追うと……なにやら、本格的に時空が歪み始めた。


 そして。

 空の彼方。歪んだ時空の中心から燃える何かが降ってきた。


 隕石か。

 UFOか。

 いや、あれは――師匠だ。


 たぶん、私が作り上げた異世界転移の術式を使ったのだと思う。

 たぶん、私の魔力とかその辺を目印にしてやって来たのだろう。


 しかし、なぜ燃えているのか? なぜ空から降ってくるのか?


 疑問に思っている間にも師匠はどんどん落下してきて――追突した。


 私に……ではなく、なぜか、稲葉山の山頂付近に。


「――ぬおぉぉぉぉおおおおぉおぉおおおおっ!?」


 まるで隕石が衝突したかのように山頂部分が吹き飛ぶ稲葉山。浅い角度でぶつかったせいで、私から見ると左から右に滑って(・・・)いっている感じ。『現代』に残っている縄張りで説明すると天守台から台所・堀切・太鼓櫓あたりまでをごっそり削り取ってなお止まる様子がない。


 台所・堀切・太鼓櫓と来れば……その先には『現代』の金華山リス村がある。


 ちなみに戦国時代の名前は、硝煙蔵。

 つまりは、弾薬庫。


 もちろん、今井宗久さんから買い占めている火薬がかなり大量に保管してある。そろそろ新しい保管場所を用意しなきゃなーっと父様と相談する規模で。いやアイテムボックスに放り込んでおけばいいんだけどね。それはそれとして使うでしょう、硝煙蔵があるならば。


『あなたのこだわりが分からない……』


 プリちゃんが呆れていると――


 ――ちゅどーん、と。


 燃えながら硝煙蔵に突っ込み、大爆発する師匠。


 そのまま弧を描きながら花火のようにに打ち上げられ、すぐ近くの長良川に落下する師匠。


 何ともド派手な登場である。

 初登場だから気合いを入れたのかしら?


≪……いや、反応はそれでいいのか? あれ、普通は死ぬぞ?≫


 残念ながら。あのくらいで師匠が死んでくれたら苦労はしないのだ。


≪……あぁ、おぬしの『師匠』であればな……≫


 いやあんな規格外と一緒にしないでもらいたい。いくら私でも体当たりで山頂を吹き飛ばしたりせんわ。解せぬ。


 師匠は炎に包まれたくらいじゃ死なないし、空から落下したくらいでも死なないし、大爆発に巻き込まれても、川に落ちても死にはしない。たぶん。


 だから別に放っておいても良かったのだけど……助けないとそれはそれで後々拗ねてしまうので、落下というか落水付近へと転移した私であった。




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