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世界最強の海軍


 まぁ教えてしまったものはしょうがない。

 下手に誤魔化すよりは情報を開示して、味方に引き入れてしまおうと考えた私である。


『何というパワープレイ』


≪何という脳筋≫


 解せぬ。


 力業だけじゃないところを見せてあげましょう。というわけで九鬼君への本格的なスカウトを開始した私である。


「――七つの海を制覇したくはありませんか?」


 船乗りからすれば一度は夢見るはず。

 しかし、九鬼浄隆君は理解できないとばかりに首をかしげた。


「ななつのうみ?」


 あっれー? 通じてない? 七つの海が通じてない?



『そりゃあ、やっと南蛮船がやって来る時代なのですから。知っているはずがないでしょう?』



 幼稚園児に言い聞かせるような口調だった。解せぬ。


 じゃあまずは七つの海を解説しましょうか。というわけでアイテムボックスの中から大きめの紙を取りだした私である。


 さすがにこの世界(地球)の地図は持っていないので、白紙だ。前の世界の地図ならあるんだけどねぇ。


 なので。

 戦国時代に来てから使うようになった筆を取りだし、フリーハンドで世界地図を描き始めた私である。何も見ないで世界地図を描くのは軍オタの必須技能だからね。



『あなたの中の軍オタ以下略』



 ついにとうとう略されてしまった。軍オタなんてひたすら地図を見ているのだから世界地図くらい頭の中に入っているものなのでは? スラスラ描けるものなのでは?


「ん? んん? こりゃあ一体どこの地図だよ?」


 疑問の声を上げる九鬼君に対してニヤリと笑ってみせる私。


「世界よ」


「せかいぃ?」


「この端っこの小っちゃい国が日本――日の本ね」


「…………」


「…………」


「…………」


 九鬼君だけではなく三ちゃんや孫一君も地図を覗き込み、絶句していた。私の描いた地図の美しさに感動しているに違いない。


『ポンコツ』


≪ポンコツ≫


 解せぬ。


「ちなみに伊勢湾がここね。尾張がここで、伊勢はここ」


 指差してみるけど小さすぎて判別できるかどうか疑わしいところね。


「……おいおい、こんなに小せぇのかよ」


「なんとも、目が覚める思いであるな」


「ん、井の中の蛙」


 う~むと顔を見合わせる九鬼、織田、雑賀だった。絵面がとても面白い。


「で、いずれ三ちゃんが日の本を統一したら次は海よね。中国は広すぎるから港湾の権益だけ取る感じで。まず重要なのはフィリピンよね。そしてインドネシアなどの東南アジア。できればインドやエジプト辺りまでいきたいけど……。それだったらオーストラリアやチリの資源を狙った方がいいわよね」


「……帰蝶はもう少し相手に分かるよう喋った方がよいな」


「ん。ねぇねの悪い癖」


 お前らにだけは言われたくないわーい。


 思わず突っ込んでしまう私であった。


「ともかく。海を制するなら強大な海軍は絶対に必要で。そのためには今から人材を育てなきゃいけないわけよ。――世界の九鬼。目指してみない?」


「……はっ、大言壮語だな。だが、妄想もそこまで言い切れりゃあ立派なもんだ。――船さえ用意してくれるなら、いくらでも協力してやるよ」


 先ほどは父親と相談しなきゃと言っていたのに、今は断言してくれた。きっと何かしらの心境の変化があったのでしょう。


「船なら任せなさい。これから船大工を育てるところから始めるけど、数年後には大艦隊を作れるでしょう。……あ、とりあえず参考品として魔法で一隻作っちゃいましょうかね?」


 私が鼻歌を歌いながら戦列艦の図面を引き、三ちゃんたちが興味深そうに見つめていると――



≪……大艦隊って。国家予算というか、国の中でも大国でも揃えるのは難しいだろう? そんな金をどこからもってくるのだ?≫


『玉龍さん。この人、考え無しで金を使い込むのが基本なので。足りなくなってから騒ぐのはいつものことなので』


≪……一番『嫁』にしてはいけない人間だな≫



 解せぬ。

 最終的には何とかなるんだからいいじゃないか。いざとなったら錬金術があるし。……ちょっとやり過ぎて金相場が暴落することもあるけどね♪


『反省しろ』


 あいすまぬ。




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