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【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第6章 富国強兵

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米作り(パワープレイ)


 ちなみに水田作りには新たに家臣となった新五郎(斎藤利治)と、加藤光泰君が同行していたのだけど、新五郎は『なんと、にわかには信じられませぬ……』と驚愕し、光泰君は『やはり薬師如来の化身であらせられましたか』と拝んでいた。


 そして最初の家臣である光秀さんはというと、『まぁ、帰蝶だしな……』と遠い目をしていた。解せぬ。


 さて、それはともかく、水田はできたので稲作である。


 お米自体は堺で色々な種類を入手できたので、試しに全種類蒔いてみることにする。


 ここで転生者のテンプレなら苗床を使ったり正条植えをしたりするものだと思う。一説にはそれらをするだけで収量が1.5倍になるとかならないとか。


 しかし、私はそんな面倒くさいことはしない。


 いや普通の農家に教えるのはやぶさかじゃないし、どんどんやって欲しいけれど……私は、やらない。


 こういうときのチート! こういうときの魔法である!


『またやらかそうとしてる……』


 なぜやらかしを前提とするのか。解せぬ。


 アイテムボックスから堺で買い付けた米を取りだし、風魔法で水田にばらまいていく。等間隔に植える? そんなことしないしない。なぜならスペースがもったいないから!


 もしも普通にこんな蒔き方をしたら日光が足りないし、雑草は取りにくいし、風通しも悪くなる。


 しかし、問題なし。


 一瞬で成長させ、一瞬で収穫すればいいのだから!


 魔力を地面に注ぎ込んで肥料代わりに――するのは、ちょっと疲れるので別の方法をとることにする。


 秘技、稲妻落としである。


 雷の別名は稲妻であり、稲の妻(夫)という意味。昔は雷が稲を妊娠させると信じられていたのだ。


 その俗説はともかく、雷が落ちると稲の収量が増えることは千年以上前から知られていたらしい。


 ちょうど『生徒』である新五郎と光泰君もいるので、簡単に授業をしてみるとする。


「稲妻が落ちると豊作になる理由を科学的に説明すると……。肥料の3要素である窒素、リン酸、カリのうち、窒素というのは空気中に多く含まれているの。ただ空気中の窒素分子(N2)は不活性で、そのままでは肥料として使えないのよね。このN2をアンモニア(NH3)などに変えるためにはまず窒素原子を分離させて化合物を作らないといけないのだけど、三重結合だからそう簡単にはバラバラにできないの。これを分離させるには温度にして1,000℃ものエネルギーが必要であり、自然界でこれができるのは稲妻による放電だけと言われているわ。つまり、稲妻によって空気中の窒素を分解し、それが雨と結びついてHNO3となり、地表に降り注ぐことによって植物が利用できる肥料になるってこと(諸説あり)」


「う、うむ……」

「な、なるほど……?」

「さすが薬師如来様。碩学泰斗でありますな。一句すら理解できない自分が恥ずかしくなりまする」


 まるで理解できていなさそうな顔をする光秀さんと、新五郎、そしてやはり私を仏扱いする光泰君であった。


「まぁつまり雷を落とせば稲がぐんぐん大きくなるって話よ」


 バッサリと結論づけた私は天高く右手を掲げた。


 雑学としては、この地球上では一秒間に百回ほど雷が発生するらしい。


 その雷をちょっとだけこっちに引っ張って(・・・・・)くれば――



「――対ショック・対閃光防御!」



 一応警告してから私は水田に雷を落としまくった。そりゃあもう視界全部が真っ白になる勢いで。


 ちなみに引っ張ってきているだけなので、雷の魔法を使って落とすよりは魔力の節約になっております。


 閃光と落雷が収まったあと。

 水田を見ると、たわわに実った稲の姿が。隙間なく稲が生えている光景は圧巻である。


「ふっ、ちょっと魔力をサービスしすぎたようね。どうよこれが伝統ある帰蝶ちゃん式瞬間稲作――」


 後ろを振り返ると、光秀さんたちは意識を手放して地面に倒れ込んでいた。


 ん~? 落雷にビックリしすぎて気絶しちゃったとか? 戦国人の割には軟弱な……。


『……あれだけの雷ですし、外れた(・・・)雷でも直撃したのでは?』


 あ、


 やべ。


 とりあえず回復魔法を掛けると、三人とも何事もなかったかのように意識を取り戻したのだった。


 いやこの言い方は正確じゃないわね。何事もなかったかのようにではなく、何事もなかったのだから。わたし、なにもしてない。わたし、なにもやらかしてない。美少女は失敗しないネ。



≪……此奴こそ雷に打たれるべきなのでは?≫


『残念ですが。主様は落雷程度ではノーダメージです』


≪……あぁ、まぁ、帰蝶であるしな≫



 解せぬ。




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