表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2巻 4/15 発売!】信長の嫁、はじめました ~ポンコツ魔女の戦国内政伝~【1,200万PV】【受賞&書籍化】  作者: 九條葉月
第6章 富国強兵

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

177/820

尾張名古屋は新城で持つ


 なんだかスクナ姉さまの怨念が届いたような気がする。また師匠が何かやらかしたのかしら?


 それはともかく那古野城まで転移して、三ちゃんの部屋にやって来た私である。


「三ちゃん! 聞いたわよ!」


「……また誰かに何か吹き込まれたのか?」


 吹き込まれたとは失礼な。まるで私が考えなしに情報を鵜呑みにするポンコツみたいじゃない。


「違うのか?」


 違うわい。プリちゃん並みの容赦ないツッコミをするのはやめていただきたい。くっ、プリちゃんの声が聞こえるようになって悪い影響が出てしまったみたいね!


『一番悪いのは主様の言動では?』


 やはり本家本元のツッコミのキレは抜群であった。


「で? 一体どうしたというのだ?」


「おっとそうだった。聞いたわよ。結婚したら新しく愛の巣♡を作るそうじゃない!」


「あいのす?」


 三ちゃんが首をかしげるとプリちゃんが解説してあげた。


『おそらくは妻を迎えるために新造する建物のことを言っているのかと』


「あぁ、御東(おひがし)のことか。解説感謝するプリ殿」


 三ちゃんはプリちゃんのことを『プリ殿』と呼ぶことにしたらしい。まぁそれはともかくとして。


「三ちゃんに嫁入りするとなれば、この那古野城に建物を新造するのよね?」


「うむ、そうなるのか。まぁ帰蝶の場合は稲葉山城からの通いでも何ら問題はなさそうであるが……」


「通い妻もそれはそれで萌えるけど、やはり愛の巣♡は必須だと思うのですよ私は」


「……それで? 新造する建物を設計したいとでも言うのか?」


「お、さすが三ちゃんよく分かっているわね。まぁでも私と三ちゃんとの愛の巣♡だし、数百年後には観光名所になるのだから三ちゃんと私の愛の強大さを後世に広く伝える建物にしましょう!」


「……帰蝶の言っていることは所々分からぬなぁ」


『大丈夫です、理解できない方が正常です』


 なぜか呆れの込められた目を向けられてしまった。解せぬ。


「そこで私は考えました。建物一つなんてケチくさいことを言わず、いっそのこと城一つ作っちゃいましょうと!」


「またとんでもないことを言い始めたな此奴は」


『主様ですからね。是非も無し』


「……苦労しておるのだなぁプリ殿」


『いえ、これからは信長さんに矛先が向きますので』


「…………」


 仲の良いやりとりをする二人の前で紙を広げる私。そこには『未来の名古屋城』の縄張り図(設計図)が記されていた。


「名古屋城は美しいわよねぇ合理的よねぇ。さすがは藤堂高虎の縄張り。城郭理論の最高峰。でもねぇ、城オタとしては綺麗すぎて面白味がないのよ(個人の感想です)。やっぱり『そこまでやるか?』って感じの姫路城や熊本城とか、千人殺しの延岡城とか、石高に対してデカい城作りすぎだろうっていう津山城とか、そういう面白味が欲しいのよ!(個人の感想です)。そしてエレベーター! エレベーターは絶対に許さん! せめて中に作れ中に!(全世界100億人の軍オタの感想です)」


「帰蝶の言っていることはよく分からんが……なんだこの縄張りは? 規模が大きいだけで防御力がなさ過ぎる……いや、待てよ? うぅむ、ここがこうなって……なるほど、こういう考え方もあるのか……」


 この短い時間で名古屋城の合理性に気づいたらしい。さすがは私の三ちゃんである。


「というわけで第一回『那古野城を名古屋城にしよう会議』を開催したいと思います!」


「なごやじょうを、なごやじょうに?」


『漢字が違いますが、口で言うとまったく意味が分かりませんね』


「というわけでまずは石垣と天守よね。大丈夫よ私って軍オタだからあらゆる天守の寸法から柱の数まで暗記しているから。いきなり層塔型だとロマンがないから望楼型にしましょうかね。石垣は専門家に任せてもいいけど面倒くさいから私が魔法でパパッと組み上げちゃいましょう。あとは堀か。むしろ数十メートルクラスの堀を先に掘って、その土で本丸をかさ上げして平山城にしちゃう手もあるかしら? う~ん、もう結構な規模の城下町はあるし、立ち退きさせるわけにもいかないから史実通り湿地帯の方に規模拡大するしかないかしら? あとは櫓を何個建てるかだけど、やはり広島城くらいは欲しいところ――」


 ガッシリと。三ちゃんが私の両肩を掴んできた。


「――いいか帰蝶。止めても無駄だから『やめろ』とは言わん。だが、万全の準備をして、失敗しないようにしろ。よいな? 失敗、しないよう、万全を、期、す、る、の、だっ!」


 ぎしぎしと手に力を込める三ちゃんだった。父様そっくりの反応である。つまり、私への期待が肩を掴む力に変換されているのでしょう。ふっふっふっ、期待されたからには応えなくちゃね!


「やめろ」


『やめろ』


 ステレオで止められてしまった。解せぬ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 名古屋市民ではなく愛知県民ですが、エレベーターは絶対に許さん! せめて中に作れ中に! 美意識はないのか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ