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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
so sweet sweet sugary
85/195

85.花はただあなたの笑顔が見たい

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 さとるが車を買った。


 あたしの妊娠が発覚したGW頃は丁度、記憶がしっかりしてきてじゃあまたバイクを買うか考えてた時だったから、もう迷わずに「車!」って決めて教習所に通ってたの。


 黒のミニバン♥これで産まれる双子ちゃん達のチャイルドシートも付けられる!


 中古だけどピカピカで納車されたそれに、昨日助手席第1号でアクアラインをドライブしてきちゃった☆



「撫子、今年の夏はいっぱい花火見に行こう?」


 さとるが微笑んで言ってくる。


「うん♥」

 あたしは嬉しくて頬が緩んじゃう。


 夏フェスは無いのかとゆーと……「去年CDJ出れたからあるかも?」とか思っちゃってたケド2/5にさとるが記憶喪失になっちゃってどこからもオファーが来なかったの。

 4/3にLUCYで「モザイク」をリリースしたけど気を遣われたのか声はかかんなくて、その内にPクラの脱退とあたしの体調不良(実はデキた)で「カミキが復活したらPクラがいなくなってナデシコも病気でしょ!?これって解散!?」説が吹き荒れて―――

 で、やっぱりどこにも呼ばれなかったの。


(5/19には喧嘩でテレビにされちゃったし。も~しょうがないけど結構激動じゃない?)


 さとるに守ってもらった事を思い出して1人でクフフとした撫子を神木が首を傾げて見る。それも可愛い!


 7/5の府中スゴイ花火には行ったの。

「あれも超良かったよねー、じゃあさ、今年は都内の花火大会網羅、しちゃわない?」

 スチャ!とスマホを構えて神木を見ると神木は眉を下げて

「クス、いいぜ」

「きゃあんっ、さとるありがとう!」

 抱きついちゃうと嬉しそうなさとる。

 エヘヘ。

 さっそくググって書き出す。


●7/22(土)足立の花火

●7/25(火)葛飾納涼花火大会

●7/29(土)隅田川花火大会・昭和記念公園花火大会

●8/5(土)いたばし花火大会・江戸川区花火大会・青梅納涼花火大会

●8/9(水)狛江多摩川花火大会

●江東花火大会

●八王子花火大会

あとこれは離れて●10/21(土)世田谷でたまがわ花火大会


「こんなにあるんだねー、よっしゃさとる、燃えてきた」

「じゃあ撫子、明日お揃いの甚平買いに行こ?浴衣だと俺女装過ぎるし、甚平なら可愛いのでお揃しても変じゃないしさ」

「そだね、でも今更さとるが女装過ぎるとかゆうと可笑しい(笑)」

「洋服と違って浴衣って気合い入りまくりじゃん」

「違うの?」

「違う。」

 唇を尖らせて真面目顔で言うさとる♥



 ――だから。


「撫子は小豆色じゃない?」

「そうか?」


 浴衣コーナーの脇にある甚平コーナーで、今日は(もう17週でシャツを被せばギリお腹目立たない?もう少しで愛用のデニムを履けなくなるから)イケメン彼氏つまりダメージデニムに男物シャツのあたしとフワフワピンクの彼女のさとるが互いに甚平を選び合いっこ♪


「俺にどれ着せたい?」

 勝ち気な笑顔で見上げてくるさとる♥

「んーと…おっ、これ、くるみ善哉(ぜんざい)色の!ほら」

 あてがってあげるとフフンという顔で笑み、

「モデルがいいから何でも着こなすけどな。」

「自分でゆう?(笑)

でもホント似合うぜさとる」




 22日(18週目♥)足立の花火で甚平デビュー!

 4年ぶりの開催らしくて賑わう人達皆嬉しそう。


 撫子は神木にして貰って女の子ヘアメで参戦♥

 可愛くメイクして、前髪七三でヘアピンでとめて、後ろ頭は2つに緩く結って逆毛(さかげ)を少しだけ作って。ピンクネイルもして貰ったの。


 始まった花火。

「ちょっとトイレ行ってくるね」

 そう言って撫子は別れて、ちょっと並んだけど戻るとさとるはいなくて。


(さとるもかな?)


 暫し1人で観覧。音楽とざわめきに耳はゆだねられて…


 ――「あっナデシコだー」

「でもナデシコが女の子の格好してるとなんかオカマみたい」

「ウケる、女って分かったらもういいのかよー」

「そんなんじゃないケドー」

 …キャハハッ


 悪気は無いんだろうけど。


 ドクン(あたし…)

 ヒュ~~~…パン…パパン…ドン…ヒュ~…

「…っ…」


 俯いちゃう撫子。

(あたし沢山の人に可愛いって言われたりしていい気になってたの?

少なくともあのコにとってはあたしは男で、オカマなんだ…――)


 さとるも見つからない。

「…っく、うぇぇ」


 悲しくなって涙がこぼれる。ポロポロ。恥ずかしいから止めなきゃないのに。


「ふぇぇ。さとるどこぉ?」

 パン…パパン…花火は綺麗なのに。あたしは1人ぼっち!

「さとるぅ…っ」


 ぐしぐし。涙をぬぐうけど止まらなくて。

 通ってく人達に見られても。


「撫子!」

 トン。背中に優しく触れられて

「!」

 振り向くとさとるが!

「!さとるぅっいなくなっちゃヤダッ」

 ふえーん。

「どうしたの?」


(人が見てるからとかじゃなく心配してくれるんだ)

 少しホッとして

「あたし、オカマみたいって…」

「!誰かにゆわれたの?」

 プルプルッ。

「違うの、きっと冗談言い合ってたの」

「通りすがりか…」

 コクッ。ぐしぐし。

 神木は困り顔で微笑んで撫子の頬をそっとなぜた。


「ごめんねいなくなってて。わたあめ買いに行ってたんだ。でもその間にそんな事あったなんて、ほんとにごめん」

「わたあめ?」

 撫子の目がパチッ!ピョンと顔を上げた。

 神木は

「クス、それで機嫌直ったの?」

 撫子はエヘヘ。

「うん♥大丈夫こんなの大した事じゃないもん//わたあめありがとう♥」


 さとるが差し出した白いフワフワに、わーい♥パク!もしょもしょ

「?さとるは食べないの?一緒に食べるんでしょ?」

 キョトン。

 神木は目を和らげて笑んだ。

「ん。撫子、俺お前にただ笑顔になってほしくて…撫子の笑顔が見たくて、」

「さとるがいてくれるならあたしいつでも幸せ♥」

 ニコッ!

「!…ん、俺もそうあれるように頑張る。」

 少し潤んだ瞳が花火の光できらめいた。

 パク。

 食べてフッと困ったような顔で笑って

「うんめ(笑)」

 猫みたいな顔で口の周りを舐めるの。


「撫子アイメイク涙で目茶苦茶、ちょっと待っててハンカチ濡らしてくるから」



 今度はすぐ駆け戻ってきて、

「ほら。」

「うんありがと」

 エヘヘ。



 ヒュ~~パンパン…ドーン!バチバチ…ヒュ~…

 撫子は笑いかける

「さとる、まだまだ花火大会は続くもんね?♥♪」

「ん。マジで全制覇すっから。」

「やったぁ♥」

 パンパパンパンパン

「ねぇさとる、」

「?」

 ドーン!

「――…」

「え?聞こえない、もっかい」

「あのね、」

 ドーン!

「――…」

「聞こえないし、」

 プッ、あははっ。

 2回も花火に消されて2人で笑っちゃう。


「もーなんてったの…」

 ムゥとするさとるが可愛い♥

「あのね、――“さとるがあたしの笑顔が好きならさとるの為にずっと笑顔でいる”」

「撫子…」

 ドーン!

 今度はかき消されずに言えた!ニコ!

 さとるの瞳が潤んで輝いて眩しげに細められる。


 ――撫子、俺もお前にやられてるよ。でも毎回いちいちゆったら重いから


「やっぱ最高の女、」

 クイと顎をとられ、花火の光の中で唇が重なる――――




「は~良かったねさとる、25日も晴れてほしー」

「ん。」

 ハンドルを握るさとる♥

「エヘヘさとるカッコいいよ?」

「惚れ直して」

 勝ち気な物言い♥

「うん」

 撫子はスマホを開いてさっきの花火のSNSを見ると…

「!」

――足立の花火でナデシコが泣いてるの見たよ

――その時近くにいて見てましたがあれはどっかのJKが女の子ナデシコの事オカマみたいって言って笑ってって、それで泣いたんだと思う

――えーひどくない?

――妊娠中は情緒不安定になることもあるのでそれくらいの事でも泣いてしまったんではないでしょうか

――一般論で片付けようとしてる

――それくらいの事ゆうな


 波乱の予感!

(どうしよう、あたしが泣いたりしたから!)

「どした?撫子」

「うん、ちょっとさっきの事がSNSになってて」

「!注意して見て」

「うん…あっJKのコが返事した!“そのJKです、まさか聞こえてて泣いてしまうなんて思ってませんでした、本当にごめんなさい”だって。…」


 画面に集中した撫子をそっとしてハンドルに集中する神木。


――ナデシコに謝れ

――妊娠中なんだから気を遣ってあげなきゃ

(やばっ、JKが責められたら)


 撫子は自分も書き込んだ。

――ナデシコ本人です。こちらこそ泣いてしまいごめんなさい。今にして思えばこんな事なんだよね(笑)。こうゆうとこに名乗り出んのがどんくらい怖いか分かる。JKさんの優しさだと思うぜ。だからどうか誰も彼女を責めないでくれよな?


 次々コメントが重なる

――神対応!

――ナデシコさすがですやっぱりカッコいい!

・・・



「はぅ。良かったぁぁ」

「ん、解決したの?」

 車はアパートに着く。さとるの丁寧で上手な駐車♥

「うん、ほら」

 渡して見せる撫子。

 サイドブレーキを引いて神木がスマホを読み、フ、と破顔した。

 そしてハー、としてハンドルにかけてた手に頭をコツンとした。

 頬を染めてチラ、とこっちを見て、

「撫子カッコいい」

 撫子はエヘ

「だってJKが責められたらあたしもヤだもん//」

 さとるの目がチカリと光って

「もう、どんだけ好きにならせんだよ。

しかもそれが他の奴に向けられたもんだなんて…俺妬くよ?」

 ドキン。

 撫子はこうゆう時に次くるさとるの行動のパターンで察しキュウッとなる。

 起き上がってクイと頬に手が当てられた。


「マジで撫子のこと誰の目にも触れないトコに連れ去って隠しちまいたいと思った。独り占めしたい…」

「さとる、」

 カア。撫子は目をとじた。


 でも

「…?」

 何の感触も降ってこない。

 目を開けるとドキドキしたのに何もしないで見つめてるままのさとる。

「クスッ何期待してんの。でもその顔も凄くいいぜ」

「!意地悪」

 クイ、ちゅ!

「!」


 ――――――ちゅぱ…さとるの親指が撫子の唇をなぞる。

「――可愛い撫子。」

「!さとる…」

 ふにゃ。その言葉と瞳はあたしを捕らえてもう離さないの。


「今この時は俺だけの撫子。誰が何言ったって関係ねェよ、愛してる可愛い。」


 暗闇で輝くさとるの瞳。なんかちょっぴり重い気もするけど嬉しい!

(愛されてる実感がするぅ)

 脳内アバターで喜びのジタバタして、撫子はエヘヘ♥


「うん、さとるあなたの愛でもっともっとあたしを可愛くして?」

「ん、俺の魔法の媚薬で誰より可愛くしてやるよ――」


 シートが倒されて再度キスが始まる。


(あ、唇の横少しだけ綿飴の味がする♥)


 それはとてもとても甘くて――――





挿絵(By みてみん)

最後におまけでつけた撫子甚平のイラ、神木と2人で笑顔の方が良かったかな・・かく前はこの完成イライメージしか無かったけど、みてみん投稿してから思っちゃった。まあ美人に書けたから良かった。

小豆色は持ってないから赤と茶の重ねぬりです。

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