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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
I love you
80/195

80.新しい花の芽吹きは

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 エキリリハウスのマンションの駐車場隅で、皆で集まってニャンニャンの追悼花火をした。

 ニャンニャンが命がけで守った仔猫は坂上さんが貰っていってくれて。

 手持ち花火10連を皆で見上げて、すごく綺麗で切なくて―――――――




 ――5月3日の恵比寿liquid roomは、元々“カミキのdarkにおける復活ライブ”だった。

 それが僅か3週間半で、ナデシコの抱かれたい男No.1と誘拐という大事件、からのdark事務所退所、Pの家の事情での脱退という電撃発表が立て続けに起こり、SNSはもうずっと大騒ぎっぱなし!


 中でも1部だが“エキリリのニャンニャンがナデシコと仲良かったから可哀想”というエールも沸いており撫子は見ながら胸を熱く燃やしていた。


 「じゃあPちゃんの後任は誰」の議論も盛り上がっており、「募集するの?」や「angel bloodのヘルさんがサポートなる説」「マヤ説」「意外とピンキーの恋も有力?説」が飛び交っている。


 だがまだ発表してないが先週ピンキーの男3人を呼び出し、

「恋、俺の代わりにdarkに入ってくれへんか?」

 Pに打診されたピンキーのベースの恋は真剣な顔でコク!


「よかった、俺も薄々こーなる展開読んでたんだよね、だからホントに誘われてよかった」


 1週間前キキから

〈あたしPと結婚して和歌山いくからもうピンキーのリーダー兼ボーカルはできなくなった〉

 と通達がきててピンキーは今ある予定を終えたら解散で3人は解雇決定してたのだ。


 神木も横から付け足す

「あとリュージもサポートやめないでこのままdarkの2本目のギターになって欲しい」

「!えーんか?ほな喜んでやったるわ!」


 新しい人事に沸く場で綾女は1人暗い顔になり隅にはけようとした、その腕をクラがとる。


「!」

「綾女、最後んなったけどお前もだよ。新しくdarkのドラムやってくれ」

「えっ!?」


 1番驚いたのは綾女自身。


「クラがいるじゃん!」


 クラはフ、として

「俺はエキリリに移る」

「「!」」


 死んだニャンニャンはドラム。


「俺からも頼む。」

「俺も!」

 神木と撫子にも後押しされ涙ぐむ綾女


「…って俺あんな事したしこれでもう終わりだと思ってた、ありがとう…っ」


「綾女」

 撫子がスッと見つめる

「でけー失敗だけどな、これからで取り戻しな!」


 撫子が綾女の肩をつかみ最強のスマイルを向けると


「そだぞ綾女!」

「また頑張ろーぜ!?」

「皆再就職決まって良かったー!」

 今日は綾女団子になる!

 でも


「そーいやdarkのリーダーはどうなるの?リーダーはクラじゃん」


 恋の問いにクラは

「Darkの新しいリーダーは神木だよ」

「「!」」

 注目を浴び頬がピンク色になる神木。瞳をチカリと光らせ唇を尖らせて頷く。


「っしゃあ!頑張ろーな神木!」

「宜しくな!」

 今度は神木団子――――


 撫子はアンニュイに前髪を揺らして見つめる。

 クラが脱退を切り出した時、正直凄く怖かった。

 darkはもう終わってしまうんじゃないかって――

 でも違うの。

 あたしとさとるは残ってる。絶対続ける。その気持ちがあれば大丈夫なの。

(そうだよね?ニャンニャン)

 あたし達はまだ頑張るからね――



 ピンキーはいわば“やんちゃ系”だ。現状荒削りでもその疾走感と4人息の合ったはっちゃけぶりで突っ走ってきた。


 クラPとはタイプが違うし、クラPは既にかなり巧くなっている。


 綾女と恋に新リーダー神木から演奏技術のレベルアップが要求された!

 神木の訓示⬇

〈タイプが違うのはそのままでいいからもっと上手くなれ。死ぬ気でな。〉



「だめだ、Pみたく出来ねぇよぉ!ピンキーより売れてるdarkになれて嬉しかったけど俺じゃ駄目なのかな!?」

 悔し涙の恋にPは

「俺の勝手から出た問題やから俺がここを去る前にちゃんと責任持って恋を指導したるで!どこが引っ掛かんねん」

「うぅっP(泣)」

・・・


「恋、俺らも今まで隠してたけど実はどんどんデカなるdarkの看板に負けないよーに必死で練習して上達したんやで。せやから恋もできる」

「うわPが初めてカッコ良く見えた」

「何やのそれ!?俺は元からカッコええわ!」

 ピーピー



 3日のライブが終わればすぐPは和歌山へ発つ。

 Pはベーシストとしてのラスト4日間を自身の練習と恋の指導に燃やし尽くした。



 そして今日は3日!!

“お帰りカミキ&サヨナラPちゃん”―――

 2人の勇姿を観に満員の恵比寿liquid room!!


「カミキーっ」

「Pちゃーん」

 まだ暗いステージに4人が出ていくと飛んでくる呼び声。

 配置につき、バッとライトがつく。

 撫子がマイクに

「オーケーお前らサンキュな。じゃあこれから盛り上がってくぜ!?」

 キャーッ

「聴いてくれ“make it loud”――」

♪残像 ひび割れたあの花のように…美しく散ってみたいね…


誰かがそこで泣いてる気がして…君が見た空を探して…いたの…


残像 失った過去に咲いた…一輪の…花のまま眠れ――

 すぐ続けて2曲目にヒットシングル「トワ」

♪――こんなはずじゃない 誰しもが…言いながら魂は…

囚われて 無惨なまで…もがく程に堕ちて…ゆ…く

何も壊せなかった2人の愛が今はそばにいない

瞼に焼き付けた記憶遥かなる時の中で

トワに生きて君を守りたいよ――


枯れ果てた声がまだ出るなら

それは君の為…

淡く昇る炎…生きたまま焼かれて…――


 最後の撫子のマイクに口付けてのイケボ囁きで場内総キャアーーー!!

 Pも神木も美しくかつキレキレのプレイで魅せ、のっけから対面で対決!

 華麗なターンで左右に分かれ、また魅せる!


 頭を上下して髪をばらけさせてからの撫子のMC

「皆さんこんばんわ…皆知ってる通りPは今夜が最後だ、この4人のdarkはこれで終わりになるけど、皆で温かく送ってくれよ?」

 Pが大きく手を振りベースを上げ、客席も沢山手が上がり拍手が起こる。

 撫子がPにマイクを渡す

「えー、なんや(笑)精一杯カッコつけるから俺を目に焼き付けてな!愛してるで!」

 キャーッ!

 4人でアイコンタクトして再開!


 数曲やって2個目のMCで撫子がアンニュイにマイクスタンドをつかみ語りだす。

 ちょっと笑って、


「これ動画残すから言うけど――実はちょっと前カミキは事故に遭って記憶をなくしてました…

目覚めたら俺の事覚えてなくて当然恋人だった事も分からなくて…

それでもまた俺を好きになってくれて…

やっと記憶が戻ったけど、それは凄く奇跡な事なんだって…

なんかもう、さとるが愛しくて愛しくて仕方ねぇんだ…

前よりもっと愛しくて、たまらねー位好きって再度自覚して…

今ある日常が突然壊れる事があるって分かった、だから………」


 撫子は深くまばたきし、強い優しい目線で客席を見、


「俺はこれからもさとるを離さない。1秒も無駄にしねぇで愛し抜く。

みんな応援してくれよ?俺達の恋が成就するように。エヘヘ」


 はにかむ。客席ではナデシコファンの女の子達が何人も涙ぐんでいる。

 撫子が優しく笑って言う

「祈るぜ?みんなも今大切な人、物、事がずっと失われないこと…」


 さとるの他にもPの事、ニャンニャンの事…本当にそう強く思うの。


「頑張って」

 泣きそうな女の子の声がした。撫子は声の方にwinkし

「あんがと。愛してるぜ?じゃあ聴いてくれ次は――俺とさとる同棲してんだけど、まだ付き合う前、さとるが押入で寝てた頃に作った曲です」

 そう言って曲が始まるとキャアッ!黄色い悲鳴!


♪いつにない雨模様――Ah 愛しくて…

愛しくて愛しくて愛しくて…

Ah 眠れない…眠れない眠れない眠れない…

(※曲名「琥珀の空に虹がかかり」)

 リズミカルに踊っていくベース、魅せてくる回転ビッグジャンプ。

 掛け合って、跳ねて、場内一体になる笑顔!


 こうして無事カミキは華麗に復活しPは有終の美をカッコ良くキメまくって終えた。


「この後物販とこで握手するで待っとるから来てな!♪」

 キャアッ!


 Pは握手やサインをしまくりながら

「皆さん俺…っ、今まで皆様にキャーキャーゆわれてまさにこの世の春やってん!

一生忘れんわ、キラキラのライトもその熱も、皆様の熱も、忘れへんからな、うっ」


 むせび泣いちゃったPちゃんは一生懸命笑顔でファンとの撮影をしました♥

「みんなよっちゃん来てもエエで♪」

 と宣伝しながら――――


 楽屋に戻ってモニターを見ながら待っていたピンキー(次期メンバー)と円陣!

「こっからまた上めざすぞ!」

「「オー!」」


 楽屋に上月兄弟も来てくれて。話し途中に

「うっ!?」

 口を押さえてトイレに駆け込む撫子。

「――!」

 残された面々の目が大きくなった。


「ごほっごほっ、おぇっ…」


 吐いてしまい、よろめきつつ楽屋に戻ると…


 真剣な顔の面々に迎えられる。


「撫子、それ妊娠ちゃうんか」

「えっ」

「お前らゴムしてないだろ、ついにデキちまったんじゃねーの?」

 カアア

「そ、それは…っ」

「もしそうなら今後撫子に無理はさせられないよね」

「うん、何かあったら大変だもんな」

「やだな、まさか」

 クラが

「撫子、まさかと思っても検査してみな?今日はもう帰っていいから」



 皆に帰らされて、検査してみると…


 陽性。検査キットを持つ手が震えた。


(そんな、じゃあ今このお腹の中にさとるの子供がいるの――!?)


 カチャ…


「撫子どう?」

「うん…」


 見せると。


 神木はじっと受けとって見つめて。


 ぎゅ、抱きしめてくれる。


「ごめんさとる、」

「どうして謝るの!」

「だってみんなのdarkが、それにさとるの曲で成功してあげるって夢が」

 涙をこぼして震える撫子。

「撫子!…大丈夫あいつらなら待っててくれる、俺の事も気にすんな、それよりありがとう撫子…こんな嬉しい事って無いよ…」




 新メンバーでのdark会議。


「でもどうすんのや」

「Darkは止まらない…」

 神木の声に皆が神木を見る。

 神木はスッと強い目でメンバー達を見渡した。


「撫子不在の間は俺が歌う。それでライブもこなす」


 リュージがパンッと膝を叩いて

「ヨッシャ、んでメジャー行きは撫子が復活してからやな!」

「じゃあその間神木を支えるぜ!」

「撫子安心して休んでいいよ…っ(ファサ)、darkは俺らが守るから♥」

 去るクラPキキは頷き合って拍手。

 キキが

「撫子産んだら胎盤頂戴」

 リュージが回転突っ込み

「アホ!ステーキにすんな!」

「グッヘッヘしないわよ、生で」

「アカンて」

「きっと牛より旨いわ撫子は至上の肉なんだから」

「アカンちゅーねんーっ!」

 ※キキはkannivalism。



 マネの佐伯にはもう隠せないので協力して貰う。

 「ぶっ!?」とむせて驚いていたが監督には上手く言って映画撮影のナデシコの残りのシーンは産後に撮影するように調整して貰った。

 なんでも「ストレスと疲労が原因で、来春頃まで休養が必要と診断された」という嘘を…


 映画は来夏公開予定。ギリギリです。ごめんなさい監督。


 Dark公式には神木が語った動画をアップ。

『撫子は体調を崩したのでしばらく表には出れなくなりました、でも今度は俺がそばでずっと撫子を支えます。

だから待ってて下さい、必ず帰ってくるので』


 真剣な顔で言ったこの『今度は俺が』発言で神木の株は爆上がり!


 と同時に撫子を心配するファンの声が吹き荒れる!

――適応障害!?

――戻ってこれるの?

――ナデシコいなくならないで


(うぅ心が痛い…)


 でも1年後に戻るとは言わない。女説に続き妊娠説が出たらヤバイから!


「あいつら(サザンと叶音)にいっぱい心配されちゃったし他の共演者さん達にも迷惑かけちゃう、なんか心が切ないよぅぅ」

 ぎゅ

「ん。仕方ないよ。今はそんな事気にしないで元気な赤ちゃん産むことだけ考えて?」

「!うん」

 カア

 さとるが抱きしめたままス、と首を傾けて。

 ちゅ…


 Hできなくなった分いっぱい抱きしめてキスしてくれるさとる。


 トサ。

 優しく畳に寝かされ、全身でぎゅっとして優しくピンクのキスで包んでくれる。


 そ、とさとるの片手が子宮の上をなぜ。

 キュン

「んっ…好き、」

「俺も」

 ちゅ――――――





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