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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
love me
7/155

7.咲きそむる花の匂う如くに

挿絵(By みてみん)


 翌日、首の歯形が消えなかったのでベルトチョーカーをつけてスーパーに出勤した撫子。


(ん、ギリギリ隠れるかな)



「あらぁおしゃれねぇ」

「そーゆうの見るとウキウキしちゃうわ」


 パートのおばちゃん達に褒められてつい、


「ゆうべ友達に噛まれちゃって」

 と言うと。


「あらま!やだわそんな事みなまで言わないで!」

 喜ぶおばちゃん達。


「えっ、いや違いますってば!あいつは大事な女の子友達で」

(ハッしまったあたしは男!)

「いいわねぇ大事な友達」

 ほほえましく見つめられてしまう。

「違いますってば!」

 全く信じて貰えず。


(はぁ、ゆうべそんなコトした事になってしまった)


 ちょっと恥ずかしかった撫子。


 夜はまたPが遊びにきた。

 神木がドアを開けて、

「よっきたで」

 パタン。

「あーっ神木も閉めんといてー!」


 そんなフリで部屋に上がったP。

「焼き鳥食おうな」

 笑顔で言って、スウェットの撫子の首を見るなり

「神木がつけたの!?」

 驚愕。

「お前らそそそんなコト!?」

「違うよキキだよ」

 撫子が頬を僅かに染めて訂正すると、

「何ですと!?神木は何してたんだよ!」

 呆れ風に面倒そうに言う神木

「テレビ観てたけど。正座して見てたらおかしいだろ」

「いや止めろよ!じゃなきゃそのうち撫子が喰われちまうわー!!」

「実際に喰う訳ねぇよ!そうゆう遊びだよ!」

 ぽぽ、と頬を染める撫子。

 神木は半目で焼き鳥を袋からガサガサと出す。

「焼き鳥食うんじゃなかったの…」

 コロッと切り替えるP

「神木は焼き鳥で何が好きなん?」

 悪意0の笑顔。

「…ネギマ。」

「撫子は?」

「俺は肉だけの方」

「そーかそーか。んなら次から半々で持ってくるわ」

 なぜか嬉しそうに言うP。

 コク、と頷く神木。僅かに尖らせた唇の先が僅かに数ミリあいている。

(あ、さとるが嬉しい時の顔だ)

「そーかそーか嬉しいんやな神木」

 ポンポンと神木の頭を優しくやって、

「いただきまーす」

 と串をパクッとくわえた。


 ハグハグ食いながら聞く撫子

「なんでさとるが喜んでるって分かったの?」

「そりゃあ、俺が人をよく観察する男だからよ。何でもお見通しや」

「嘘。」

 ぷす、と神木がPに食べ終えた串を軽く刺した。

「あたっ、何すんの神木ィ」

「なんで焼き鳥持ってくんの?」

「え?それは、撫子を餌付けすんのに決まってるやろ」

「なっ!?」

「ついでに神木も喜んでくれるならなって」

「…あっそ」

 ポツ、と言って神木は視線を落とし膝を抱き寄せた。

「あっ落ち込むなよ神木、やっぱり神木も俺に迫って欲しいんか?」

 神木は無言でまたぷす、とPを刺した。

「いたた、やめてーアハハ、アハハ」

 なぜか嬉しそうなP…



 Pは本当に2、3日おきに焼き鳥を持ってきた!

 呑気に喜んでる撫子。来ないなら来ないで撫子に電話かメール。


 神木は呆れ風に言った。

「よくもまあ続くよな」

「ん?だって撫子落としたいしー」

「バカ、落ちねーよ」

 小さく赤面の撫子。神木は

「…だって悪いし。」

 唇を尖らせた。

 それを見た撫子は

「まあ、なんも返さねーで悪いな…」

 少しバツが悪そうな顔になる。

「撫子が俺と付き合ってくれたらチャラや♪」

 ずいっと迫るP。

「ひああ、ば、バカ」

「アハハ顔赤い」

 ぐいっと神木がPを引き離し、

「何返したらいいかな…」

 伏し目で口に拳を当てた。

 悪意0のPは

「んーそだな、あっ。撫子が作った料理食いたい」

「えっそれでいいの?」

「いきなり体とか要求しないって(笑)それともそれでいいの?」

「ちげーよっデートとか、ゆうかと思って」

 最後、ゴニョついて恥ずかしげにした撫子。を見て神木は

「…」

 ペタンと座ってコーヒーを飲んだ。

「で?何が食いたいんだよ」

 撫子はわざとちょっと睨むふり。

 Pは嬉しそうに

「じゃあチャーハンで!」

「仕方ねえなあ」

 流し台に立っていった撫子。



「おらっ出来たから食えっ」

「おおーぅ撫子の料理ィ!」

 Pは超喜んで受け取り、食べて、

「カリカリベーコン?具材も米も香ばしくてうまいなぁ」

「そうかな、ちょっと焦げちゃったと思うんだけど」

 申し訳なさげにする撫子にPは超屈託ない笑顔。

「アハハ焦げね。けど撫子が作った料理なら何でも特別やから美味しいよ」

 カアア。

「そ…お前恥ずかしいよ」

「ほんまや。クス、照れた顔もええな」

「バカ」

 そして頬杖してた神木にPは

「なあなんでこれ上手く出来なかったの?」

「…多分…油が少ないのともたもたし過ぎたせい。」

「そっか、じゃあ次は直すね」

「また俺に食わしてー」

「はぁ!?ったく仕方ねーな、焼き鳥持ってこいよ!?」

「うん♪」

 神木はく、と小さく唇を噛んだ。気づかれないくらい小さく…





「え?チャーハン?」

「うん。さとるが作るとこよく観察して次はPにちゃんとしたやつ食わせてやんないと」

 笑顔で言う撫子。神木は小さく息をつく。だから今夜はチャーハン。



「やっぱり美味しい♥」

「…ちゃんと覚えたの?」

「うん。多分オッケ」

 親指を立ててニカッとする撫子。

「ならいいけど」

 澄まして神木はモグモグした。




(――――背がもっと伸びればいいのに、って思ってた…撫子と同じくらいにはなれたらって…)

 Pは撫子と同じくらい。


「よっ今日はまたチャーハン作ってくれるんやろ?」

 笑顔で上がり込むP。の腕を半目でギュム、と小さくつねる神木。

「いてて、神木ィ妬かんといてっ」

 嬉しそうなP。Pを見上げて半目でフンッとする神木。

(えっさとるが焼き餅?)

 ドキッとするも隠そうと、

「じゃあPは待ってろ!リベンジチャーハンだ!」

 撫子はパタパタと流し台に。


 部屋の神木とPは。

「軽男。チャラ男。」

 ツン!ツン!と人さし指でPを突く神木。

「アハハ、やめてっ、でももっとしてっ」

 嬉しそうに笑いまくるP。


(どうしよさとるが焼き餅妬いてる!?それってあたしをPに取られたくないって事!?)

 ボボボッ。頬が染まる。

(やだ嬉しい!どうしよう!)



 ドキドキハイテンションで作ったチャーハンは、やっぱりちょっと焦げた。


「Pごめん、またちょっと焦げちゃった」

 ちょっぴりしゅんとして言うと、

「ふむ、だけど前より上手やで」

 笑顔でそう言って。褒めながら食べてくれるから。

「さとるが作るとこ観察したんだ」

 少し照れて言う撫子。

「うまい!よく頑張ったなぁ偉いわ!」

「褒め過ぎ!逆に怪しくなるよっ」


 そんなじゃれるような二人を頬杖でクールに見る神木…


(今の撫子にとって俺って何?)







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