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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
love me
6/155

6.花の秘め事は愛しかりて

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 撫子はただ今ジョギング中。週2.3回近所を走っている。


(さとるがイケメンのあたしが好きって言ってたんだから、もっと男っぽく!あともっと歌もうまく!)


 帰ったら次は、うっすら割れた腹筋を維持する為に腹筋だ。ついでに腕立て伏せも。


 すると前方にキョロキョロしている可愛いらしい栗毛緑エクステツインテールを発見。


「キキ!」


 手を振り駆け寄ると


「撫子!偶然ね!」

 嬉しそうに飛びついてきた。


「なんでこんなとこ歩いてんの?」

 今は夜9時前。引き剥がして聞くと

「たまたま偶然よ。Pにたまたま撫子達のアパートの場所聞いたから近くを通るついでに探してみてただけ。

ちょっとカニバって迫ったらすぐ教えてくれたわ」

「ああ…そうなの」

(どんな迫り方されたんだ?)

 若干引きつつ

「じゃあ一緒に帰る?」

 キキは大事な女の子友達なので誘う。

「ええ行くわっ」



 部屋を軽く物色し終わったキキがココアを飲み始めた時、撫子に宅急便がきた。


「母さんからだ、ピーナツ味噌送るって言ってたからそれだ」

「何それ」

「キキも食うか?うめェぞ?」

 笑顔でテープをべりっ。

「―――!」

 開けてまずあったのは、ブ・ラ・ジャー…

 神木と撫子に緊張が走る!

 咄嗟に撫子がついた嘘は。


「―――オ…オレ…実は女物の下着身に付ける趣味があって…」


 雷に打たれたようにショックな顔のキキ

「そんな…っ」

(好きな相手が男ってことは当然そういう趣味もあるって気づくべきだったわ…!)

 ぷっと笑った神木

「…バレてやんの。」

 キキはプルプルして言った

「だから神木クンは安心して同棲してたのね?」

 ホッとしてコク、と頷く神木。

(危なかった…っ)

 撫子も床に手をついてプルプルしてた。


 撫子はほんとに全く胸が無いまっ平らで、市販品ではどんなにAカップでもカップが余ってしまい合わない為下着メーカーのサンプル作りの仕事をしている叔母が、男装の似合う撫子用にアウターに響かない、ぶっちゃけ乳首さえ分からなく出来ればいいブラジャーを個人的に作って送ってくれるのだ。


「見たい」

「見せねぇよ!」

 撫子のシャツの裾をめくろうとするキキの両手を押さえる撫子。キキはキュンとなった。

 その隙に撫子はキキを抱きしめて動きを封じ込め頭に顎を乗せてやる。


「撫子…神木クンがいるけど、いいわよ…」

 うっとりして言うキキ。

「バーカ、そんな事しねーよ。ただ、俺の服をめくるのだけはするな」

 囁いてなでてやる。

 と、神木が自分も撫子の横にちょこんと座り撫子に肩と頭をくっつけた。


 ドキンと心臓が高鳴る撫子

(えっ何!?さとるがこんな事するの初めて)

 でも今はキキの前なのでドキドキしつつもイケメンを演じる。

「何?神木もなでて欲しいの?」

 コク…と頷いて視線を斜め下に落とす神木。


(かっ、可愛いー!!)


 だがイケメンなので、

「クス、焼き餅?可愛いじゃん」

 神木も抱き寄せ両手に花の撫子。内心は

(ヤバいもおどうしよう!!さとるが密着してるー!!)

 心臓バクバク。


「ハーレム…」

 神木がポソッと言いキキも

「そうね。どっちが好きなの?」

 可愛い二人に超至近距離で見上げられて

「…っ」

 カアアア赤面で腕を放して背を向ける撫子。

 キキがポンッとその背中を叩いた。

「選べないわよねぇ、両方可愛いから」

「…ピーナツ味噌食うんじゃないの?」

 神木が言って、キキに食べさせてあげました。

 すると

「おいしー!

ねえ撫子、これ撫子の指につけたの食べてみたい」

「え」

 神木を見ると小さく笑って横を向いた。

「~ちょっとだけだからな」

 なのでちょびっと人さし指につけて差し出すと。

 ガブゥ!

「ひいっ!」

 キキはkannivalism。結構きつめに噛まれた。

 でも困る程痛くなく、絶妙な加減で。

 ちゅぱ…


(やっ、ヤバい!変な趣味開発しそう!気持ちいい!)


 ガブガブ。歯と舌の温かな感触。


「は~おいしかった。ありがと」


 恍惚として言う。

「手洗え」

 神木が笑いを隠しながら言うけど目が笑ってる。


 撫子が手を洗ってくると神木が箱に同梱してた手紙を渡してきた。

「来月お母さんくるってよ」

「ライブ見にきてくれるって。頑張ろーね!」

「えマジ?」


 クールな動作で手紙を読むが、

(お母さん久しぶり、早く会いたい!)


 内心を見透かしたような神木が笑む。

 ドキ…

「東京案内してやろーぜ」

「うん、そだね」


 ところがその後もkannivalism全開なキキ。

「ハアハア、ねえ撫子、ついでにもっと撫子を食べていいかなぁ?」

「え…っ」

 引く撫子。

「お願いお願いこんなの家じゃなきゃ出来ないでしょ?」

 可愛くすがられて。

「どうやって食べるの?」

 冷静な神木。

「ケチャップをつけて。普通は蜂蜜やチョコシロップでしょうけどあたしはケチャップよ!

ねえ撫子お願い」

 猫が足をかけて鼻を近づけてくるみたいに。

「迫り方はセクシーなのに…っ」


 という訳で。

「ぐへへ」

 キキはまくった撫子の腕にケチャップをつけて…ガブゥ!撫子を押し倒してケチャップをガブガブペロペロしまくるキキ。

「ん…っ、やあ…」

(気持ちい…)

 鼓動と呼吸を乱される撫子。

 キキは腕をしゃぶり尽くすと

「えい」

 おいケチャップを撫子の首に!ガブゥ!

「や…あ…やめっ…」

 赤面の撫子。

「ぐへへ、撫子綺麗だよ」

 やめてくれないキキ。神木は我関せずテレビを観てる。


 ペロ…舐めつくしたのか、キキがようやく撫子を解放した。撫子はぐったり。

「神木クンも食べてあげようか?今日はお腹一杯だから次きた時」

「いや俺はいらない。」

 撫子は起き上がって髪と服を直しながら、何気なく言った。

「もうお前、友達とかとはどうしてんだよ」

 キキが、止まった。

 ハッとする撫子と神木。

「…友達なんかいなかったわ」

 キキがポツリと言った。

「…ごめん」

「ううん、…昔ばなししてあげる」

 神木がテレビを消した。

 キキが語る。

「あたし、物心ついた時からkannivalismだったの…」


 曰く、

 拾ったコウモリの干からびた死骸を乾燥剤と瓶に入れて部屋に飾ってて、幼稚園の時転んですりむいた友達の血を舐めて人肉に傾倒し、そもそも悪魔的なデザインの図柄を小さい時から好きで、死骸瓶コレクションはモグラ、カエル、トカゲ、鳥の雛と増えて、初潮の頃同級生達に「生理の血を舐めさせて」と言って避けられるようになり、孤独になって読書三昧の結果、そっち系の本ばかり読みあさり益々悪魔主義に染まった。

 …という話だった。


「…なんもいえねえ。」

 神木が落ち着いて言った。

「だから東京で有名になってやろうと思ったのよ」

「なんでそうなるのか分かんねーけど何となく分かるよ」

 撫子も言ってやった。

「ありがと。

こっちでメンバー募集させて貰って、綾女(アヤメ)(レン)とリュージが連絡くれて、ラインでまず仲良くなって、あいつらはあたしのkannivalismを認めてくれる、あいつらはあたしの大事な仲間で家族だと思ってる。

ピンキーがあるからあたし頑張って生きてるの」


 コク、と頷く神木。撫子も

「キキ、これからは俺たちも家族だよ。ずっと…俺もキキを支えるよ。キキが好き」

 そう言ってキキを抱きしめてやった。

「ぐへへ撫子カッコいい」

 キキはパッと切り替えてとろけていた。


 今は10時半。なので神木が下北沢までニケツでキキを送ってやりました。

 その間に撫子は風呂でキキの歯形を眺めて…


(やられた…でも気持ち良かったな)

 ポッと頬を染めていた。そして…


(昨日はさとるの唇が鎖骨に当たるし、最近どうかしてるよね、でも…あれ本当に偶然だったのかな)


 歯形の残る指で自分の鎖骨を触れなぞり、ほ、と息をつく。


(ドキドキでどうかなりそう)


 湯に浸かってプクプク。でもこの湯も神木が入った後。


(偶然、わざと、わざと、偶然)

 ∞…


(聞いてみよう…かなっ)


 ちょっとテレビを観て、寝る前に勇気を出す。


「さとる、あのさ…昨日の電車で、あたしの鎖骨にさとるの唇が当たったのって、…わざと…かな?」

(キャアアア)


 ペタンコ座りできゅう、となる撫子。


「…は?偶然じゃない?覚えてないんだけど。」


 普通にそう言って神木は押入れに上がってしまった。


「お休み」


「お休み…」

(覚えてないんだ、くすん)


 しょぼんとして電気を消す撫子。

 だが5分後。


 スピースピー


 神木は半目で撫子の鼻息の音を聞いていた…




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