49.優しい雨が濡らす花は時に残酷なまでに惹き付けて香り
「さあ始まりましたね今夜も“dark night”!
皆さん間違えてる方いらっしゃるかと思いますが番組名“今夜もダークナイト”やのーて今夜も、“ダークナイト”やからなっ?」
「はい今の説明で分かったでしょうか、“ダークナイト”ってゆう番組ですよー」
「冥海先生っ俺を信用してー!」
「やかましい」
「(笑)ややこしいままなんだよPは」
「撫子もー!」
「因みにこいつピーピーうるさいからPちゃんです。」
「神木ィっ!(泣)」
「今日はツアー中で神奈川のホテルからお送りしてまーす」
YouTubeライブ配信のdark nightを観て、フッと笑みを零した真夜―――
彼女の中に身を沈め…
呼吸を鎮めながら彼女が首にしがみついていた腕をほどき潤んだ目で言った
「好きなの」
「愛してるよ」
「嘘、他に好きなコいるくせに」
上気した可愛い顔の恨み言に真夜は小さく綺麗にニコ、と笑んだ。
「今はお前だけのものじゃん」
「他のコと区別無いくせに悪い男…んっ」
ちゅ
「ちゃんと違うよ、味も匂いも感触も」
甘い耳への囁き。再び真夜の手が彼女の体をなぞる。
「んん」
嬉しそうにまた腕を絡めてくる彼女と…真夜は再度、彼女の中へ堕ちていった――――
帰り。
(違う女とばっかヤッて…
それで“好き”なんて言って、笑えるぜ…)
真夜は初台のアパートがある方の夜空を仰ぎ見て
(なのにやっぱりまた“会いたい”って強く思っちまう。情けないぜ…
けどこの想いを止められない、いつも撫子が俺の中にいる…他の女を抱いてる時も…俺の一番深い所に…
コロコロ変わる表情のなんも作為がねぇトコとか、可愛くて惹き付けられて抱きたくて離れらんねー…)
東京に戻り、撫子は張り切ってバイトへ。
店内では早速リリースしたばかりのdark orangeのピカピカのCDを鬼リピでかけてくれているしレジ後ろの壁には撫子が載ったカップルコーナーやCDジャケット、雑誌に載ったdarkのコピーが貼ってあり、応援されてる実感で張り切っちゃう。
そんな密かな穴場のスーパーにファンの女の子達が。
撫子に話しかけて嬉しそうにはしゃいで
「オススメとかあるんですかー?」
撫子も勿論嬉しいので笑顔対応
「んとね、あ。コレ(ジャガイモ)かな」
「じゃあジャガイモ買うー♥」
「クス、あんがと。今ならナデシコキスサービス付き」
ジャガを取ってキスして渡す!
キャアッ♥
倒れかかった女の子を友達のコが支えて
「オススメの料理法は何ですか♥」
「んー?そだな…」
ちょっと眉根を寄せるとまたキャアッ
(あ♥そぉだ)
先日神木と一緒に作ったばかりの。
「ビシソワーズとかどう?うめェぞ?」
キャアッ
「クックパッド見ます!」
「お料理詳しいんですねー♥」
キャアキャア
「(笑)てかさとるが作って教えてくれんだ」
アンニュイイケメンでエヘヘと頬をかくと。
「――え」
途端にひそひそ
「カミキのことだよね」
「えー嘘ーっやっぱり」
「あの、お2人の関係は?」
撫子はつい笑顔がはじけた。
爽やかイケメンオーラ放出で
「彼氏です」
ニコッ!
・・・
神木はTシャツ短パンで胡座でミニカップ麺をすする。
ピンポーン
撫子がドアを開けに向かう。
撫子はドアを開ける瞬間からもう完璧イケメンに変身するので、アンニュイクールガイで顔を出す。
ガチャン
「はい?」
「あっ」
若い巡査のイキイキとしていた表情が一気に落ち込んだ。
「あ――感謝状を届けに来ました。神木さとるさんは…」
「ああ、こないだの」
合点がいった撫子がニコッ。
ガガーン!ショックな顔になる巡査。
部屋を振り向いてイケボで呼ぶ撫子
「さとる、パンツの感謝状がきたよ」
「わかった」
トコトコと出てきてピョコ。撫子の腕の下から顔を出して
「ありがとうございます」
可愛く蠱惑の微笑!
カアッ、頬を染める巡査。撫子をチラと見て、
「あの、1つお伺いしますがあなたはさとるさんの?」
撫子はここぞとキメ
「彼氏です」
キラキラ笑顔ビーム!
白い八重歯がチラリ、見えない矢が巡査を突き刺した。
「そう…ですか…お幸せに…」
ヨロめいて巡査は帰っていった。
涙をふいた巡査のぼやき⬇
(生足とカップ麺の匂いが尊かった…)
夜、綾女恋が来たのでまずファイティングポーズで出迎えて威嚇してからお喋りしていて、神木がトイレに立った。
キラリーン!2人の目が光る。
ガバッと襲いかかる2人!
「えっ、ちょ、待っ!」
「キスしよ撫子!」
「やっやめろってば、ひあぁ」
(こんな短い隙に!?)
ジタバタ。
「今のうちに!」
「やだぁ!」
でもそこに神木がきて丁度恋が正面から肩に手をかけて迫ってる所
「っさとる、何でもないよっ」
赤面。
神木はギン!と恋を睨み!
ゆら…
「恋…撫子に手ェ出したら何だっけ?」
パキパキ
「まっまだ何もしてないです!」
パンパン!
「いたたたた!」
(恋、お前の犠牲忘れないぜ)
ハンカチを噛む綾女を
「おめーもだよ」
ッパン!
そこに、ピンポーン。
とりあえず逃げて撫子が出ると
「ダチのライブ観た帰りに、ね。撫子の顔見てこうと思って」
スイ、と顎クイ。
「っ!!わわ分かったからっ…上がって」
カアア。パタパタと部屋へ逃げる。
クスッと笑って真夜が部屋に入ると
「真夜にいだ!」
「遊んでーっ♪」
きゃっきゃと迎える綾女恋。
「今撫子が傷付けた数々のハートの話を聞いてたんだー♪」
「へー俺も聞いていい?」
・・・
「だって“彼氏です”って言えるのが嬉しくて」
クスクス
「しゃーない♪多分新規のファンだね。
時に真実は残酷に人を傷付けるよ…」
そう言って真夜はずい、と撫子に迫りサラリと下顎をなで
「撫子どう?今度マジで試してみない?」
「ヤダ!」
即反応する恋綾女
「ずっこ!ねえ撫子俺とは!?」
「俺もっ♥」
「やめんかいワレ」
2人を引き剥がす神木を見て真夜は手を引っ込めた袖を口に当ててクスクス
「(笑)撫子油断禁物」
(お前もな)
半目の神木。
「ねー真夜にいは何で撫子好きになったの?」
真夜は前髪を揺らしてニコ
「迫られるとすぐOKする女とは違うトコ。」
「いーな俺迫ってもすぐOKなんてして貰えねえよ」
頷く綾女。
11時前に綾女恋を帰らせ、自分は居残った真夜に神木が半目で問う
「何であんたは残ってんスか」
真夜はニッコリ
「だって俺と撫子もうほぼ兄弟だし」
ハァ、と小さく息をついて神木は風呂へ。
真夜は神木のギターをとって遊びだす。
何やら曲めいたものを奏でだしたので撫子はチョコンと真夜の隣に。
「あっ止めないで続けて、聴きたい」
瞳をキラキラさせて天然でねだる顔を見て。
(“可愛く見られたい”とか逆に“あたしなんか”とかそうゆーの全然ねんだよな)
真夜はフ、と笑み軽く出来てる部分を仮歌詞で小さく歌う。
♪――例えどんなに綺麗な星屑をもぎ取ってプレゼントしても…縛り付けるだけ?
…一点のシミも無い無垢な君に俺というシミをつけたいよ…
AhAh離さない…笑っても構わない…
星屑がリアルに堕ちてきたら…君と一緒に死ぬんだから…
死んでみせるから…
「プ、何それ(笑)」
「(笑)」
ちょっぴりの毒と半分ふざけた仮歌詞を抑えた音色と真夜の温かみある綺麗めな声でゆっくり優しく歌われ…
まだの部分をちょっと止まったり、たまに自分で笑いながら歌は続いて
(真夜の声ってあったかくて安心するから眠くなる…)
――コツン。
「…撫子?」
スー…無邪気な寝落ち。
(俺は催眠術か子守唄か?それも即効)
真夜はギターを脇に置き肩に乗った撫子の頭を見て
「…」
ス、と顔を近づけかけ…止めてただ頭をなでてやる。
聞き取れないけど撫子が何かムニャムニャ呟いた。
真夜はフッと笑みそして撫子の背中に腕を回して肩を支えて抱きしめ目を閉じて自分の頭を撫子の頭につけ―――フッと撫子が目を開ける。
「!ま、真夜」
慌てて離れようとしたのを真夜はぐ、と止めてその胸にかき抱かれ。
(ひゃあ!?)
カアア
神木より少し広い真夜の胸。こめかみにかかる真夜の息。微かなセブンスターライトの匂い。
(どうしよ…っ)
きゅう。ふるふる。
「撫子隙あり過ぎ」
「っ離して?」
ドキンドキン
見上げたら超至近距離で目が逸らせなくなる。
「何もしちゃダメだからね?」
「もうキスした」
「ひぁあ!?」
「嘘」
「~意地悪」
力が抜けた撫子をぐ、と真夜は更に抱きしめ熱い眼差しで流れるように撫子の指に指を絡め撫子を射抜く。
「…好きな女の体温もっと感じさせて」
ス、と首を傾けて顔が近づいて、魔法にかかったみたいに動けない撫子は鼻先を合わせられ
(どうしよ)
カアア
すると真夜が顔を離し、また見つめられ。
撫子はもう力が入らない。
「クスクス、撫子ってからかいがいあってマジ面白れー(笑)」
「~っ離せよ」
頑張ってねめつけ。
「もう少しだけこのまま」
肩に乗った真夜の顎が話すとくすぐったくてとろけてしまいそうになる。
「撫子俺に骨抜き?」
「違うもん」
「なら試す?」
「何でそーなるのっ」
「(笑)撫子愛してるよ」
「…っ…」
ふるふる
「愛してる」
(天然…お前のそうゆう所グチャグチャにしちまいたくなる)
想いと逆の微笑みを浮かべて
「ほんっと、からかいがいあるよ」
「バカ」
小さく言った撫子の声音に無理矢理でもキスしたい衝動にかられてこらえると、ポシッ。
お腹に猫パンチを食らった。
「いい加減離せってば!」
「(笑)はいよ」
ニコ、としてスルッと解放され、逃れて頬を染めたままプンプン頬を膨らます撫子。
「真夜からかい過ぎ!」
真夜は手を引っ込めた袖を口に当てて
「その顔面白れー(笑)」
クスクス笑い。
(ほら、やっぱり真夜は安心させてくれるよね)
ホッとして撫子はペタンと座り直す。
真夜は笑いながら
「だって撫子ってば5分で寝んだもん、俺は子守唄?」
「だって真夜の声安心するから気持ち良くて」
エヘヘ。
真夜が一瞬止まってニコ
「あっそ」
そこに神木が。
「さとる早いね」
「ん。誰かさんが気になって急いだ。何もなかった?」
「うん」
安心してる撫子の様子に神木はクールに
「そう」
濡れ髪を拭く。
「じゃあほれ撫子、一緒に入るか(笑)」
神木は真夜の頭をッパン。(※軽く)
真夜は笑い。
「あ神木、さっき新曲降りたっぽい」
「ふぅん?」
わざと半目で真夜の前に立つ神木にまたギターをとって、
「“スタークラッシュ”(仮題)」
――キスジャガを貰った女の子は、家に帰って丁寧にその皮を剥き、そして乾燥させて大事にしまった。
撫子が風呂から上がるともう真夜は帰った後で。
神木が不遜に目を眇めて
「ふざけた曲だった」
撫子は思い出してクスッ
「あれがちゃんと作ればカッコ良くなるんだから不思議(笑)」
キスで撫子の体をなぞっていく神木。
ポヨ、として気持ち良さそうにしてる撫子に
「撫子の体中を俺のキスで埋め尽くす」
最後にわざと脇腹の一番こちょがしい所に吸い付く神木。
「ゃっ(笑)…やめて、…っゃあんっ!」
甘い悲鳴に
「ん。」
神木がその細腕で撫子を組み伏せて押さえてくる。
見かけによらない力強さ。(※だって神木は♂)
すかした顔のままわざと感じる所をイジメてくる神木に悶える撫子
「もうっ!ゃあんっ!意地悪!」
「(笑)ごめん」
ようやくやめてくれ、くたりとなって涙目の撫子にフワリとピンクが覆い被さる。
「撫子…」
「さと…」
言葉は甘い口付けに奪われる。
「ん…」
息すらままならない、ピンク色の甘い甘い雨が降る――――
パンツの話は44話~47話をご覧下さい。
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