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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
love me
3/155

3.受難の時をへて尚花は気高く

挿絵(By みてみん)


 ライブまでの待ち時間、楽屋に撫子を残して外に行った冥海(クラ)と神木。

 撫子は5分で寝れる。そこにPがきた。


「あれ?なんや撫子だけか」


 スピースピー鼻息が鳴っている。


(二人きり…撫子は女…しかも爆睡中…しかし改めて見るとホント美人さん…ヤバイィ)


 ピタ、と張り付いて至近距離で寝顔を眺めるP。


 …クンドクンドクン…


(思えばこないだはせっかく風呂に一緒に入ったのに非常に勿体ない事したのでは…)


 ドキンドキン…

(寝てるし…いいよな)


 ゆっくり、Pが顔を近づけていく。

 あと1㎝で唇が触れそうになった時、ガチャ。ピンキーが入ってきた。


「あーっ!?P何してんだよ!」

「ホモ!」

 慌てるP

「何だとぅ!?俺はホモじゃねーわ!」

「ホモだ!撫子は倒錯系美人だけど男だろ!」

「だけど俺はホモじゃない!」

「何言ってんだ!」

「嘘つけ!」


 騒ぎに目を覚ます撫子。ポヨ、と皆を見た。


「だって今撫子にキスしようとしてたじゃねーか!」

「!?」

 ガバ!と起きた撫子、は弾みでソファから落ちた。

「いてっ」

「あ、撫子、Pが今お前にキスしよーとしてたんだぜ。丁度良く俺らが入ってこなかったらされてたぞ」

 カアアア赤面して縮み上がる撫子。そこに神木がきた。

「何の騒ぎ?」

「あのな今Pが…」

 神木が目を丸くした。

 が半目になり

「ホモ。」

「…っ~~~!もういいもん俺ホモだもんホモでいいもん!俺撫子好きだもん!」

 どよめくピンキー一同。開き直るP

「撫子、俺お前が男でも好きだからなっ」

「―――…っ!」

 咄嗟に返せない撫子。

 トン、と神木がソファを蹴り、神木と目が合う。半目で見下ろす神木の目を見て撫子は立て直す。

 アンニュイイケメンで首を斜めにしてPを見上げ

「ざけんなバーカ。減るもんじゃあねーけど…またやったら殴るからな」

 前髪かきあげるとPは鼻血ぶー。

(減らないならしたい!)

「興奮し過ぎ…」

 神木は呆れ風に言ってPに鼻栓をしてやった。そして神木はすぐスマホをいじり、Pにメールが入る。

⬇メール文

〈撫子に手ェ出すんじゃねえよ。バレたら殺す〉

 腕組みで椅子のPの前に立ち半目で見下ろす神木。Pはコクコク頷いた。

 神木もコク…と頷き、撫子の隣に足を投げ出して座る。

「お前も無防備なんとかしろ」

 半目で前を向いたまま言う神木に胸キュンの撫子

(心配してくれてる!嬉しい!)

 だが今は男なのでもたれてドカッと脚を組み

「不可抗力だった。次からマスクして寝る」

「そうしろ」

 それから神木は中華まんを割ると撫子に半分こしてモグモグしました。

(さとる可愛い♥それにあたしが今はまってるピザまん♥)

 ご機嫌で撫子がパクッとかぶりついた横から

「まあ撫子美人だから女であってほしくもなるけどな(笑)触ってみたら実は胸あるとか」

 とピンキーのリュージがおっぱいタッチ!!!

「キャアアア」

 反射的悲鳴。

「…っ」

 神木が立ち上がる。

「ま、本当にあったらだけど!アハハ」

 パパパと撫子の胸をなでて神木に正拳突きをくらう。神木は小学生の時空手黒帯。

(イヤアァまださとるにも触られてないのにぃー!(泣))

 両手で顔を隠して丸まってしまった撫子の肩に両手を置く神木

「撫子…大丈夫?」

(心配してくれてるうぅ(泣))

 よろめきつつフラリとアンニュイイケメンキャラに戻る。

「大丈夫…リュージ殺してやる」

 一生懸命睨む睨み方は勿論斜めに前髪の間からアンニュイイケメン。

 Pは睨み顔を見てドキドキ、M要素があるのか?そこに遅れて着いたキキがきて、リュージはキキにゲシゲシ蹴られました。


 ライブは…



♪都会の喧騒に…耐えられなくなって…

街を出てたどり着いた暗い森の中で

裸足で踊った…

Ah…涙色…琥珀色…した空を…眺めても…

Ah…切なくて…寂しくて…悲しくて…愛しくて…


「キャーッナデシコー!」

「美人ー!」

撫「そこ黙れ、聞き捨てならねえ(笑)でもありがと」

 軽い瞬殺ウインクで客を沸かす!




 グレープフルーツを差し入れて貰い、皮を剥く撫子。

P「俺酸っぱいの苦手だけど撫子が剥くなら頑張って食うわ」

「無理に食わんでいいわ」

 男どもは脱いでおり、若干緊張してた撫子は固い部分で刃が滑り、ザク。じわぁ、と血が出る。

「いたた」

「撫子大丈夫?かして」

 ナイフを受け取るとキキはうつむいてクツクツ笑い出した。

「イヒヒ、撫子の血ぃ…ぐっへっへ」

 ナイフをペロリと舐めた。

 ゾワァッ鳥肌が立つ撫子

(キキは可愛い女の子だと思ってたのにー!)

「ハアハア、撫子、指の血…舐めてもいいかな」

 ブルブル首を振る撫子。

 ピンキーの男3人のキキに対する扱いがぞんざいな理由を知った撫子。キキはkannivalismなのだ。

「救急箱借りてくるわ~」

 にやけながらキキは行った。

「…洗った方いいよ、傷」

 そう言って神木が撫子の腕を引いて湯沸室に…


 撫子の手をとって神木が流して洗ってくれる。

「…お前ほんと不器用」

「ごめん」

(さとるに血、舐めて欲しいかも…)

 ハッとして頭をプルプル振る撫子。をチラと見て、撫子の指をペーパーでふく神木

「いい加減落ち着けよ?」

 目を合わせて言ってくれる。

 トクン…

(それ言う為にここに?)

「うん…」

 かすかに頬を染めた所でキキ

「救急箱とってきたわよ」

「ありがと」

 パッとイケメンスマイルに戻す。


 もう普段通りに戻ったキキが消毒して絆創膏を貼ってくれた…

 グレープフルーツは神木が切りました。神木に口にグレープフルーツを押し込まれて騒いでたP…

 そしてキキはちょびっと血がついた消毒綿を嗅いでにやけていた…




 帰宅後。


「今日は俺が全部やるから」

「このくらい平気だよ」

「いいから座ってろ」


 神木だけで作った焦げ0シャキシャキ豚野菜炒め。


「おいしい」

「…。」

 こく、と頷く神木。茶碗も洗ってくれました。アイロンがけもして…


「今日はどうしてそんな優しいの…?」

 遠慮がちに撫子が聞くと神木は苦虫を噛んだ顔をした。

「別に…お前指切ってるから」

「たいしたことないのに」

 カチ。アイロンを終えて。神木が撫子の頭をグイッと押した。

「…お前Pのキス未遂からずっと緊張してたじゃん。リュージにもあんな事されて…」

 そのまま頭をなでられ、ポヨ、とする撫子。

「…だから今は…二人きりの間は…安心して休んで、持ち直せ。」

(目が合ってこんなされながらそんな言われたらあたし…!)

「だっだいじょぶ…でももっとずっとなでられたい」

 きゅう、となりながら言うと神木は唇を尖らせて撫子の頭を少し乱暴にぐしゃぐしゃする。

「エヘヘ幸せ♥」

「バカ」

 自身がぐしゃぐしゃにした撫子の髪を手ぐししてやり神木はツンとその額を押した。




 スピースピー鼻息がかすかに鳴っている。

 神木は押入れの中で唇を噛む。

(Pの時もリュージの時も、守れなくてごめんな…守りたいのに)

 そこに撫子の寝言が聞こえる。

「さとる…くふっ、むにゃ…おいしいねハンバーグ…スピー」

 神木は半目になった。




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