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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
scenes of love
21/184

21.一輪の花を巡って

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 9月末のライブ。


 dark orange対ピンキーは今毎回ソールドアウトで、各メンバーもそれはもう士気が上がっていて…


 楽屋に撫子と神木が来るとさっそく…


「撫子!」

「ん?」


 綾女がファサッ!と肩までの黒ロン毛を払って

「今日の俺…どう?」

 ギク。

(さとるに“ホモに気をつけろ”って言われたから一応警戒しよっかな)

 昨夜も薔薇をくわえた写真が送られてきた。

「何?何か変わったの?」

 とりあえず笑って距離をとろうとすると、


「ちょっとまったぁ!」


 ドンッ!と恋が片手を壁につき通せんぼ、からの壁ドン。


「撫子俺の事は?どう思う?」


「はい?何?どしたの二人共」

 困り笑いの撫子、神木の目が光る。

「ホモ!」

「!!」

 ピクッ!とする二人。神木はホモ呼ばわりする事で牽制する作戦に出た!(※レベル1)

 が!

「フ、ホモさっ…」

 また髪をファサッとする綾女、恋も

「俺ら撫子の為にホモになったんや。今更後には引かへんで?」

「俺の真似すな!」

 巻き込まれるリュージ!

 ドキドキして見てたPは

(これからは純粋に撫子の幸せを守ったらな!)

「お前らも横恋慕かいな!撫子達はなぁ、こないだお台場でっ!」

 キキも参戦

「夕暮れの人混みに熱烈キスを見せつけてきたんだから!」

「そや!恥ずかしげもなく長々となっ」

 むせび泣くP。

 ショックでダメージを受ける綾女と恋とリュージ。

 会心の神木はここでまた攻めの一手

「俺からした。」

「「「なっ!?」」」

「撫子何しとんねん!やるなら一応男からやれや!(女同士やけど!神木が攻めやなんてっ)」

「神木何してくれんのっ!撫子が恥ずかしいだろ!」

 受けてたつ神木

「世界中に見せつけんだよ。わりぃか」

「駄目っ!撫子は皆のものなんだからっ!?」

「チッ俺のだよ!」

(さとるがあたしを守ってくれてる!)

 キュンキュンしちゃう撫子。

 するとコンコンッと開いてたドアをノックする音がして振り向くと真夜と狂が


「差し入れ持ってきたら入れて貰ったよ♪」

「キスくらいで騒ぐんじゃねぇよなぁ」

 神木の頭をなでる狂。

「焼き芋だよ♪神木と撫子の分しか無いけどね」

 ニコニコ。

「わぁ、焼き芋好き♥アザッス」


 喜んでさっそく焼き芋をほおばる撫子の隣に座り脚を組み灰色ロンTから指先だけ出して頬杖をして微笑みかける真夜。


「へぇ、好きなら良かった。やっぱり秋は芋だよね」

「!」

 ごくっ。

P「そんな台詞でも真夜が言うと様になるからおかしいわ!」

 真夜は撫子の顎を人差し指と親指でスイ、として首を少し傾けて

「俺撫子が女だったらガチ好みなんだけど」

「へっ!?」

 神木の目が大きくなる。

(ダークホース!?)

 真夜は余裕の仕草で煙草に火をつけた。


(((女ですからー!!)))

 色めき立つピンキー男3人。ふー、と煙を吐く真夜

「ま、女だったら、ね?」

 ニッコリ。


(バ、バカ、ドキドキすんなあたし!真夜はヤリチンなんだからっ)

 うぐうぐして頷く撫子に

「ほら、牛乳も飲みな」

 イケメンらしい綺麗な仕草で200mlパックにストローを差してくれる。

「、うん」

(ホストかよ)

 喉の詰まりを解消する撫子、Pは

「やっぱりそんな事なんやけどズルいやっちゃな!」

「でも」

 大人っぽく煙草を吸い、

「初めて男に手ェ出してみたりして…」

 クス、と撫子を見つめて妖艶な笑み。


(((ロックオンしたー!!!)))

 3人はキャアアと赤面。

(((こうゆー手口なのか!勉強なるわ!)))

「どう?後で試してみない?体の相性」

 撫子の頭をなでながら柔らかく聞かれて。

(どうしよ、さとる…っ)

 頬が染まってる自覚がありつつ困惑の顔で神木を見ると。神木は目に僅かに険が宿っていた。

 がすぐ可愛い仕草で

「真夜、撫子に手を出さないで?」

 二人の間に割り込んで撫子に抱きつき引き離すと狂が

「冗談だろ」

 と言って神木の牛乳を一口飲んだ。

(あんな自然に間接キスを!)

 ショックなリュージ。

 神木は唇を尖らせた。

「撫子も男なら普通に断ってよ」

「う、ごめん」

「撫子はからかいがいがあるね」

 真夜は優しく笑って、

「やっぱ神木が第一だから神木を怒らす事はしないよ。誰かさんと違ってね」

 狂は不貞腐れた顔をした。



 二人が芋を食う間、話しながら時折視線をくれた真夜にドキドキの撫子。

(だって男って知ってるくせにあんな熱い流し目で。あんなの誰だって意識しちゃうよ、でも駄目っ!あたしは男なの!)

 頭を振って前髪をかきあげて、

「じゃあ今夜もよろしくな!」

 と肩を組みステージへ…



 パッと客席を見ると一番後ろに目立つ白い頭。斜な構えでクールにしてた真夜が撫子と目が合うと指鉄砲をしてwinkを。

 ドキ。

 目線を逸らして撫子はいつもの煽る台詞

「みんな今日もありがとう!今夜も酔いしれてくれよ?…満足するくらい酔わせるから。」

「キャーッ!」


♪飛べそうだった君の羽根 あの日壊したのは他でもない

僕自身の手の中に君を閉じ込めておきたいから

サー…ディスティニー…この僕を

罰することが出来るかい?この…少女の…体を

全ての盾にするから

ねぇもうやめないで

体を生かすこの檻の中

ねぇもう愛してよ

囚われたいのだろう 素直に言って…みなよ…Ah…


 スーパーギターを掻き鳴らしながら隣をチラ見する神木

(撫子緊張してる…)


 歌の後撫子が前髪かきあげサービスをして黄色い声援が飛んだ時、真夜が柔らか笑顔両手メガホンで

「撫子!」

 温かみある綺麗めで男らしいいい声に撫子の心臓が跳ねる。

 キメて片手上げを返しつつ、

「じゃあ次の曲は」

 ガツッ自分が踏んだコードにピンッ自分で引っ掛かり、グキッ。

「いだっ!」

 マイクスタンドを杖にこらえる撫子。

 すぐ神木がギターを置くが、人前で抱き上げる訳にいかず躊躇。

 すると真夜が人目を気にせずヒョイとステージに上がって撫子をお姫様抱っこ!

(ひゃああ!何コレ)

 ぐ…

(若干必要以上に抱きしめられてない!?)

 神木の目が大きくなる。真夜は

「神木繋いで」

 優しいながら迫力の滲む笑みを残して撫子を連れ去り、どよめく客席。

 恋と綾女が急いで撫子を追って楽屋に走る。

 キャアッと沸いてる客席

「マヤだったよね!?えっ嘘カミキは!?」

「でもマヤ超かっこよかった!」

 残ったリュージは

「神木がんば!」

(俺は俺のやり方で神木を応援するで!)

 神木は我に返り、

(…何も無いとは思うけど)

 頭をひとつ振って客席に向き直り、ボーカルマイクをとって

「…じゃあ残り俺歌っていいスか?」

 スタンドの高さを調節。

「せやな、せっかくチケ買って貰って最後までやらなアカンな!」

 狂が野次を飛ばす。

「神木かませ!」

 コク、と頷いてクラを見るとクラも目で頷いてすぐイントロを叩き出す!

 Pも神木もすぐ合流し、


♪引き裂いた薔薇の香りの夢を…透明な偽りの色に染めてく

涙など 見せなくてもいい…乾いて

悲しみの中眠りましょう…穏やかに


 dark orangeでは初披露の神木ボーカルに場の空気が変わる!

「カミキー!」

「いいぞ!」

 神木は応えてアクションをつける…



 ぎゅ、真夜が撫子を抱く腕に力を込めて抱きしめた。

「ひああ!?あの…」

(細身なのに力強い!)

 赤面でキュウ、となる撫子。真夜は真剣な顔で

「撫子、俺お前が…」

 そこにバタバタッ!と二人分の足音がして綾女と恋が駆け込んできた。

「撫子無事か!」

(あ…)

「お、おう、まあな」

 真夜が小さく息をついて撫子をソファに下ろしてくれる。


(さっき何言いかけたの?気になっちゃうよ)

 でもドキドキを隠してクールなふり…


 真夜はテーピングしてくれながらふくらはぎをフニフニ触って

「脚綺麗じゃん」

 ドキッ。何かを見透かすような瞳…

「…っムダ毛処理してるから」

 ドキドキ。綾女と恋が突っ込んでくる。

「撫子は美人が売りなんだから当たり前だろ!」

「セクハラ駄目よ!?」

 軽く無視してテープを巻き終え、撫子の頭を自身の胸に抱き

(ひゃあっ!?)

「おめーらこそ撫子狙ってんだろ、このホモが」

「「っ!!」」



「ありがとうございました」

「よかったよー!」

 声援に礼をしてすぐ楽屋に駆け込む神木。

「あっ、さとるライブどうだった!?」

「大丈夫…やりきった」

「そっか、良かった」

 天然の安心笑顔の撫子の足首にテーピングがされてる。

 神木もホッとして真夜を見る。

「ありがとうございます」

「いいよ、それより神木テーピング出来る?」

「はい、俺も撫子も陸上部だったんで」

「そう。俺も神木を見に行きたかったんだけど…撫子をホモ二人と置いてけなくて」

「逆っしょ!」

「こっちが真夜から撫子を守ってたの!」

 肩をすくめてみせる真夜。




 アパートに帰って神木は

「ほんとに何もされなかった?」

 撫子は頷くも

「けど真夜って何でもなくても迫られてるように感じるってゆうか、思わせぶりだよね」

 エヘヘと頬をかく。ム、とする神木

(ダークホース…)

 フンッとして神木が撫子の脇と膝裏に手を入れた。

「へ?キャッ」

 神木のお姫様抱っこ!

「さ、さとるっ」

 嬉しさに震える撫子

「あたしの方が大きいのに抱っこ出来るんだね!」

 ドキドキ

「出来るよ…男なんだから…、ほんとはステージで足首ひねった時俺が抱いて運びたかった…けど客前で出来なくて…すげー悔しかった。だから今抱く。」

 ぎゅ、と強く抱きしめられて

「…っ♥うん♥さとる好き♥」

 ぎゅっと首に抱きつく撫子

(焼き餅妬いてくれた!)

「撫子さえ良ければいつでも抱いてやる」

「!うん♥」

 神木の腕の中でパアアと笑顔。撫子は一瞬で夢を見る。

(これが教会で結婚式だったらな…真っ白なドレスでこうして抱かれるの、いつかさとるのお嫁さんになりたい)


「撫子」

 額にキスを落とされて、じわ、と安心が押し寄せて。

「さとるの腕、安心する…」

 神木に頭をつけて幸せそうに目を閉じる。

「安心していいよ、俺が守るから…」

 神木がまた撫子の頭に唇を押し当てて、更に強く抱きしめた――――――





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