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ゼンキンセンLOVE  作者: スピカ
love me
1/155

1.撫子はかくも花のように香り

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 子供の頃からスルスルと身長ばっか伸び、高学年の時はランドセルをしょうのが肩身狭かったし、地声も中性的でよく男の子に間違われた。(※髪も肩につかない長さだったし)


 中学・高校の陸上部では、後輩にモテまくり、普段からよく手紙やクッキーを貰ったし、告白も月1くらいでされた。(※全て女子から)


 JKになってからはさすがに制服(スカート)に似合うようにと、髪を伸ばしてみたが、後輩からのラブレターと告白は逆に増え、そのことで逆に「男らしくしてた方がいいかな」なんてサービス精神で人前ではクールガイを演じ板についた仮面…

 の神宮寺(じんぐうじ)撫子(なでしこ)は身長172、BMI18のモデル体型、高校卒業と同時に母のすすめで全身に美白化粧水を使用、1ヶ月で真っ白く生まれ変わり、母のすすめで髪をオレンジに染めた、超絶イケメンである。

 胸が真っ平らなのも母は「天性のさが」「イケメンにしか見えない」と喜んでくれるので撫子は自分の容姿に特に不服は無い。

 だがクールガイはあくまで仮面で、内面はむしろウブで純な乙女…




 は、今、都内某所のライブハウスでライブ真っ只中!


 真ん中でボーカルをとるのはナデシコ!


 ノースリピタ皮黒へそ出しハイネックえりベルトベスト、飾り紐付き黒カーゴパンツ。


 撫子はマネキンみたいな肩のラインだし、腹筋もうっすら割れてるから、この格好でも女バレしないのだ!


♪いつにない雨模様…傘もささずさまよい…

濡れた髪が顔に…へばりついたまま

空見上げた…

Ahー愛しくて…愛しくて愛しくて愛しくて…

Ahー眠れない…眠れない眠れない眠れない…


「キャーッナデシコー!」

「カミキー!」


 すぐ傍らでスーパーギターテクでギターを弾くのはピンクのロングに濃ピンクのエクステを入れて黒キャスケットに黒皮ジャケ、黒ミニスカ、ガーター黒網ストッキング、十字ペンダントの美少女、カミキ。


 チラッと見やると目が合い、撫子は心臓が跳ねる。


 そう、撫子はカミキが好き!

 実はカミキは男、身長162の低身長男子なのだ!



 ライブ後挨拶を済ませ、カミキがメットを投げてよこす。

「ちゃんとつかまれよ」

「うん」

 ぎゅ、ニケツの撫子がカミキに言われてしがみつく。頬が染まるがメットで隠れる。

 身長162の女の子の後ろに172の彼氏が乗っているように見える。



 渋谷、初台のアパートで撫子と神木さとるは同棲だ。

 

 さとるが上京することにした時挨拶にきたさとるに…(※神木家は隣家)――――――



「離れたくないっ」


 一生の別れになるかもと思い泣いちゃった撫子。


「あら~さとる君の所で一緒に住んじゃえば?間違いがあっても許すわよ?」

「安心して下さいあり得ません」

「いいの!?」

「…家賃半分もつなら」

「やったー!」



「さとる、押し入れで寝るの交代しようか…?」


「いらない」


 ピシャ!

 半袖とトランクスのさとるが押し入れ上段に上がって戸をしめた。中で懐中電灯生活をしてる。


「元々さとるの部屋だったんだから悪いよ、隣で寝ててもあたし別に…」

「うるせぇよ、こっちが気になんだよ」


(それってあたしの事意識してくれてるって意味…?)

 ポッと頬染め。


(どうしよもしほんとにさとるとそんな関係になったら同棲してるんだからむしろ普通?なんてほんとどうしよあたし嬉しいけどまだ心の準備が)


 明かりを消す1LDK。


 撫子はさとるの立てるゴソッとかカチとかの物音にいちいちドキドキ。


(姿が見えずに音だけって余計にドキドキするよね)


 でも寝付きがいいのですぐ眠ります。


 さとるは寝る前押し入れの中で歌詞を書く。


(自分を好きな女の隣で寝れるかっての)


 スピー、スピー、スピスピムニャムニャ


 撫子は眠るとよく鼻息が鳴る。寝言もたまに言う。

 さとるは苦虫を噛んだ顔をして歌詞を書いていく。


♪引き裂いたバラの香りの夢を

透明な偽りの色に染めてく

涙など見せなくていい

乾いて悲しみの中眠りましょう穏やかに

魅入られた瞳閉じ込めるAh吐息

バラの夢

触れた指に棘が刺さり

赤い血

今宵も溺れる魅惑のred rose

Ah溺れさせて…


(よし)


 書き終えて寝る前にトイレに起こさぬようそっと押し入れを出る。

 撫子をチラと見て


(寝顔はちゃんと女…)


 スピスピ鳴る鼻息に指を当ててクスと笑った。

 そして小さなため息。


(背、お前より低くてごめんな。この姿の方がお前の隣に並び安いんだよ)




 神木は高校1年の夏休みに高校を辞めた。曰く

「宿題の多さに嫌気が差した」

 らしいが撫子は本当は知っている。

 同じ陸上部だった神木は撫子にハイジャンプで負けたから辞めたのではないかと。



 退学した途端髪を伸ばし始め3年で90㎝も伸ばし、ピンクに染めて今に至る。


 神木は自販機ドリンク補充のバイト、撫子はスーパーの品出し。



 同棲の楽しみ①料理

 毎日夜7時半から一緒に料理。

「撫子玉ねぎみじん切りして」

「うんっ(喜)」

 撫子は不器用。すぐ涙で目が開かなくなる。

「ああもういいよほらかせよ」

「うんごめん」

 とととと(※包丁音)…

 神木は器用で料理も上手。今日はハンバーグ。

 撫子がリタイアしてるまに神木が手早く種を仕上げ空気抜きし小玉に分けてしまう。

「焼いてろよ、風呂入るから」

「うん」


 かくしてちょっと焦げちゃったハンバーグと撫子が洗ってちぎったレタスが今夜の夕食。


「美味しいね♥」

「焼き方上達したじゃん」

 最初はもっと焦げてた。

「それって褒めてくれるの!?」

 キラキラの女の子の瞳。

「いつも思うけどお前のギャップすげーよな」

 ぷいと目そらし。

「さとるの前だけなんだ♪地でいられるの」

「…。」

 眉間に皺を寄せてもぐもぐする神木。眼福の撫子

(ああやっぱりさとる可愛い、神様ありがとう♥)



 同棲の楽しみ②風呂

(同じシャンプー、同じボディソープ。同じ匂い♥くふふ♥)

 同じ体こすりでこすりながら、

(新婚もきっとこんななのかな。さとるのお嫁さんになりたいなぁ)


 家では女の子全開の撫子はむしろ非常に女の子っぽい。

 神木は家でも外でも変わらずクールだ。

 撫子はそれで1歩外に出るとパッと倒錯系アンニュイ超絶イケメンに変わるんだからそれはそれで大したもんである。



 同棲の楽しみ③アイロンがけ

 と言ってもやるのは神木、不器用な撫子がやると皺になってしまうので夕食後撫子が食器洗いして神木が二人分アイロンをかける。

 さとるがアイロンしてくれた服を毎日着られて撫子は幸せを感じている。さとるに包まれてる気がするから!




 今日はベースのPちゃんが遊びに来る約束。


 簡単な手書き地図を渡したのに超絶方向音痴のPはまず渋谷駅から方向を違えて出てしまい初台までをさまよいまくり、アパートに着くまでに夕方になった。

 到着するなり

「つっかれたー!」

 と床にぶっ倒れる。

「お疲れ様、てかそんな迷うか普通…」

「喉渇いたージュースほしー」

「ち、水飲んでろ」

 と言って買いに行く神木。

「撫子は風呂か、俺も入ろっと。疲れたら風呂だよね」

 パパッと脱いで、ガチャ

「ひあああ!?何すっ…」

 カアアア赤面、前隠してバシャ!と背中向け。

「ん?何で恥ずかしがってんの?男同士ならいいじゃん」

「よくねーよ!バカ!変態!」

 棚に脱いだ物を置く時撫子は神木の目を気にして下着類をTシャツでくるんでおくのだ。

 バスタブの中必死で丸まる撫子。

「はっはっは、撫子は白くて綺麗だなー!」

 シャワーを使い始めちゃうP。撫子の心の叫び

(早くあがれー!!!(泣))

 カラスの行水のP、

「照れんなよ、俺も湯船入ろーっと♪」

「キャアアア!」

 狭い湯船に。

「ははっ大袈裟すぎ…!!」

 撫子の胸元が上から見えちゃって一気に赤面のP、バッとアソコを隠す!

「ごめん!俺知らんくて!」

 ザバーッ、ガチャ、ピシャ!ソッコー出てったP。

「うっうっ(泣)見られちゃった、まださとるにも見られた事無かったのに」


(女…女だったよな!?撫子が…女!!やばっ)


 そこに神木が帰宅、

「P!お前何やって…!」

 焦るP

「ちっがーう!なんもしてないなんもしてないよ!?俺撫子さんに手出しなんか何もしてな」

「早く服きろ(怒)」

「はう!ごめんなさい!(こっちも女だったー!)」

 まだすっぽんぽんだった。

 ため息して神木は風呂戸をノックして

「撫子、もうちょい待てよ?今バカが服着るから」

 そしてスルーして部屋に入る。

(神木は冷静だな、男を知ってるとみた。撫子は乙女か…やばい)

 もやっとしちゃうP。




「でもまさか美女二人暮らしだったとはな~俺てっきりお前らが付き合ってると思ってたから、避妊グッズ探してやろうと思ってた~」

「残念だったな」

「じゃあ俺今女の子だけの部屋に遊びにきてるって事じゃん両手に花っ♪

てか撫子さん美人じゃーん♪」

「今まで通り撫子でいい…」

 膝を抱えて隅でイジケていた。

「でもとりあえず神木可愛いけど撫子もけっこうグッときちゃうかも」

「!?ひああ」

 わざとにじり寄るPをベシッと叩いて襟首を掴み引き戻す神木。

「イテテ、てかなら冥海(クラ)にも教えたら?」

「まだ黙ってて…」

 まだイジケてる。

「ふむ、そーか。なら俺がこれから撫子を守ってやんよ!」

「え?」

 ポヨ、とした顔を向ける撫子。

「だからいつかこの俺の胸に飛び込んできなっ…」

 神木が目を丸くした。





不定期投稿になるかと思いますが宜しくお願いします。大体20話位での完結を目指します。

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