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第90話 カオスの誘惑

 鈴音はその後も両親から離れることが出来ず、重く下がりきった頭に不安な表情を浮かべていました。もう寝静まる時間になり、フィフス達も家に帰り、深夜になってもそのままでいた鈴音は流石に眠気を感じて首を何度も振らせ、いつの間にか眠ってしまいました。


 するとその日の夜、彼女はとある夢を見ました。そこでは、いつものように彼女は動画を撮影し終え、両親に終わったことを伝えようと、自室を出て階段を駆け下ります。


 「ママーーーー!! 撮影終わったよーーーー!!!」

 「あら、お疲れ様。」


 リビングで料理をしながら、彼女は鈴音に優しい笑顔を向けました。するとそこに、扉の鍵が開く音と、父親の声が聞こえてきました。


 「ただいまーーーーーー!!」

 「あ! お帰り~!!」


 鈴音は元気よく、玄関まで迎えに行きます。


 「パパァ~!! おかえ・・・り?」







 「すず・・・ ね・・・」


 そこには、血まみれになって目があさっての方向に向いている自身の父が姿がありました。


 「パ・・・ パ?」


 「たす・・・ けて・・・ くれ・・・」


 その一言を言った次の瞬間、彼の体は鈴音の目の前でバラバラになり、崩れ落ちました。


 「ヒィ!・・・ ま、ママ!! パパが!!!」


 彼女はその恐怖映像に怯え、母親のところへと駆け出します。しかしリビングに戻ると、その母も、血まみれの姿で倒れていました。


 「マ・・・ マ?」


 「イヤ・・・ 死にたく・・・ 無い・・・」


 すると今度は母親の体が彼女の目の前でドロドロに溶けて跡形も無くなりました。


 「イヤ・・・ イヤよ!! こんなのイヤ!!!」


 現状を飲み込めず、鈴音がその勢いで後ろを振り返ると、そこには家の風景が消え、ただただ真っ黒な空間が広がっていました。突如変わった風景に鈴音が困惑していると、彼女の目の前からオークが真っ暗な闇から姿を現しました。


 鈴音は恐怖に逃げ出しますが、走っているとその先にオークが待ち構え、方向を変えてもその先にもオークがいました。


 とうとう疲れ切った彼女は足をくじいて転んでしまい、そこにオークはよだれを垂らしながらゆっくりと近付いてきます。


 「だ・・・ 誰か・・・」


 彼女の助けもむなしく、もうオークはすぐ近くに来ていました。そして鈴音に向かって無言のままに拳を振り下げてきました。


 鈴音にそれが当たるまで後数センチになったときでした。突然上から光線のようなものが降り注ぎ、それがオークを貫いていとも簡単に消滅させてしまいました。


 「あ・・・ エッ?」


 鈴音が困惑していると、そんな彼女にどこからか優しい声が聞こえてきました。


 「・・・ 大丈夫かい?」


 更にそこから手を差し伸べられ、鈴音が顔を上げると、そこにはいつの間にかカオスが立っていました。


 「あなたは?」

 「君を、この恐怖から助けに来よ。」

 「助けに?」


 すると二人の周りにオークの大群が現れ、一目散に鈴音に向かって行きました。彼女がしゃがみ込んで怯えると、カオスは余裕な態度のままに腕を横に振ります。すると大群のオークは一瞬で消滅させました。


 「安心して、恐ろしい魔人は消えたよ。」

 「何? 何なんだぞ!?」


 鈴音は立ち上がりながら、ヘンテコな出で立ちのピエロに警戒しています。しかし彼の話す言葉を聞くと、どういう訳か気が落ち着いてきました。


 「大丈夫、もう心配は無いよ。」


 カオスは再度鈴音に手を差し伸べます。彼女はまるでそうするのが当然のように、空気に流されてその手を取りました。すると、そのときにカオスがこんなことを言い出します。


 「可愛そうに・・・ 君は何もしていないのに、普通に暮らしていたってだけでこんな目に遭うなんて・・・」

 「・・・」

 「こんなことされて辛いよね・・・ 苦しいよね・・・ なのに君の両親を襲ったアイツは、何食わぬ顔で今を過ごしている。そしていずれか、彼ら二人を襲った事すらも忘れてしまうのだろうね・・・





  何か・・・ そういうの・・・





  ・・・ ホンッッッットうに胸クソ悪いよね!!」


 カオスは今の鈴音の心情を代弁するかのように、己の拳を握りしめます。突然起こったことに絶望しきっていた彼女は、普通なら怪しいと思うはずの彼のことをいつしか受け入れていました。


 するとカオスはポンッと彼女の肩の上に手を置き、優しい声をかけながら一つ提案をしてきました。


 「僕はね、そんな理不尽を受けている人が放っておけないんだ。だから君の事を助けてあげる。」

 「・・・ 助ける?」


 そしてカオスが軽く右手を挙げると、そこに小さな渦のようなものが発生し、契約の魔道書が出現しました。


 「この本の魔法陣に触れて『復讐』を願うといい。必ず君を助ける力になってくれるはずだ。」

 「ウチを・・・ 助ける力?」





 「大丈夫・・・ 僕は君の味方だ。いつでも近くで見ているよ。」





 そう言い残すと、カオスはまた暗闇の中にへと消えていきました。


_______________________________________


 気が付くと、鈴音は両親が寝ているベットの横で、椅子に座って眠っていたのから目覚めました。窓の方を見ると、もう朝方になっています。


 「・・・ いつの間にか寝ちゃってたのか?」

 『何か変な夢を見た気分だぞ・・・ ッン?』


 しかしそのとき、彼女は右手に何かを持っている感覚を感じました。彼女はそのまま右手を挙げてみると、夢の中に出て来た本を握っていました。


 「これって・・・ もしかして・・・」


 鈴音は夢の中でカオスが言っていたことを思い出します。


 『そうだ・・・ アイツに・・・ 復讐するんだ!!!』


 鈴音は目を血走って見開き、そう決意させてしまいました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・キャラクター紹介



{カオス}



種族           ???

年齢           ??歳

誕生日          ???

身長           169cm

性格           飄々としている

使用魔術         ???

好きな物・こと      この世界の人間

             魔王子君

嫌いな物・こと      特に思い浮かばないかな・・・

好きなタイプ       性格はいいのに苦労している人

             (助けたくなっちゃうんだ)

将来の夢         ???

何故謎が多いのか     男はミステリアスな部分があった方が

             かっこいいから

モチーフ         『シンデレラ』より魔法使い

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