第7話 魔人強盗犯
「フーーーーーーーーー・・・」
「何だあれ?」
「何かの撮影?」
「動画撮ってSNSにあげよっと。」
ビルの中から出て来た魔人は、人目を気にせずノソノソと歩いて行く。周囲の人たちはそれを見て何かの撮影かと思い、みなスマホで写真を撮り始めました。
カシャ!! カシャカシャ!!
フィフスはそれを見て、心底驚いていました。
『あいつら、何考えてんだ!? この状況を見て、なんであんなに平気でいられんだよ・・・』
その場はこの世界の人間である瓜だけで無く、異世界から来たフィフスにとっても完全に異常でした。緊張感の無い中、一斉に写真や動画を撮り続ける周囲に、取られている当の魔人は苛立だっている様子でした。そして・・・
「あん? 邪魔くせえなあ・・・」
『まずい!!』
その次の瞬間、前方にいた魔人、フィフス、そして群衆の後ろにいた瓜が突然消えました。
「あれ? 急に消えたぞ。」
「CGの故障かな?」
「おい、動画撮ってたのにふざけんなよ!!」
目の前で起こっている本当の火事に一切見向きもしない人々。そこから少し離れた建物の屋上で、それを一人眺めている男がいました。
「お~お~、やってるね~。目の前の事故よりも自己顕示欲が勝つなんて、いいね、この世界。」
そう言うと、男は忽然と姿を消した。
一方その頃、フィフス達は事故現場から離れた人気のない場所にいた。そのことに気付いた瓜だけで無く、相手の魔人も心底驚いていた。
「あれ? ここは、一体・・・」
「どうなってんだ!? さっきまで高い建物のとこに・・・ ん?」
目の前を見て魔人はもう一つ気付いた。そこにいるフィフスが擬態を解き、黒焦げになっていたのです。
「おい、何だおまえ!? なんで焦げてんだ?」
「おまえに教える義理はない。」
『もしかして、移動の時に気付かず五十メートル離れて・・・』
『頭の中で言うな。 ど忘れしてたんだよ。』
なんとなく気まずい二人をよそに、魔人が再び聞いてきました。
「まさか、これはお前の仕業か? 妙なことをしやがる。」
「ご名答だ。俺は素早さに自信があってな。」
それを聞き魔人が疑問を浮かべた顔をしました。
「ん? お前、見た感じ鬼だろ。鬼にそんなわざは出来ねえはずだ。第一、なぜ同じ魔人のお前が、俺にこんなことをする? お前の契約に支障があったのか?」
「随分とおしゃべりだなあ。聞いている感じ、お前が異世界に来たのは偶然じゃ無いって事か。」
「偶然だと? お前もあいつにスカウトされたんじゃねえのか?」
「あいつ?」
「ったく、どうなってんだ・・・ ん?」
混乱していた魔人でしたが、突如動きが止まりました。それを見てフィフスはすかさず捕まえようと動きましたが、次の瞬間・・・
ドカンッ!!
辺り一帯に煙が充満し、目の前が見えなくなりました。
「これは!!」
「あわわ!!」
フィフスと瓜は完全に相手を見失ったが、すぐに彼が動きました。
「面倒なことしやがって。こんなとこで石を使いたくなかったが、ルーズはいないし仕方ないか。」
フィフスはズボンのポケットの中に入れていた緑色に輝く小さな石を取り出し、胸の近くで強く握った。
「<疾風術 風衝波>」
すると、フィフスを中心に強い風が全方向に吹き抜けて、覆っていた煙が晴れました。しかし、そこに例の魔人の姿はありませんでした。
「ケッ、うまいこと逃げたか。」
一落ち着きし、身を潜めていた瓜が出て来ました。
『あの、さっきのは・・・』
「ご察しの通り、俺と同じ異世界の魔人だ。見た感じ、奴は土蜘蛛の成人ってとこか。」
『土蜘蛛って、妖怪の!?』
「ようかい?」
『あ、いえ・・・ 話の感じから、おそらくあの魔人さんも、契約で、日本に来たようですが・・・』
「ああ、俺と違いなんか目的があるようだな。しかも、後ろ盾つきか・・・」
『あの方は、一体・・・』
「さあな。だが、胸クソ悪いことをしようとしてる奴がいるって事だ。」
『ほんと、なんかイヤな予感がするしな・・・』
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その頃の土蜘蛛。先程まで群衆を見ていた男と共にいました。
「わりいな、助かった。」
「別にいいさ。今君がやられるとこっちも困るからね。」
「しっかしあいつは何だ? 魔人のくせに人間を守るようなことしやがって。あんたの手先か?」
「いや、違うね。彼がどうしてこの世界にいるのかは僕にもわからない。」
それを聞き、土蜘蛛が焦ります。
「オイ!! じゃあ念のため早いこと始末した方が良いんじゃねえのか?」
「それについては気にしなくて良い。君は君の仕事をしてくれ。」
「ならその仕事はいつ終わるんだ? もう三日程続いてるぞ。」
「仕方ないだろ。契約者が満足するまで君は自由になれないんだ。ま、何かあれば連絡するから、心配なく~」
「ハッ!! 全くかったりいぜ。」
そう捨て台詞を残して、土蜘蛛はその場を去って行きました。
「ま、時間がかかる方がこちらとしてはいいんだけどね。」
残った男は来た道の方向を見て思いました。
『さっきの魔人、黒焦げになっててわかりずらかったが、容姿からして鬼、しかもあの剣は・・・』
男はそのときハッとなった。そして口元を手で隠しながら笑い出しました。
『思わぬ副産物だ。彼が異世界にいるって事は・・・
向こうさんも動き出したか。これは面白いことになるぞ・・・』
クフフフフ・・・・
男は不気味に笑いながら、その場から忽然と姿を消しました。
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一旦家に戻ってきた二人。唐突なことに瓜は混乱していたが、フィフスは考え事をしていました。前からどうにも気になっていたことに当てが出て来たからです。
そのことに頭を使い続けるフィフスだが、瓜が声をかけてきたことでそれが消えました。
『どうしました? 何か難しい顔をしていますが・・・』
「ん、いや別に・・・」
素っ気なく答えたフィフスでしたが、内心ではマズく思っていました。
『文字は違うが、言葉は通じる人間。
計算式や科学法則は向こうと同じ。
何より、目的を持ってやって来た魔人。こいつは・・・』
彼が考え込んでいる中、瓜はさっきのことがどうなっているのかとテレビの電源をつけました。さっきの騒動がニュースではやっていないのかと思っていたのです。
その感は見事に当たり、丁度速報でやっていました。部屋の中をウロウロしていたフィフスもテレビの前で足を止めました。
「現在、都内の銀行数カ所にて次々と火災が発生し、先程消火が完了したようです。現場の目撃者は緑の体をした大きな男が複数確認されたそうです。」
『これって、さっきの土蜘蛛が・・・』
「すげえな、このでかい鏡。念じるだけで答えてくれたのか。」
『エッ?』
天然でそんなことを言うフィフスに、瓜は汗を頭に垂らして顔を向けました。
『あの、フィフスさん?』
「いや~、この世界は道具がやたらと発達していて助かるな~。こないだお前から借りた<すまほ>ってやつも、魔力なしで通信できるしな。この世界は便利なもんだなあ。」
『あの、フィフスがいた世界って、どのくらいの時代なんですか?』
「あ?」
しばらく沈黙が流れたましたが、ごまかすようにフィフスが言います。
「にしても、あそこ銀行だったのか。えらくでかい建物だったから気づかなかったぜ。」
冷や汗をかくフィフスに、瓜は疑問に思いました。
『銀行? なぜそんなところを。』
フィフスがすかさず答えます。
「・・・ 契約者の望みが金だからじゃねえのか?」
それを聞いて瓜はひどく驚きました。
『そんなことのためにあんなことを!?』
「ありえるんじゃねえか? あいつが強引な手を使ってるんなら・・・」
「そんな・・・」
落胆した瓜にフィフスは続けます。
「どうであれもう一度やつに聞くしか無いか・・・」
聞いた瓜は疑問を浮かべて顔を彼の方に向けました。
『しかし、相手はどこにいるのか・・・』
「安心しろ、あいつはおそらくまた銀行を襲う。それも見た目の都合上近くのな。」
『でも、襲われてしまっては・・・』
「策はある。」
『?』
バササッ!!・・・
「う、嘘でしょ、」
「まだまだだ、望み通り、埋もれるほどの金をもってきてやる。」
そこはとある家の一室。土蜘蛛が、盗んできた大量の紙幣を床にばらまいていました。しかしあまりの多さにもはや床が見えなくなっている様子でした。
「す、スッゴい・・・ これなら、もっと・・・」
「ああ、期待してるんだな。」
土蜘蛛は部屋の窓から出て行きました。部屋にはこの間の瓜の友達を自称した女がいました。
「まさか、本当に怪物がお金持ってくるなんて・・・ あの男、何だったのかしら。」
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そして土蜘蛛が次の銀行へと向かっています。
「ケッ、欲の深い女だ。俺はいつになったら解放されんだ!?」
『まだ文句があるのかい?』
突然土蜘蛛の頭の中に声が響きました。例の男からです。
「アン!!? またてめえか。 何の用だ?」
『君、見つかったよ。』
「ハ? それって・・・」
すると土蜘蛛は上からいきなりケリを入れられました。
「ウギィ!! 」
直撃した彼はそのまま落ちていき、地面に激突しました。しかし彼はいたがりながらも立ち上がりました。
「いてて、何なんだよ・・・」
そして土蜘蛛が正面を向くと、そこにはフィフスが鬼の姿でにこやかに立っていました。
「ナッ!!!・・・」
そしてフィフスは悠々とした様子で言います。
「ヤッホ。」
<魔王国気まぐれ情報屋>
・キャラクター紹介
{フィフス}
種族 鬼
契約者 町田 瓜
年齢 16歳
誕生日 5月25日
身長 169cm
性格 ゲス
家族構成 父(魔王) 母 兄2人 姉2人
使用魔術 火炎術 ???
好きな物・こと 家の屋上で昼寝
(苦情が来て瓜に注意された)
嫌いな物・こと 友達 正義
飯を粗末にする奴
好きなタイプ いたずらっケのあるナイスバディ
将来の夢 特になし
最近はまりつつある物 プリン・少年漫画
(漢字は瓜に聞きながら)
モチーフ 『桃太郎』より赤鬼
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