表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/344

第77話 赤鬼と魔人狩り

 フィフスが経義とキメラオークの両方の攻撃を防ぎ、少しホッとします。ちょうどそのとき、人目を避けて動いていたユニーに乗った瓜と平次が合流しました。


 「グレシア!」

 「あ、やっと来た。」


 二人はユニーの背中から降り、瓜が魔人二人に聞きました。


 「それで・・・ 魔人は?」

 「なんか、ややこしいことになってるわ・・・」



 視点が戻ってフィフス達。経義は大剣を一度離し、そのすぐ後にフィフスは魔人の攻撃を捌いて蹴り飛ばしました。流石にさっきのバイクの突撃ほど威力はありませんが、身を引かせて距離を取ることには成功しました。


 更にフィフスはそこから経義に攻撃をさせないように、隙が無く相手に格闘技を叩き込みました。キメラオークは自分の体に慣れきっていないのか、捌ききれずにかなり受けてしまいます。


 「ガッ!!・・・ グッ!!・・・」

 「さっさと降参しろよ。そうすれば止めてやる。」


 キメラオークがしゃべる間もなく攻撃は続き、すぐにぐったりしてしまいました。そして・・・


 「わ、分かった!」

 「分かったから止めてくれ!!」

 「俺、腹の位置に顔があるから二人より多く食らってんだよ!!」


 三つの頭がそれぞれ騒ぎ出し、それによって更に彼らの動きはバラツキが現れ、ついには足を崩して勢い良く尻餅をついてしまいました。完全に動きが悪くなったのを見て、フィフスは攻撃を止めました。


 「よし、なら聞かせて貰う。お前、カオスから何をされた。」

 「俺らは、アイツに言われて一冊の本に血を入れたんだ。」

 「そしたらこの様だ!!」

 「ほぉ、それはそれは・・・ 『こいつらも仮面野郎の「おふざけ」に遊ばれたのか。この前の勇者と同じだな』」


 フィフスは更に彼に詰め寄り、圧をかけながら聞きます。


 「それで、お前らの『目的』は・・・」


 しかしその質問は全てを言い終える前に途切れてしまいました。フィフスの後ろから、物理的な意味で横槍が入ってきたのです。彼は咄嗟にそれを感じ、瞬時に身を引きました。キメラオークがその行動に疑問を浮かべていると・・・






 シュンッ!!







 次の瞬間、キメラオークの三つの内の真ん中の頭に一直線に、一本の矢が飛んできたのです。


 「「「アガッ!!?・・・」」」


 更にそこからその矢は光り出し、その光は彼らの体に流れ込み、それと同時に苦しみ出します。


 「「「アァ・・・ アアア!!!・・・」」」


 そして、キメラオークの全身にそれが回ると、巡ったエネルギーの脈が一気に輝きだし、彼らの体を爆発させたのです。


 目の前で起こったフィフスはもちろん、離れて見ていた一行も、事態を理解するのに時間がかかりました。


 「これって・・・」

 「もしかして・・・」


 フィフスがまさかと振り替えると、そこには立て膝状態になり、矢を失った巨大なボウガンを構えていました。


 「お前・・・」

 「攻撃ご苦労。おかげですぐに消せた。さて・・・」


 そこから経義は立ち上がり、それと同時進行でボウガンの弓の部分を回転させ、さっきの大剣に戻しました。しかし矢の部分にもなっていた先端が無いためそこは欠けています。


 そこから彼は一直線にフィフスに向かって走り、間合いに入った途端にその武器を振り下ろしました。しかしそれは回避されます。


 「!?」

 「フィフスさん!!」

 「ちょっと、あれやばいんじゃ無いの!?」


 危機を感じた一行はフィフスのもとに向かおうとします。そんな中、当の彼は少し驚きながらも冷静に経義の攻撃を回避し続けます。


 「いきなり何すんだ!?」

 「黙れ、魔人と話をする気は無い。」


 経義の太刀筋と足の運びは見事なもので、徐々にフィフスは追い込まれていきました。とうとう回避がしずらくなり、彼の大剣の刃を持っていた剣の刃で受け止めるまでになりました。


 「おいおい・・・ まさか俺まで殺す気じゃねえだろうな。」


 経義はもう話す気が無いらしく、無言のままに攻撃を続けます。


 「シカトかよ。でもこのままやるってんなら、こちらも黙ってはいないぞ。」


 フィフスは至近距離で放射炎を繰り出し、相手がそれを受けて力が緩んだときを見逃さずに距離を取ります。しかし術を出した彼にとっては、今のでヘルメットが溶けてないことに驚きました。


 「マジか! 『瓜のいるところで殺人はマズいから多少手は抜いたとはいえ、被り物は燃やす勢いだったってのに・・・ こいつは冗談抜きで気が抜けねえな。』」

 「チッ! 悪あがきを・・・」


 反射的に話し出した経義を見て、フィフスは調子良さを演出します。


 「おっ、ようやく口を開いたか。なら話を聞いて貰うと助かるんだが・・・」

 「俺がお前の話を聞くことなど無い、魔人は全て倒す。ただそれだけだ。」

 「それはお前個人のか? それとも野党主の命令か?」


 経義は当たらずとも遠からずだったのか、話はしないものの少し反応がありました。


 「ま、何にせよ、俺は今こんな訳の分からん奴を相手にする気は無いんでな。失礼する。」


 そう言うと、フィフスはタイミング良くやって来たユニーに飛び乗りました。どうやら走るコースを事前にテレパシーで伝えていたようです。


 「ナッ!? 魔獣だと!!」

 「んじゃ、そういうことで~・・・」


 一行は一目散に逃げ出しました。すると、既にユニーに乗っていた瓜が彼に聞きます。


 『良いんですか? 放っておいて』

 「能力もスペックも分からん奴なんて、戦うにおいてリスクが高い。こっちの目的も済んだし、ここは逃げるが得策だろ・・・」

 「チキンな奴・・・」

 「うっせえ、落とされたいかメガネ。」


 ユニーは三人を乗せ、経義の目先に粒になる程の距離に離れました。しかしそれを見てもなお、経義の考えは変わりません。


 「逃がさん・・・」


 彼は近くに止めていたバイクにまたがり、走って行くユニーに向かって行きました。

 実はこの話の中で、初期設定と矛盾している点が一つおきています。それが何かは後々明らかになります。




 よろしければ、『ブックマーク』、『評価』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ