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第70話 再び異世界へ

 メンバーが集まったこともあり、フィフス達一行はサードの愚痴を聞き流しながら早速魔王に指定されたゲートまで移動することにしました。そこには普通とは違う格好の兵士が警備しています。おそらく国の裏仕事を行うチームの者なのだろうとフィフスは察しました。


 その兵士は既に魔王から連絡が入っていたようで、目の前に現れたフィフスの素に近付きました。


 「フィフス王子ご一行様ですね? お待ちしておりました。」

 「道案内・・・ ってことで良いのか?」

 「ここから先は国家機密故、王家の者と関係者以外は立ち去っていただきたいのですが・・・」


 自分のことかと察したキンズはこう言って身を引きました。


 「どうやら自分はここまでのようですね。王子、ウリーさん、向こうの世界でも元気にしてくださいね。」


 流れ作業のように礼儀正しくお辞儀をし、一行からキンズは外れました。


 そこからはその兵士に案内されながら先へ進んでいきます。そこからしばらくすると、そこがゴールと分かりやすい場所に出ました。


 「ほぉ~・・・ これが・・・」


 そこには、フィフスが見たことの無い程大きな魔法陣が描かれた大岩がありました。


 「着きました。できるだけ早く済ませたいので、別れの挨拶が有るなら手短にお願いします。」


 その兵士の言葉遣いに若干一行は苛つきましたが、彼の言っていることにも一理あると思い、早く終わらせようと話を始めることにしました。


 早速彼らは円状に広がります。そこからフィフスがこう切り出しました。


 「・・・ 何というか、全く雰囲気が出ねえな。」

 「だろうな!! こんな適当な別れの挨拶、漫画作品でもそうそうねえぞ!!」

 「こうなっちまったからには仕方ねえ。さっさと済ませるぞ。」

 「良いのか? これでいいのか諸君・・・」


 平次の的確なツッコミを受けながらも、その場に残るセカンドから話し出しました。


 「では・・・ フィフス、向こうの世界はどんなところかは存じ上げませんが、そこでもしっかりやってくださいね。瓜さんも、何かあったら気軽に相談してください。『友達』として、助けになります。」

 「友達。」


 瓜が朗らかな笑顔になって喜んでいると、セカンドはそんな彼女に近付いてその手を握りました。そして彼女の耳に顔を近付け、小声で言いました。


 「キスに関してはつらかったでしょうが、どうか許してやってください。」

 「ヒャエ!?・・・」


 セカンドは顔を戻すのと同時に彼女に向かって軽くウインクをしました。気付かれて震えている瓜を見てフィフスは疑問を浮かべます。


 すると次にサードが口を開きます。


 「・・・ 納得いかないけど、こうなったら仕方ないわね・・・ 」


 それからサードは瓜に近付いてギューッと抱きしめました。回りは当然ビックリです。


 「さ、サードさん!?・・・」

 「あ~・・・ 妹エキスが流れてくるわ~・・・」

 『この人の症状悪化は限界を知らない・・・』


 フィフスがそんなことを思いながら冷めた目付きで彼女達を見ていると、エネルギー充電を完了したさーだが今度は彼の近くに迫ってきました。


 「ん、何?」

 「フンッ!!」


 ゴスッ!!


 するとフィフスは彼女からの鉄拳腹パンチを直撃しました。


 「グホッ!!?・・・ な、何すんだ姉貴・・・」

 「姉上。」

 「あ・・・ 姉上・・・」


 回復してもなお怒りの表情のさー打破、そこからビシッと腹を抱えて苦しんでいるフィフスに指を指します。


 「良いこと!? もし向こうの世界でアタシの大切な妹をほんの少しでも傷つけようものなら・・・」

 「まず妹じゃねえだろ・・・」

 「うっさいバーーーカ!! もしそんなことをしようものなら、アンタの首と胴はこまぎれになるから良く覚えてて・・・」

 「イタタ・・・ 細切れなんだったらわざわざ首と胴を分ける必要ないだろ・・・」 


 痛がりながらも突っ込むフィフスのことは無視し、サードは今度はグレシアにかけ寄り、その手を握りました。


 「魔女っ子ちゃんも、何かあったらお姉さんに相談しなさいね。」

 「あ、アハハ・・・」


 対応に困っているグレシアに、隣の平次が呆れていました。


 すると、準備を終えた兵士から声をかけられ、異世界に行く一行は前に出て、魔法陣の前に立ちました。すると、目の前の石版に描かれた円が怪しく光り輝き出します。その光の色に、瓜はハッとなります。


 『この光、フィフスさんが家に来たときと同じ・・・』

 「どうした?」

 「あ! い、いえ・・・」


 瓜は言葉に詰まりながらも誤魔化しました。気になったフィフスでしたが、時間も無いので一旦おいておくことにします。


 「では、ゲートを開きます。王子、魔法陣に触れてください。」


 言われたとおりにフィフスは皆より一歩前に出て、右手を出して光っている魔法陣に軽く触れました。


 「よし、行くぞ!!」






 キィーーーーーン!!






 と、甲高い音が鳴りながら光が発生し、フィフス達はそれが急激に増長した一瞬目が眩むほどの光に包まれました。あまりのまばゆさに一瞬セカンドが一度腕で目元を隠し、その腕をどけると、フィフス達の姿はありませんでした。 


 「皆さん、ご無事で・・・」


 セカンドは向こうに行った皆の無事を祈って祈りを捧げました。




_______________________________________


 一方の聖国。フィフス達の知らないところで、国中に号外新聞が配られていました。それを受け取った国民は、皆揃って大きく動揺しています。


 「おい、これって・・・」

 「嘘でしょ・・・」


  そこに書かれていた内容は、ノギの実家であるゼルペット家が襲撃され、投手が暗殺されたという事件でした。


 「ウワッ! しかも屋敷にいた使用人も全員行方不明だって・・・」

 「ひでえことしやがるもんだなぁ・・・」


 民衆達は気付いていない。その暗殺というのが、屋敷の使用人の反乱によって起こったことに。


_______________________________________


 ここは日本のとある暗い廃倉庫。暗くて良くは見えませんが、そこには二人の影がありました。一方は退屈にしているのかあくびをします。


 するとそこに、突然禍々しく光る魔法陣が出現し、そこからのっそりとカオスが現れました。


 「フ~・・・ 隠れて移動すんのも楽じゃないや・・・ おやっ! おそろいですか。」


 カオスは独り言で言った愚痴を聞かれたことを気にせず、そこにいた二人に話しかけます。


 「いや~お待たせしてすいません。少し遊びに力を入れ込んじまいまして・・・」


 すると、あくびをしていた方から返事がありました。


 「理由はどうでも良いわ。で、プランは?」

 「順調良く行きましたよ~ 極悪貴族の奴隷は全員解放し、僕らに付いてくれるようです。貴族の悪名は後悔できませんでしたが、まぁ結果としては十分でしょう。」


 カオスは相手に向かってニヤついて見せました。


 その後ろには、大量の元奴隷だった魔人達が入った契約の魔道書を引き連れて・・・

 この回をもちまして、『魔王国篇』は終了します。作者自身ここまで長丁場になるとは思っておらず、展開を考えるのにかなり苦労しました。


 翌日 8月22日午後九時投稿の話から新章に入ります。新キャラも数人増やす予定なので気長に付き合ってくれると嬉しいです。

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