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第69話 事件の翌朝

 翌日、酒が入っていたことでぐっすり眠っていたフィフスは、予定していたよりも起床時間が遅くなってしまいました。


 「ッン、ンーーーーー!!!・・・ あぁ~・・・ 久しぶりによく寝た感覚。


  ・・・ って!?」


 フィフスは自分の格好が夕食時と同じことに気が付きました。


 「おいおい、こりゃ一体・・・ 」


 彼は昨晩のことを一切覚えていなかったので、何があったのか考えてみますが、夕食時にグラスの水を一気飲みしたことまでしか記憶にはありません。


 「あの水、まさかな・・・」


 取りあえずこのままじゃいけないとフィフスは服を着替え、近くに誰かいないかと自室を出て廊下を歩き回りました。


 「うぅ~・・・ 急に寝過ぎたからか頭が痛いな・・・」


 なんてことを言っていると、朝早くから仕事をしていたルーズとすれ違いました。


 「おはようございます、予想通り遅いですね。」

 「朝っぱらから小言を言うな。昨日一体何があったんだ?」

 「さあ? 気になるのでしたら瓜さんに聞いてみるのはどうでしょう。」

 「瓜に?」


 ルーズはそれから仕事が有ると言って足早に彼の前から去って行きました。何があったのか気になったフィフスでしたが、取りあえず朝食を取ることが先と思ったため、食事部屋に行くことにしました。


 すると今の彼には都合が良いことに、そこには丁度朝食を食べ終えた瓜がいました。昨日の事を覚えていなかった彼は気楽に話しかけます。


 「よう、おはよう瓜。」


 瓜は声をかけられて目に見えるレベルに驚きました。


 「どうした? そんなにビクついて・・・」


 瓜は一瞬考えました。


 『本当に何も覚えていないんですね・・・ 昨日の事は・・・』

 「瓜?」

 「い、いえっ!! 何でもありません!!」


 瓜は咄嗟に目をまたグルグルになりながら大声を出して誤魔化しましたが、それによってフィフスは余計に怪しみます。


 「う、瓜!? ホントにどうした・・・」


 そうして彼が近付くと、瓜は目も合わせられなくなります。


 「あ、いや・・・ その・・・」


 瓜はそれに赤面してしまいます。


 「顔赤いぞ、熱でもあるのか?」


 心配になったフィフスは右手を彼女のおでこに触れます。瓜はその事でまた昨夜のことを強く思い出し、頭から煙を噴き出してしまいました。


 「ウワッ!! 熱っ!! めちゃくちゃ熱あるじゃねえか。なんか煙まで出てねえか・・・」


 すると次にフィフスが瓜の顔を除こうとした瞬間、彼女の張り手によってまた吹っ飛ばされてしまいました。


 「キャアァーーーーーー!!!」


 ドガッ!!


 「ウゴッ!!?」


 壁に勢い良くぶつかったフィフスは、今回は気絶はしないもののかなり痛がっています。


 「イタタ・・・ なんだかこれ食らったの二度目のような気がする・・・」


 フィフスがそんなことを呟いている内に、席から立ち上がった瓜はそこから急ぎ足で立ち去りました。その際に彼に誤魔化すため、こんな言葉を吐いていきました。


 「すみません・・・ 帰りの支度をしてくるので・・・」


 しかし彼女は赤面しきった顔を彼に見せられず、そっぽを向いたまま立ち去りました。


 「・・・ 何だったんだよ、アイツ。」


 フィフスは考えても仕方ないと思い、その場は食事を取りました。



 そしてお昼頃、手紙で呼びつけられたグレシアと平次が魔王城に到着しました。それを見越して、フィフスが門の前に立っていました。


 「来たか。 ・・・つかえらく荷物多いな・・・」


 フィフスは平次の持たされている荷物大きな荷物に突っ込みを入れると、グレシアはこう答えます。


 「前のときはいきなりだったからね~・・・ 今度はちゃあんと私物を持ってかないと。」

 「いや、にしたかって多過ぎだろ。」

 「女の引っ越しは大変なの! 文句言わないで!!」

 「文句言いたいのは後ろのメガネだろ・・・」

 「俺の意見なんて通らねえよ・・・」

 「ま、それもそうか。」


 グレシアはフィフスのサイドをキョロキョロと見回します。


 「何だ?」

 「瓜はどうしたの? あの子も帰るんでしょ。」

 「どうにも今朝から調子が悪いようでな。来て貰って何だが、もしかしたら戻るのは延期になるかもしれん。」


 フィフスがそう言って頭をかいていると、後ろの門から鞄を用意した瓜と、グレシアを遙かに超えた量の荷物をワゴンで運ぶサードとキンズが出て来ました。


 「すみません・・・ お待たせしました・・・」


 フィフス達三人は目をパチパチさせます。


 「「「何だこの量・・・」」」


 それにサードが答えます。


 「何って、これから異世界に行くんだから、準備は必要でしょ?」

 「ああ? まさか来る気か?」


 そこにキンズが補足を付けます。


 「私は止めたんですがね。ウリーさんの向こうでの生活を見てみたいと聞かないので・・・」

 「さぁ、準備も出来たんだしとっとと行くわよ~!! いざ、異世界!! ビバッ、異世界!!」


 既に楽しんでいるサードに、フィフスは申し訳なさそうにこう言います。


 「あの~・・・ 姉上。楽しみにしているとこ悪いけど、残念ながら今回は無理だぞ。」


 「・・・ ハッ!?」


 唐突に言われたことにフリーズするサードに、フィフスは説明します。


 「残念ながら、『ゲート』で一度に移動できるのは人サイズだと最大五人まで。後そこに小動物数匹ってとこだ。」

 「何よケチ臭い! それにアンタら四人しか人はいないんだから、あたしが言っても良いでしょ!!」


 サードからの文句に、フィフスは落ち着いて答えました。


 「これは旅行じゃねえんだぞ。だから既に人員は決めている。ルーズ。」


 フィフスに名を呼ばれると、一瞬にして彼の隣にルーズが現れました。


 「フィフス王子から推薦で、僕とユニーが向かうことになりました。という訳なので、今回は諦めてください。」


 名前を呼ばれたユニーがフィフスの背中から右肩に移り、コクコクと頷きます。しかしそれでもサードは諦めが悪く、まだフィフスに詰め寄ります。


 「だったら、その次にまた門を開いて行けば良いじゃない!!」

 「そう都合良くいかねえんだよ。親父いわく、一度ゲートを使用したら一ヶ月は使用不可になるそうだ。」


 それを聞いて言い返せなくなったサードは可愛らしく顔を膨れさせて不機嫌になります。そこに遅れて出て来たセカンドが彼女の頭を撫でて慰めました。


 「まあまあ、それなら仕方ないですわ。サードもそんなにむくれないで上げてください。フィフスが困ってしまいますよ。」

 「ブ~・・・ 別にフィフスなんだから良いじゃ無いですか~・・・」

 「アハハ・・・」


 フィフス達はメンバーが集まったことから、一行は目的の場所へと向かっていきました。


<魔王国気まぐれ情報屋>


日本に行くときのフィフスの鞄の中


・この世界での食糧 一ヶ月分


・ユニーのベット


・剣の研石


・瓜用のまともな服


・??????????

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