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第58話 壊せぬ聖剣

 フィフスは落ち着きながら引っかかっていた小枝を引き払い、その木から飛び降りてきました。戦いが終わったことにどこか安心しつつ、散らばっていた魔人達も集結してきます。


 「おう、無事だったか。」


 フィフスがなんとなくかける言葉にグレシアはかみついて応えます。


 「だてに鍛えられてはいないわよ。舐めないで。」


 分かりやすく反発するグレシアに対し、ルーズは素っ気なくしています。一行がそうしてライヤーがいた方向を見ると、巨大化したユニーが戻ってきました。彼の煤の付いている身体を見て、心配した瓜は駆け寄ります。


 「ユニーさん!! 大丈夫ですか?」


 ユニーはまた何も言わず首を縦に振ります。しかしその後すぐに、小さい姿に戻ってしまいました。


 「ああ・・・」


 瓜の両手に乗っかって眠ってしまったユニーを見て、フィフスもやって来ました。


 「流石にあんなにしばかれて五人の魔力も受けるとキツかったか・・・ ありがとな。ゆっくり休め。」


 フィフスはそう言って目を閉じているユニーの顔を軽くなでました。そこにルーズが声をかけます。


 「では、敵もこれで全滅したようですし、帰って休憩を・・・」


 しかしそこで彼の言葉は止まりました。さっきまでライヤーがいた方向から、魔術の発生を感じ取ったからです。その上、フィフスはその位置から音が聞こえてきました。


 それは、『グニュニュ・・・』 と不気味な音でした。そのことでより不安を感じた彼らが一点にライヤーの立っていた所を振り返ります。



 するとそこには、折れていた聖剣ホープを中心に、飛び散っていたライヤーの肉片がゾロゾロと集まってきている様子がありました。


 「何、これ・・・」


 気持ちの悪い様子にサードは語彙力が低下してものを言います。何かマズいと感じたフィフスとルーズは一目散に剣を破壊しようとしました。


 『これが再生の中心なら・・・』

 『破壊すれば止まるはずです・・・』


 と、二人はそう思ったのです。しかし、フィフスが火炎刀、ルーズが獣装した爪で攻撃しようとすると、聖剣の手前で何かに阻まれて動きが止まってしまいました。


 「「!?」」


 少し動きタ止まった二人でしたが、その直後に聖剣ホープから発せられた光によって、揃って吹き飛ばされてしまいました。


 「フィフスさん!!」

 「ルーズ!!」


 瓜とグレシアの心配を受けながら、二人は受け身をとって着地し、すぐに立ち上がりました。


 「チッ! 結界か・・・」

 「面倒なことになりましたね・・・」

 「結界!? 奴はまだ生きてるって事?」


 グレシアからの質問に、直に感じた二人はこう答えました。


 「いえ、これはおそらく・・・」

 「カオスからの置き土産か・・・」


_______________________________________


 離れた場所から高みの見物を決めているカオス。ぶつくさと独り言を呟いています。


 「簡単に倒されちゃ、面白くないんだよね~・・・」


 そんな彼の後ろには、大量の契約の魔道書が宙に浮いています。


 「じゃ、ここでの事も済んだし、そろそろ戻ろっかな。あの方達も来てるだろうし・・・」


_______________________________________


 一行はライヤーが蘇ってはさっきまでの戦いの意味が無くなると思い、代わる代わるに聖剣ホープを破壊しようと魔術を繰り出していきました。しかしそれでも、剣を覆っていた強固な結界は破れることはありませんでした。その事にサードはごねています。


 「エエイッ!! 本当なら、戦い疲れを癒やすためにウリーちゃんのコスプレ大会を開こうと思ってたのに!!」

 『症状がもう末期だなこりゃ・・・ 後でキンズに押さえ込んで貰おう。』


 内心そう思うフィフスを後ろに置き、サード、グレシア、セカンドが攻撃を続けます。しかし闇雲に攻撃したところで意味が無いことには、みんな薄々気付いていました。


 攻撃のおかげで破片の集合は遅れていますが、コアの剣には傷一つすらつきません。


 「あの男、ホントに面倒なものを置いてったわね・・・」


 しかもここから更に事態は悪化しました。突然彼らの横から光線らしきものが通り過ぎていったのです。どうにかよけた彼らですが、動揺は隠せません。


 「何? 今の・・・」


 その方向を見ると、ライヤーを構成していた破片達が、いつの間にか剣ではなくそれぞれ別に集まって人型になりかけていたのです。しかもそれは複数体いました。


 「キモっ!!」


 グレシアとサードが口を揃えて言います。怪物達はまだ完全体ではないのか肉片がドロッと一部落ちていましたが、それでも動けるまでに回復していました。彼らは片言で呟いています。


 「ゴクエンキ・・・」  「ゴクエンキ・・・」


  「ゴクエンキ・・・」  「ゴクエンキ・・・」


 流石のフィフスもこれが聞こえた途端に身震いをしました。そこにサードがまた茶化します。


 「ほ~んとモテモテね・・・」

 「流石これはカバー範囲外だな。」


 そこから勢い良く襲いかかってくる怪物達にフィフス達は一旦剣を放置して立ち向かいました。


 今回は魔力が戻っていたので、さっきのライヤー戦よりも有利に進みます。しかし彼らはつぎはぎで出来ている分回復が早いのか、何度術で粉砕しても元に戻ってしまうのです。


 『クソッ!! これじゃこっちが魔力切れになっちまう・・・ せめて後一手でかいのが来れば良いんだが・・・』


 そんなことを思ってフィフスは気がそれてしまっていました。そして、怪物が一体増えていることに気付いていなかったのです。


 その怪物は、ガラ空きになっている瓜に向かって一目散に襲いかかっていたのです。


 「・・・ッン! 瓜!!」


 気付いたフィフスは瞬間移動が使えないがために、今戦っている怪物を反動で下がらせ、その隙に彼女を助けようと走り出します。サードもその少し後に気が付きました。しかし二人ともここからではとても間に合いそうにありません。


 「エッ?・・・」


 瓜が後ろを振り返ると、もう目前にまで不気味な風貌の怪物が迫っていました。彼女の服にライヤーの肉片が触れかけたそのとき・・・





 シュン!!





 と、勢いのある音が聞こえ、次の瞬間、その目前にいた怪物が、腹から光り出し、途端に粉砕されたのです!!



 「・・・?」



 驚いて咄嗟に目を閉じていた彼女がその目を開けると、そこには地面に刺さっている一本の矢があるだけでした。

<魔王国気まぐれ情報屋>


{サード}



種族           鬼

役職           第二王女

年齢           20歳

誕生日          3月9日

身長           165cm

性格           男勝りの姉御肌

家族構成         父(魔王) 母 兄1人 姉1人

             弟2人

使用魔術         雷鳴術

好きな物・こと      金儲け ※カツアゲあり

嫌いな物・こと      女を女としか見ない男

好きなタイプ       懐の広いイケメン

             大人しい女の子

将来の夢         妹が欲しい

特性           暴力が多い

モチーフ         『十二人の狩人』より王女


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